創造科学
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すべての人間はアダムの犯した罪により、全的に堕落し、堕落の影響は知性にも及んでおり[18][19]、また堕落前の世界と堕落後の世界そのものが異なっているため、一様性の原理を前提とする近代科学が[20]、堕落前のことを理解することはできないと指摘される[21]コーネリウス・ヴァン・ティル前提主義弁証論において、「前提は結論を決する」と断言する[22]
奥山実

教父学の専門家であるトーマス・トーランスは『科学としての神学の基礎』において「科学は神学に基礎づけられるべきだ」と主張したが、奥山実はトーランスを引用しつつ、初代教会は『聖書を真理の最高の規範』としていたのであり、初代教会においては聖書と科学は一つであってプラトンアリストテレス哲学を排除したのに、中世のローマ・カトリックはアリストテレスを受け入れ、聖書と科学を分断する罪を犯してしまったが、宗教改革は再び、ギリシャ・ローマ的異教を一掃し、聖書と科学を一つに戻したのであり、創造科学もその立場である[23]、とする。

奥山実は以下のような理解のしかたを提示した[24]
初代教会 - 聖書と科学は一つ。プラトン、アリストテレスを一掃

中世ローマ・カトリック - 聖書と科学の分断。

宗教改革 - 聖書と科学は一つ。ギリシャ・ローマ的異教の要素を一掃し、科学が誕生する

近代主義 - 聖書と科学の分断。

創造科学 - 聖書と科学は一つ。啓蒙主義と進化論を一掃

創造科学に対する評価・反応や社会的なできごと
多くの自然科学者の評価

査読のある科学雑誌では創造科学を支持する論文が掲載されることはなく、通常の意味においての科学者で創造科学を認めている人はほとんどいない。主要な科学者団体は、創造科学を進化論などに比肩し得る学術的内実と検証に耐える厳密さ、学究的良心を備えているとは認めておらず、むしろ典型的な疑似科学であると考えている。それらの科学者の多くは、聖書の記述が事実を描写したものであるかどうかを科学的に検証することはできないと考えている。
アメリカへの影響

なぜ、アメリカ合衆国で創造科学が影響力を持つに至ったかについては、「ウィリアム・ジェニングズ・ブライアンによる組織化による影響が大きかった[要出典]」とされている。ブライアンは3度民主党大統領候補となった人物であり、婦人参政権、累進課税等の進歩的制度をアメリカに導入した人物である。

「ブライアンは、ダーウィニズムを社会に援用しようとする社会進化論が、ナチス・ドイツやアメリカにおける優生思想を正当化する理論の根拠となっていることに危機感をもっていた。また自然淘汰説を、敵を排除することで生き残ろうとする反キリスト教的理論と理解していた。アメリカに反キリスト教の動きが広がることを阻止するため、ファンダメンタリストと結びつき、進化科学を公立学校で教えることを禁止する法律をつくるよう推進したのである。」と分析されている[誰?]。現在でも、このブライアンの考え方は南部州を中心に根強く残っており、進化論に対して否定的な意見を持つ者が多い。
裁判

創造科学の問題は実際に裁判で争われている。アメリカ合衆国ルイジアナ州の「公立学校教育法における創造科学と進化科学の均衡的取り扱い」という法律についての裁判において、1987年、連邦裁判所は創造科学は反証可能性をもたないので科学ではないと結論し、この法律に違憲判決を下している。

2005年にはペンシルベニア州でも同州のドーバー学区が高校の生物の授業に創造科学教育を導入しようとした。しかし保護者の訴えにより起こった裁判で同州連邦地裁は同年12月20日創造科学教育に違憲判決を下した。ジョーンズ判事は創造科学は「科学理論ではなく宗教的見解」だと判断し、創造科学の目的は「公立学校で宗教を教えることにある。信じられない愚行だ」と述べた。「進化論裁判」も参照
日本での創造科学

日本における創造科学は比較的新しい分野である。よくアメリカの福音派や南部の教会の影響を受けたなどといわれるが、それは誤りである。キリスト教(プロテスタント)の教会にもその存在自体が少しずつ浸透してきている。これまでは教会内でも無益と思われる論争をさける傾向があり、科学と宗教は別物であるとされてきた。これは一般的にも同様で、一部を除いて論争にすらならなかった。だが近年は創造論に基づくキリスト教雑誌も複数刊行されはじめており[25]、はっきりと創造科学を支持する信者の数がわずかながら増加しているようである。
インテリジェント・デザイン

創造科学においては24時間6日間の創造が主張され、大進化が否定されるが、インテリジェント・デザインは近代科学の説を受け入れており、創造科学とは異なる[要出典]。

近年アメリカで始まったもので、聖書から科学的に論証しようとする宗教的な論説の創造科学を基礎にして、より多くの人々に受け入れられるように全てを創った存在を「創造者(神)」と言わず「偉大なる知性」と表現し、この知性によって宇宙・地球が設計(デザイン)され、創造されたとするものである。特定の宗教の教義に依存しない不偏的・客観的な視点で理論を構成することで、政教分離を原則とする公教育においても採用されることも意図して提唱された理論だといわれている。

聖書を絶対的なものと見なす立場からは「聖書的な信仰を必ずしも前提としていないため、政治的イデオロギーや、カルト宗教などに利用される事が懸念される」ものと見なされている。また、科学的な学説を支持する立場からは「創造科学の宗教色を覆い隠しただけであり、本質的な違いはない」と見なされている。「インテリジェント・デザイン」も参照
風刺・皮肉・パロディー

創造論者の中には「平等の為、進化論のみならず創造科学も学校で教えるべきだ[要出典]」と主張する者もいる。また創造論者から生まれた「インテリジェント・デザイン (intelligent design, ID)」を支持する人の多くは、生物のデザインを支配する「何者か」が「キリスト教の神である」事をあえて明言しない者も多い[要出典]。こうした姿勢から「宗教であるのに科学に見せかけようとしている[要出典]」と非難されることがある。

創造科学者を批判する為に作られたパロディカルト宗教空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団」はこの点を皮肉って、「平等のため「スパゲッティ・モンスター」が人類を作ったという説も学校教育で教えるべきだ」と主張していて、「ブッシュ大統領を始めとした(創造した何者かを明言しない)創造論支持者達は我等がスパゲッティ・モンスター教を学校教育に採り入れるために戦ってくれているのだ」とこの主張を皮肉っている。
脚注[脚注の使い方]
脚注、解説
^ 「現在の地球にはノアの方舟に関する記述の通りに“全ての山々を覆い尽くす”ような量のは存在しない。[要出典]」との指摘があった[誰?][いつ?]。
^ 現在の地球の地形では大洪水を起こせる量の22%の水しか存在しない
^ 「このように、天地創造からはじまり、再臨で終末を迎える世界観をもっており、世人とは異なっている。聖書に根拠をおいており、科学は道具である。[要出典]」とコメントされた[誰?][いつ?]。
^ それに対し、多くの自然科学者は、創造科学は根拠を宗教的信念や聖書に求めることから「反証可能性」を含まず、科学ではなく疑似科学であると見なしている。


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