米国政府は1970年代末から明確な政策意図のもとで新規企業の支援を行ってきた[1]。特にシリコンバレーでは自律的にベンチャーの創出と成長が促され、AppleやGoogle、Facebookなど世界有数企業が複数生まれた[1]。
『Forbes Global 2000』で米国企業は466社がランクインし、その3分の1に当たる154社が1980年以降に起業した会社であった[1]。また、『Forbes 2013』によると1980年以降に起業した会社の2013年5月時点での時価総額は約3.8兆ドルであった[1]。
アメリカでは民間雇用の約1割がベンチャー企業による雇用創出であり、雇用政策においても重要な位置を占めている[1]。 イギリスでは深刻化した経済停滞の対策としてサッチャー政権の時代以降、公立学校に通う5歳から18歳を対象とした、アントレプレナーを生み出すためのカリキュラムである「学校用起業教育プログラム(School Enterprise Programme)」が実施されている[5]。 江戸時代以前に創業し、現在も存続している商家なども多い。社歴200年を超える老舗企業の国際団体エノキアン協会には、日本から8社が参加している。幕末や明治維新以降は、開国と殖産興業政策もあって起業が活発化。後の財閥も含む多くの大企業も、この時期に創業されて成長した。 第二次世界大戦後の日本において起業が活発となったのは、主に終戦直後と高度経済成長期である[6] 。 ベンチャーの起業についてみると、1970年代の日本ベンチャー・ビジネス協会 バブル経済崩壊後は起業は減少傾向にあるが、インターネット・バブル以降、情報関連企業の起業が活発化した時期もある。それでも「開業率」に表れる日本人の起業志向は海外に比べて低いと指摘されている[8]。起業が不活発だと、イノベーションの停滞など経済に悪影響を与えることが懸念されるため、日本を含む各国の政府や地方自治体、大学、経済界は後述する様々な施策で起業を支援・奨励している。 起業する際の経営スキル向上のための一般向けの起業家教育が行われている[* 2]。 また、資金力や経営ノウハウの乏しい創業期において、インキュベーターによる援助を受ける場合もある。近年、大学等がインキュベーターの設立に乗り出し、起業支援体制は徐々に整いつつある。 日本政府は、起業しやすい法制度とするため、当時(1990年改正の商法で)存在した会社設立時の資本金規制(株式会社で1000万円以上、有限会社で300万円以上)について、サラリーマンなどの事業経営者以外の者が設立する際に限り資本金規制を緩和する等、中小企業支援のための法整備を行った。2006年5月には会社法が施行されたが、同法においては、資本金規制が完全撤廃されている[9]。 日本の教育界では貨殖や金儲けを卑しむ道徳観によって、子供にお金について教えることを忌避する風潮があった[5]。また、日本の学生は「寄らば大樹の陰」意識により生涯にわたり企業や官公庁に雇用されること (「就社」とも言われる ) を希望する者が多く、米国や台湾と比較すると起業を目指す若者が少ない。資金調達が主に銀行などの間接金融が中心であったり、経験のない個人には資金の調達が難しかったり、大量資本のために借金して経営に失敗すると個人として多額の借金を負う社会環境があること等に原因があるともいわれるが、起業家(アントレプレナー)があらわれなければ、制度的、経営的に起業容易な社会環境が整えられたとしても、起業が活発になることはない[11]。 日本の学校教育では、戦中の旧国民学校高等科、さらに戦後しばらくの間、義務教育(中学校)の課程において職業教育(実業教育)が行われていた時期もあった(戦前は実業科、戦後は職業科という教科)。しかし、旧文部省は義務教育における実業教育を課程から削除したため、実業教育は、職業高等学校や実業学科を置く一部の大学のみに委ねられることとなり、起業を含めた実業に関する理解を深める機会がほとんど無いまま社会に出される若者が大量に現れるようになった。 この現状に対して、起業家教育を再び行われる動きが生まれた。1980年代「起業家育成」は主に企業内で取り組まれており、「社内起業家育成」と表現された[12]。
イギリス
日本
歴史
創業期の支援や育成
起業と資金
形式的には資本金1円で会社の設立が可能である。しかし、業種によっては個別の法令で最低資本金の制限が存在し、設立登記費用が6万円以上かかる。そもそも現在の通貨価値において1円の資本金の企業の存在意義についての問題もある。
一連の法整備では、創業間もない企業に資金を供給する「エンジェル」と呼ばれる個人投資家に対する税制の優遇措置も行われたが、諸外国に比べメリットの少ない問題点が指摘されている[10]。
日本での実業教育の消滅と起業教育のはじまり
Size:26 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef