労働価値説
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代表的なのがオイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクの『カール・マルクスとその体系の終結』である[20]。また、費用価格も生産価格によって売買されることをマルクスが十分に論じなかったため、後に転形問題と呼ばれる論争のテーマとなった。

マルクスは差額地代とは別に絶対地代も成立しうることを認め、最劣等地においても地代はゼロではないという見解を示した[21]。生産物の価値は投下労働だけでなく地代によっても規定されることになり、投下労働価値説としての一貫性はリカードより一歩後退した。
限界革命詳細は「限界効用理論」を参照

1870年代ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズカール・メンガーレオン・ワルラスの3人の経済学者が、ほぼ同時に、かつ独立に限界効用理論に基づく経済学の体系を樹立し、新古典派経済学の創始者となった。労働価値説は彼らの学説にとって、労働力を生産過程における唯一の希少な資源と仮定する特殊モデルと整理され、以後、マルクス経済学と価値の本質をめぐる論説に決着がつかないまま今日に至っている。

そして、イアン・スティードマンをはじめとするネオ・リカーディアンによる労働価値説不要論が有名になった1970年代後半以降は、労働価値説を放棄するマルクス経済学者も出てきている(オスカル・ランゲOn the ecomic theory of socialism,1936)。マルクス経済学者はこの流れを「資本家による労働者の搾取」を容認する表皮的経済学と批判している。
評釈「マルクス主義批判」も参照

労働価値説は、諸財貨の価格比率を、それら諸財貨に対する需要をもたらす効用とは独立に、労働費用だけから予見できるとするが、ポール・サミュエルソンは、嗜好や需要のパターン、及びそれが労働以外の要素(土地など)の稀少性に及ぼす効果を考慮にいれずに、商品の価格を労働の所要量だけから予見することはできないと指摘する[22]
出典・脚注[脚注の使い方]^ 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)「労働価値説」海道勝稔[1]
^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「労働価値説」
^ 精選版 日本国語大辞典「労働価値説」
^ 小学館デジタル大辞泉「労働価値説」
^ 平凡社世界大百科事典第2版「労働価値説」[2]
^ カール・マルクス『経済学批判』、大月書店〈国民文庫〉、1966年、58-59ページ
^ ウィリアム・ペティ『租税貢納論』、大内兵衛・松川七郎訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1952年、89-90ページ
^ ウィリアム・ペティ『租税貢納論』、大内兵衛・松川七郎訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1952年、79ページ
^ a b c ポール・サミュエルソン「経済学 [原著第10版 1976]」岩波書店、都留重人訳、1977年、37章 成長の理論,p.1211-1267.特にp1218-1227.
^ アダム・スミス『国富論』大河内一男監訳、中央公論社〈中公文庫〉、1978年、53ページ
^ リカードウ『経済学および課税の原理』、羽鳥卓也・吉澤芳樹訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1987年、20-21ページ
^ a b アダム・スミス『国富論』大河内一男監訳、中央公論社〈中公文庫〉、1978年、52ページ
^ アダム・スミス『国富論』大河内一男監訳、中央公論社〈中公文庫〉、1978年、第1編第6章
^ リカードウ『経済学および課税の原理』、羽鳥卓也・吉澤芳樹訳、岩波書店〈岩波文庫〉、第1章第1節
^ リカードウ『経済学および課税の原理』、羽鳥卓也・吉澤芳樹訳、岩波書店〈岩波文庫〉、第1章第2節
^ リカードウ『経済学および課税の原理』、羽鳥卓也・吉澤芳樹訳、岩波書店〈岩波文庫〉、第1章第4節
^ カール・マルクス『賃金、価格、利潤』、土屋保男訳、大月書店〈国民文庫〉、1965年
^ カール・マルクス『資本論(1)』、岡崎次郎訳、大月書店〈国民文庫〉、1972年、第1部第5-6章
^ カール・マルクス『資本論(6)』、岡崎次郎訳、大月書店〈国民文庫〉、1972年、第3部第9章
^ ベーム=バーヴェルク『マルクス体系の終結』、木本幸造訳、未來社、1969年
^ カール・マルクス『資本論(8)』、岡崎次郎訳、大月書店〈国民文庫〉、1972年、第3部第45章
^ サミュエルソン 1977, p. 1225-27.

参考文献

サミュエルソン, ポール 都留重人 訳 (1977), 経済学 [原著第10版 1976], 岩波書店 

37章成長の理論:p.1211-1267

付論マルクス経済学の基礎的原理:p.1436-1452

43章経済制度の違い:p.1453-1487.


関連項目

効用価値説

マルクス主義批判

典拠管理データベース: 国立図書館

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アメリカ


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