労働組合
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1955年(昭和30年)の総評大会では、このような中小零細企業における組織化を方針として掲げ、それ以来合同労働組合の結成が推進されてきた[12]
ショップ制

労働組合と使用者との労使関係には、様々な形態がある。ここで言う「ショップ」とは、労使間で様々な約束事や取り決め事を交わす「協定」の意である。

日本では、その事業所で組織される労働組合が同事業所の労働者総数の過半数を代表する場合において、その組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することができる(労働組合法第7条第1号但書)。

英国ではEU指令が出される以前に、1980年代のサッチャー政権によってクローズドショップ制とユニオンショップ制が規制された。
オープンショップ制

使用者が労働者を雇い入れるに際し、特に組合員であることを雇用条件としていないものである。基本的に組合員とそうでない者との労働条件等の処遇の違いは無い。

日本では、国家公務員地方公務員の「職員団体」(民間企業の労働組合に相当)については、オープンショップでなければならないとされている(国家公務員法第108条の5第2項、地方公務員法第55条第2項)。
クローズドショップ制

使用者が労働者を雇い入れるに際し、組合員から雇用しなければならないとする制度である。労働者が組合員である資格を失った時は使用者はその労働者を解雇しなければならない。この制度は産業別労働組合が存在する国々に見られるが、日本では見られない[注 3]

アメリカ合衆国では、タフト・ハートレー法によってクローズドショップ制を禁止している。
ユニオンショップ制「ユニオン・ショップ」も参照

使用者が労働者を雇い入れるに際しては、組合員であってもそうでなくても構わないが、労働者は入社後、組合規約で定めた期間内に組合員にならなければならないとする制度である。期間内に組合員にならなかったり、あるいは後に組合員たる資格を失った時は、使用者はその労働者を解雇しなければならない。日本の大手企業に存在する主な組合に見られる。通常は当該組合を労働者の唯一の交渉代表として承認する「唯一交渉団体条項」と一緒に締結されることが多い(これにより、当該組合は使用者によって、全労働者が当然に加入する当該企業で唯一の組合としての地位を認められる)[注 4]。但し、実際はいわゆる「尻抜けユニオン」という体制が敷かれていることが多く、組合員である資格を失っても雇用については別途労使間で協議し、決定することが多い。従って、組合を脱退したからと言って必ずしも退職しなければならないことはない。

日本においては、過去の判例で、ユニオンショップ協定下において組合から脱退した場合において、労働者の組合選択の自由及び他の組合の団結権を侵害する場合には、使用者の解雇義務は公序良俗に反し無効とされ、他の組合に加入した労働者は解雇されない[13]。また、過去に組合を辞めない旨を特に合意していた場合でも「組合員は脱退の自由を有する」とされている[14]。したがって組合の内部抗争において執行部派が解雇をちらつかせて反執行部派を抑え込むことは、事実上できなくなっている。

アメリカ合衆国では、州によっては労働権利法(Right-to-work law)を適用し、ユニオンショップ制を禁止している。
エイジェンシーショップ制

労働組合への加入は労働者の意志によるが、組合員でない者でも、団体交渉にかかる経費と苦情処理にかかる経費を会費として支払わなければならない。ただし、組合員でない者はそれ以外の経費(ロビー活動にかかる経費や、組合員のみに与えられる特権の経費など)を支払う必要はない。
各国の状況
日本詳細は「日本の労働組合」を参照

日本における組合加入率は16.8%(2019年)であった[15]。団体交渉は、主に地方または会社レベルで行われている[15]
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米国では、組織率は1983年に20.1%の割合を占めて以降、徐々に低下しており、2012年の時点で11.3%となっている。組織率低下の要因として、国際競争が激しくなった結果、特に鉄鋼や自動車産業の工業部門において、かつては組合員によって行われていた仕事が人件費の安い海外で行われるようになったこと、生産の自動化によって、製造ラインで一部の労働者が必要無くなったこと、更に組合の力が強い州に所在する多くの企業が、労働権法が制定されていて組合がほとんど存在しない州に工場を移転したことなどが指摘されている。米国における1980年代の違法闘争.[16]

公共部門と民間企業を比較した場合、公共部門の労働組合の組合員数は民間企業の5倍以上に達する。なお、日本とは異なり、警察消防にも労働組合は存在する。

労働組合は、内部労働者の利益(職の維持)のために、そのコストを外部労働者・財やサービスの消費者・企業の株主に押しつけていると非難されている。公教育の分野においては、教師組合は、若い教師を辞めさせるよう仕向けることで、学校関係者に支持される老年教師ばかりになり、そのために優秀な教師が減ってきているといると非難されている[17]

アメリカマクロ経済学ミルトン・フリードマンは「労働組合は不要である」として「労働組合が組合員に対して獲得する賃上げは、主として組合の外にいる他の労働者の犠牲においてである」[18][19]という言葉を残している。ある職種・産業において労働組合が賃上げに成功すると、その分野での雇用は減ることになり、結果としてその分の雇用が市場に放出されることで、他の産業・労働者の賃金が押し下げられる。結果として高賃金労働者の賃金は上昇し低賃金労働者の賃金は下落することで、賃金格差を拡大させるという[20]
中華人民共和国

この節の加筆が望まれています。

中国においては、「工会」(zh:工会)と呼ばれており、「共産党の指導を受ける」ことが基本とされている。中国国内の企業(外商投資企業を含む)、事業単位、機関及びその他の社会組織の主に賃金収入により生活する労働者は、民族人種性別職業、信条、教育程度を問わず、中国工会全国代表大会が定めた「中国工会規約」を承認すれば、全て「工会」に加入し、組合員となることができる。したがって従業員だけでなく、経営者も労働組合に加入することが可能となっている。
記号

労働組合を表す?が「全角括弧付き労」としてUnicodeに含まれている。

記号UnicodeJIS X 0213文字参照名称
㈸U+3238-㈸
㈸全角括弧付き労
PARENTHESIZED IDEOGRAPH LABOR
㊘U+3298-㊘
㊘丸労
CIRCLED IDEOGRAPH LABOR

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 組合契約は、「複数の当事者」が出資をして共同の事業を営むことを約することを指すため(日本法においては、民法第667条ほか)、いわゆる「一人労働組合」は法の要件を満たさない(「一人労働組合」を否定した判例として、友浦鉄工所事件(岡山地判昭和39年7月7日))。
^ もっとも、労働組合は、組合員の範囲について逆締付条項によって拘束されるものではなく、組合が従業員以外の者を加入せしめても、債務不履行の責は負わない(昭和32年10月8日兵庫県商工労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)。
^労働省はクローズドショップ制を「「既に一定の労働組合に加入している労働者でなければ採用せず、且つ当該組合を脱退した時は解雇する」という協定である。」と定義している(昭和22年10月13日鳥取県教育民生部長あて労働省労政局労政課長通知)。もっとも当時においても「今日かかる協定が純粋に締結されている実例は日本では皆無であり外国においても、土建業における大工左官等の職業別組合の一部に存するのみである。


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