加越鉄道
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加越能鉄道は加越線の赤字の埋め合わせのために、1959年に親会社の地鉄から高岡軌道線の譲渡を受けている。その後も様々な合理化が行われたが、旅客輸送は1964年をピークに減少し、その後も沿線工場からの輸送がトラックに切り替わったことで業績が悪化した。最終的に小矢部川に架かる鉄橋の修繕に多額の費用が必要となったことが決め手となって、1972年9月15日をもって全線が廃止され(営業最終日には午後から無料開放された)、翌日よりバス化された。[8]。余剰となった車両は関東鉄道に譲渡された。

加越線の廃線跡は廃線時の条件に基づき富山県に買い上げられ、現在はほぼ全線が自転車専用道路(富山県道370号富山庄川小矢部自転車道線のうち、小矢部市石動町 - 砺波市庄川町青島間)となっている。同道は自転車通学をする高校生も利用しており、安全確保の点から喜ばれている[9]ゴールデンウィークには、砺波地方の小学生が一堂に会してサイクリングロードを舞台に駅伝大会が開かれる。なお、2021年11月、南砺市八塚の県道をまたぐ加越線の高架橋が老朽化により撤去された[10]

また、同じく廃線に伴い、庄川町と井波町のアクセス改善のため、都市計画街路中央線(富山県道371号本町高木出線の一部)が建設された[11]

なお、富山県の私鉄路線のほとんどが電化されていた中で、加越線は最後まで非電化であった。非電化路線であることを活かして、1965年、名古屋鉄道から高山本線に乗り入れる準急「たかやま」が運行されることになった際、気動車である同列車を運転する名鉄運転士の養成が加越線で行われた。1970年、その「たかやま」が「北アルプス」と名前を変えて富山地方鉄道立山線立山駅まで延長運転されることになった際にも、地鉄運転士の実地講習が加越線で行われている。
年表

1912年(大正元年)

9月9日 砺波軽便鉄道に対し鉄道免許状下付(西砺波郡荒川村-東礪波郡青島村間)
[12]

11月15日 砺波鉄道株式会社設立[13][14]


1915年大正4年)7月21日 砺波鉄道 福野駅 - 青島町駅間 (6.7km) 開業[15]

1919年(大正8年)9月17日 砺波鉄道が金福鉄道[16]を合併し、加越鉄道に改称[17]

1922年(大正11年)7月22日 石動駅 - 福野駅間 (12.8km) 開業、全通[18]

1923年(大正12年)6月15日 鉄道免許状下付(東礪波郡青島町-同郡大田村間)[19]

1924年(大正13年)6月3日 鉄道免許失効(1923年6月15日免許 東礪波郡青島町-同郡大田村間指定ノ期限マテニ工事施工認可申請ヲ為ササルタメ)[20]

1926年(大正15年)8月15日 安居寺口駅開業[21]

1929年-1930年 安居寺口駅を柴田屋駅に改称[22]

1931年昭和6年)3月5日 内燃動力併用開始

1933年(昭和8年)5月15日 本江駅開業[22]

1934年(昭和9年)

7月1日 四日町駅開業[22]

12月1日 東山見駅開業[22]


1935年(昭和10年)5月10日 焼野駅開業[22]

1940年-1942年 高瀬村駅を高瀬神社駅に改称[22]

1943年(昭和18年)1月1日 富山地方鉄道に合併、同社の加越線となる

1944年(昭和19年)5月18日 焼野駅、東山見駅廃止[22]

1950年(昭和25年)10月23日 加越能鉄道に譲渡され、同社の加越線となる

1951年(昭和26年)

10月20日 東山見駅再開業[23]

12月15日 鉄道免許(青島町-小牧間)[24][25]


1954年(昭和29年)5月10日 鉄道免許(富山-金沢間)[24]

1955年(昭和30年)

南石動駅開業[23]

1月1日 青島町駅を庄川町駅に改称[22]

1月12日 庄川町駅構内の機関庫で火災が発生。気動車1両が焼失[26]


1957年(昭和32年)1月26日 庄川町駅構内の機関庫で火災が発生。機関車1両気動車2両が焼失[26]

1969年(昭和44年)4月1日 野尻駅開業、焼野駅再開業[22]

1972年(昭和47年)9月16日 全線廃止[8]

駅一覧

駅名および所在地、接続路線の事業者名は廃止時点のもの。全駅富山県に所在。
凡例
交換設備 … ◇・◆:交換可(◆は1966年9月まで)、|:交換不可

出典:駅名・キロ程[22]、駅員配置[23]

駅名駅間キロ営業キロ接続路線交換設備駅員配置所在地
石動駅-0.0日本国有鉄道北陸本線|◯小矢部市
南石動駅1.61.6 | 
四日町駅1.02.6 | 
薮波駅2.04.6 ◇◯
津沢駅2.77.3加越能鉄道新線(未成)◆◯
本江駅1.68.9 | 東礪波郡福野町(現・南砺市
野尻駅1.09.9 | 
柴田屋駅1.010.9 ◆◯
福野駅1.912.8日本国有鉄道:城端線◇◯
焼野駅1.714.5 | 
高瀬神社駅1.215.7 ◇◯東礪波郡井波町(現・南砺市)
井波駅1.917.6 ◆◯
東山見駅1.018.6 | 東礪波郡庄川町(現・砺波市
庄川町駅0.919.5 |◯


柴田屋駅は開業時「安居寺口駅」、高瀬神社駅は開業時「高瀬村駅」、庄川町駅は開業時「青島町駅」という名称だった[22]

福野駅の石動側で城端線を乗り越えていた跨線橋は現在も残っている。

旧井波駅は木造寺院風建築の駅舎で、登録有形文化財に登録されており、現在は物産展示館兼バス待合室として使用されている。

輸送・収支実績

年度輸送人員(人)貨物量(トン)営業収入(円)営業費(円)営業益金(円)その他益金(円)その他損金(円)支払利子(円)政府補助金(円)
191692,7767,3519,65111,936▲ 2,285雑損金4,3517,001
1917115,80411,03313,75520,896▲ 7,141失権株未納その他整理損失36,5926,919
1918175,38814,53325,62831,392▲ 5,764車両売却金差損金7,6218,141
1919190,71920,02432,87746,652▲ 13,775減資差益金150,000差損金及損失補填整理金13,2969,69924,748


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