2008年12月5日、多臓器不全のため東京都世田谷区の病院で死去した。89歳[6]。同年夏、加藤は上野毛教会でカトリックの洗礼を受けた(洗礼名はルカ)[注 1]。雙葉高等女学校出身である母や妹もカトリック教徒であり、1948年に書かれた「ボードレールに関する講義草稿」以来、加藤の「カトリシスムへの関心は並々ならぬものがあり、それは生涯続いていた」[7] とする海老坂武がこの受洗を岩下壮一や吉満義彦らが日本に紹介した新トマス主義への関心からではないかと推測している。また、40年来の親交があった鷲巣力も「超越的存在としての神」に「ずっと関心を抱いていた」加藤の受洗は意外ではないとしている[8] 。 通勤電車での読書術について、「混雑する通勤電車の中では、ページをめくらなくてもいい本を選択」「電車に乗る時には手に1冊だけ」「受験生なら英単語集、社会人なら他の外国語テキスト」「フランス語ならば動詞の変化表を持って暗唱」と述べている[9]。 1980年に『日本文学史序説』上・下で大佛次郎賞[10]、1993年に朝日賞[11]、2000年にその長年の文化功労に対してフランス政府からレジオンドヌール勲章(オフィシエ賞)を授与される。
読書術
受賞歴
著書
『文学と現実』中央公論社、1948年
『現代フランス文学論 第1』銀杏書房、1948年
『道化師の朝の歌』(小説・戯曲)河出書房、1948年
『ある晴れた日に』(小説)月曜書房、1950年、のち河出文庫。新編・岩波現代文庫、2009年
『文学とは何か』 角川書店・角川新書、1950年。新編・角川選書、1971年。角川ソフィア文庫、2014年
『抵抗の文学』 岩波新書、1951年
『美しい日本』角川書店、1951年
『現代詩人論』アテネ新書 弘文堂、1951年
『戦後のフランス』未來社、1952年
『ある旅行者の思想 西洋見物始末記』角川新書、1955年
『運命』(小説)講談社、1956年
『雑種文化―日本の小さな希望』ミリオンブックス 講談社、1956年。のち講談社文庫ほか
『知られざる日本―町と庭と精神と』現代教養文庫・社会思想研究会出版部、1957年
『政治と文学』 平凡社、1958年
『西洋讃美』社会思想社現代教養文庫、1958年、復刊1993年
『神幸祭』(小説)講談社、1959年
『現代ヨーロッパの精神』岩波書店、1959年。のち岩波同時代ライブラリー、岩波現代文庫、2010年
『ウズベック・クロアチア・ケララ紀行』岩波新書、1959年
『東京日記―外国の友へ』朝日新聞社、1960年
『二つの極の間で』弘文堂、1960年
『頭の回転をよくする読書術』光文社カッパ・ブックス、1962年。のち同時代ライブラリー、岩波現代文庫、2000年
『世界漫遊記』毎日新聞社、1964年。のち講談社学術文庫
『海辺の町にて―仮説と意見』文藝春秋新社、1964年
『三題噺』(歴史小説)筑摩書房、1965年。新編・ちくま文庫、2010年
『芸術論集』岩波書店、1967年
『羊の歌―わが回想』正・続、岩波新書、1968年『朝日ジャーナル』に1966年11月から1967年4月まで連載された自伝で、友人原田義人も回想。
『言葉と戦車』筑摩書房、1969年
『日本の内と外』文藝春秋<人と思想>、1969年
『詩および詩人』弘文堂<アテネ新書>、1971年
『中国往還』中央公論社、1972年
『称心独語』新潮社、1972年
『幻想薔薇都市 まぼろしのばらのまちにて』(小説)新潮社、1973年。新編・岩波書店、1994年
『日本文学史序説』上・下、筑摩書房、1975年-1980年。ちくま学芸文庫、1999年
『加藤周一詩集』湯川書房、1976年3月。改編新版『薔薇譜』(詩歌・俳句集)湯川書房、1976年12月
『日本人とは何か』講談社学術文庫、1976年
『現在のなかの歴史』新潮社、1976年
『言葉と人間』朝日新聞社、1977年。のち朝日選書
『山中人陂b』福武書店、1983年。のち朝日選書
『夕陽妄語』朝日新聞社 全8巻、1984年-2007年。新編・ちくま文庫 全3巻、2016年
『絵のなかの女たち』南窓社、1985年、平凡社、1988年
『人類の知的遺産77 サルトル』講談社、1984年
『梁塵秘抄』岩波書店「古典を読む」、1986年
『富永仲基[12]異聞 消えた版木』かもがわ出版、1998年
『加藤周一講演集』かもがわ出版(全4巻)、1996-2009年
『私にとっての20世紀』岩波書店、2000年。新編・岩波現代文庫、2009年
『小さな花』かもがわ出版、2003年
『高原好日―20世紀の思い出から』信濃毎日新聞社、2004年。