助動詞_(国文法)
[Wikipedia|▼Menu]
べしべく・べからべく・べかりべしべき・べかるべけれ○ク活用型推量・意志・可能・当然・義務・命令・適当・勧誘これの派生形が「べらなり」である。
現代において東日本各地の方言にみられる助詞の「べ」あるいは促音半濁音化した「っぺ」は、「べし」の語幹「べ」に由来する。
べらなり○べらにべらなりべらなるべらなれ○ナリ活用型推量中古に一時的に見られたもので省略する教科書や参考書も多い。
否定ずず・ざらず・ざりず・ざりぬ・ざるね・ざれざれ特殊型未然形否定活用には諸説あるが[注 10]、ここではあえて可能性のあるもの全てを記した。
否定の推量じ○○じじじ○特殊型未然形否定の推量・否定の意志助動詞「む」の否定に当たる。
まじまじく・まじからまじく・まじかりまじまじき・まじかるまじけれ○ク活用型終止形とラ変型の連体形否定の推量・否定の意志・不可能・否定の当然・不適当・禁止助動詞「べし」の否定に当たる。
願望たしたく・たからたく・たかりたしたき・たかるたけれ○ク活用型連用形願望口頭語では「たし」、文章では「まほし」が使われる。
まほしまほしく・まほしからまほしく・まほしかりまほしまほしき・まほしかるまほしけれ○シク活用型未然形
断定なりならなり・になりなるなれなれナリ活用型体言と連体形断定・指定・所在・存在現代語の「だ」の仮定形「なら」や形容動詞語尾「な」は、「なり」に由来する。
たりたらたり・とたりたるたれたれタリ活用型体言断定・指定主に使われたのは中世以降で、文章や和歌でしか使われない。
伝聞なり○なりなりなるなれ○ナリ活用型終止形とラ変型の連用形伝聞・推定「音(ね)あり」から転じたもの。
比況ごとしごとくごとくごとしごとき○○ク活用型連体形比況・例示形容詞に含める場合もある。
ごとくなりごとくならごとくなり・ごとくにごとくなりごとくなるごとくなれごとくなれナリ活用型連体形と体言比況「ごとし」を形容詞と見る場合にはその補助活用と見られる。
やうなりやうならやうなり・やうにやうなりやうなるやうなれやうなれナリ活用型体言比況・例示上代ではあくまでも「やう」と「なり」の形として使われていて、助動詞の形になったのは中世と言われている。

助動詞「り」の接続

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2010年12月)

学校文法を成した橋本進吉によれば、助動詞「り」の接続は命令形である。これは四段及びサ変動詞にしかつかない。

種類活用形活用の型
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
四段-u-a-i-u-u-e-e四段正格活用
サ変すせしすするすれせ(よ)サ行変格活用
カ変くこきくくるくれこ(よ)カ行変格活用
存続(り)りらりりるれれラ行変格活用

一般的な高校学習参考書類では、サ変命令形に対して「せ」を認めることは少ないが、本来の活用形は「せ」であると考えられる。命令形「?よ」の語源として間投助詞「よ」を認めることができるのは、カ変からも明らかである。

かつて、存続「り」は次の接続であるとされた。

四段正格活用には已然形につく

サ行変格活用には未然形につく

これらは、上代(奈良時代ごろ)の仮名遣いである上代特殊仮名遣の研究により否定された。四段正格活用の已然形・命令形は同形に見聞きできるが、上代仮名遣いでは母音エに対して二通りの表記が存在する。この二通りをそれぞれ甲類・乙類と呼びならわす。

四段已然形では乙類、四段命令形では甲類が使われており、この仮名遣いを調べれば接続もわかる。存続「り」の場合、甲類にばかり接続するために「命令形接続である」と論証したのである。学参や辞書において四段への接続は、「已然形と命令形」どちらか定まるわけではないが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}それは形の上では差し支えないので、従来通りとして積極的には改められないのであろう[要出典]。

サ変に関しては、「せ」の形は未然形と命令形に認められるが、ここは四段と同じだと考えて命令形とする。高校学習では、上代仮名遣いや語源にまで言及しないため、サ変への接続は未然形として扱うのである。[要出典]

以上は、「り」を独立した「助動詞」としてみる際の文法上の接続についてであるが、そもそもは「連用形(-i)+あり」であり、/-ia/の母音連接により結合して/je/(エ段甲類音)を為したのが起源であり[7]、そもそも「〇〇形に接続」との言い方は適切とはいえない。
上代文法

種類活用形活用の型接続意味備考
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
受身ゆええゆゆるゆれ○下二段型四段・ナ変・ラ変の未然形受身・尊敬後に助動詞「る」になった。
らゆらえらえ○○○○四段・ナ変・ラ変以外の未然形後に助動詞「らる」になった。
尊敬すさしすすせせ四段型四段・サ変の未然形尊敬後に助動詞「す」「さす」に吸収された。
推量ましじ○○ましじましじき○○ク活用終止形とラ変型の連体形過去推量・過去意思後に助動詞「まし」になった。
打ち消しなふなはなひなふなへなへ○特殊型未然形打ち消し東国方言。後に形容詞「無ひ」との混同で助動詞「ない」になった。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ a b サ変動詞に付く場合、「-さ」形に付くことが多いが、絶対ではない。例: 「熱せられ-」「熱され-」、「科せられ-」「科され-」、「発せさせる」、「感ぜさせる」
^ ある辞典[3]によると、五段活用以外の動詞に付く場合、本来は未然形接続だが、終止形に接続する用法が多くなっている。サ変・カ変については未然形・終止形のどちらにも付くとする辞典もある[要出典]。
^ a b c d 表に示した普通体(常体)の活用形の他に、丁寧体(敬体)の活用形がある。語尾の形は、助動詞「です」や形容動詞と同様。
^ 語幹が1音節の形容詞(型)に付く場合、「さ」が入ることがある。例: 「よさそう-」「なさそう-」
^ a b c d これらの「-な」および「です」の形は、助詞「の」「ので」「のに」等が続く場合に現れる。連体形だが 一般の名詞を修飾することはできない。 なお、形容動詞を品詞と認めない立場では別の考え方になる。
^ サ変動詞に付く場合、「-すべきだ」 のように、文語体のサ変終止形「-す」が使われることがある。
^ 形容詞(および形容詞型助動詞)の終止・連体形 に 「です」(終止・連体形) が接続する形も見られる。
^ 成立にはいくつか説があり、「?てあり」から転じ、助動詞「り」の利用範囲の狭さから生まれたものというのが通説となっている。
^ そもそも清少納言は当代の日本語の乱れをよく批判しているので、書かれるのは当然といえる[要出典]。
^ 例えば「ず」は上代の連用形「に」に動詞「す」のついた「にす」が縮約して生じたものといわれる[6]

出典^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}"れる". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年2月15日閲覧。 "られる". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年2月15日閲覧。
^ "せる". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年2月15日閲覧。 "させる". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年2月15日閲覧。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef