労働者
[Wikipedia|▼Menu]


仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

業務遂行上の指揮監督の有無

拘束性の有無

代替性の有無


「報酬の労務に対する対償性」については、結局において「労働者が使用者の指揮監督の下で行う労働に対して支払うもの」と言うべきものであるから、報酬が「賃金」であるか否かによって逆に「使用従属性」を判断することはできない。 しかしながら、報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、「使用従属性」を補強することとなる[8]

「労働者性」が問題となる限界的事例については、「使用従属性」の判断が困難な場合があり、その場合には、以下の要素をも勘案して、総合判断する必要がある[9]

事業者性の有無

専属性の程度

その他「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点


「労働者」として認められた例


法人の重役で業務執行権又は代表権を持たず、工場長、部長の職にあって賃金を受ける者(昭和23年3月17日基発461号)[10]

共同経営の事業において出資しながら、賃金を受けて働いている者(昭和23年3月24日基発498号)

労働組合の専従職員(昭和24年6月13日基収1073号)労働提供を免除されて組合事務に専従しているが、本条でいう「労働者」にあたる。

請負制の新聞配達人(昭和22年12月27日基発400号)

治療院経営者との関係における、共同経営者たる所属あんま師、はり灸師(所定の要件を満たす場合。昭和36年4月19日基収800号)

個人開業の医院で看護師見習いの業務に従事させ、かたわら家事その他の業務に従事する者(昭和24年4月13日基収886号)

JRA厩務員(特殊の例外的な場合を除き、調教師が「使用者」となり、JRA、競馬共助会、馬主は使用者とならない。昭和32年10月18日基収6819号)

研修医の行う臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、研修医が医療行為に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督のもとにこれを行ったと評価することができる限り、研修医は「労働者」に当たる(関西医科大学付属病院事件、最判平成17年6月3日)。

技能実習1号の外国人技能実習生のうち、実習実施者との雇用契約に基づく講習(知識の修得をする活動)の期間中は、実習実施者との雇用契約に基づき当該活動を実施するものであって、労働基準法上の「労働者」に該当するものであり、労働基準関係法令が適用されること。技能等修得活動(雇用契約に基づいて講習以外の技能等の修得をする活動)中の技能実習生(団体管理型、企業単独型とも)については、実習実施者との雇用契約に基づき当該活動を実施するものであって、労働基準法上の「労働者」に該当するものであり、労働基準関係法令が適用されること。技能実習2号又は技能実習3号の技能実習生については、実習実施者との雇用契約に基づき当該活動を実施するものであって、労働基準法上の「労働者」に該当するものであり、労働基準関係法令が適用されること(平成22年2月8日基発0208第2号)。

クラブホステス - 入店契約を「労働契約の実質を有する」として「労働者」性を肯定した判例がある(第三相互事件、東京地判平成22年3月9日)

「労働者」として認められなかった例


個人事業主法人・団体等の代表者又は執行機関たる者(昭和23年1月9日基発14号)[11]

下請負人(注文主から独立して処理するものである限り、第10条でいう「事業主」となる。昭和23年1月9日基発14号)[12]

同居の親族(原則。昭和54年4月2日基発153号)

労働委員会の委員(昭和25年8月28日基収2414号)

委任制の保険外務員(昭和23年1月9日基発13号)、証券外務員(山崎証券事件、最判昭和36年5月25日)ただし「外務員」と称していても実質上労務関係が存するとみなされるときは「労働者」になる。

非常勤消防団員(昭和24年1月10日基収3306号)

競輪選手(昭和25年4月24日基収4080号)

看護師養成所の生徒(慣習により生徒を一般看護師と同様に勤務させている場合は「労働者」とみなされる場合がある。昭和24年6月24日基発648号)

大学等が民間の事業場に委託して行う工場実習(昭和57年2月19日基発121号)

インターンシップ等の実習生(主目的が実習である者。平成9年9月18日基発636号)

個人開業の医院で家事使用人として雇用し看護師の業務を手伝わせる場合(昭和24年4月13日基収886号)

宗教団体において宗教上の儀式、布教等に従事する者、教師、僧職者等で修行中の者、信者であって何等の給与を受けずに奉仕する者(昭和27年2月5日基発49号)。ただし、僧侶が宗教法人のために労務を提供する場合には、宗教法人と僧侶との関係が単なる宗教的関係を越えた労働関係となり、僧侶が「労働者」とみなされることがある[13]

農村における公役(昭和24年6月13日基収1730号)

受刑者(昭和23年3月24日基発498号)

非行少年が少年法の規定により補導を委託された施設等において作業に就く場合(もっぱら作業が生活指導または職業補導の一環として行われている場合。昭和40年5月20日基収445号)

次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:59 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef