副都心
[Wikipedia|▼Menu]
また、20世紀後半の建設技術では地震や地盤強度の問題などから超高層ビルを建てづらく[† 1]、都心部のみで中心業務地を賄えなかったため、東京都内に新たな業務指定地区を設定して「副都心」とした。さらに、バブル経済期には地価が暴騰したため、都内に「副々都心」、周辺県には「新都心」と呼ばれる業務指定地区を設け、中心業務地区の分散を図った。
新都心

副都心以外でも、郊外に新規開発をして都心を形成したところや、都市の中心部を再開発して都心の機能を高めたところを新都心と称することがある。東京近郊の新都心については、後節「東京隣県の拠点地区」を参照。
関東大都市圏「関東大都市圏」および「東京を中心とする地域の定義一覧」も参照東京スカイツリー付近から皇居方面を見た東京都心部

東京は、ニューヨーク都市圏を上回る世界最大の経済規模の都市圏および都市圏人口を形成および有する、有数の世界都市となっている。また日本のが一極集中し、他の都市と比べて格段に大きな中心業務地区(CBD)を形成している。

中心業務地区は広大なため地域ごとに機能分担が進んでおり、「都心」「副都心」の範囲は用いる指標により変化し、定義によっては相当多数の副都心を持つことになる。国内最大規模のCBD(中心業務地区)である東京駅界隈(丸の内大手町有楽町日比谷〉・日本橋など)はトップクラスの業務集積、上場企業数、昼間人口、商圏規模を誇る。そのため、東京駅一帯の膨大な業務機能を分散するために、新宿渋谷池袋などに副都心が設けられた。また都心・副都心以外にも商業中心を持ち、他都市の何倍もの商機能集積を見せる。山手線の駅を中心にターミナルが複数形成され、巨大なオフィス街や繁華街がいくつも存在している。これらの商業中心相互間の距離は比較的大きいが、地下鉄やJR、私鉄などの安価な鉄道網が高密度に張り巡らされ、都市圏内が時間的に近接している。

ほとんどの場合、関東地方において単に「都心」と言った場合は東京都区部(23区)の中心部を示す[† 2][10]。「都心等拠点地区」も参照。
東京都区部
東京の都心部
主な範囲


都心という概念は
明治時代江戸から東京に改められ定められた区制市制などの大都市制度に基づいており、1878年(明治11年)、郡区町村編制法が制定され、宮城(皇居)周辺の都心部に、麹町区神田区日本橋区京橋区など15区が定められた。

1889年(明治22年)には、この都心15区に市制が施行され、東京市となる。1932年、周辺82町村が編入され、既存の都心15区に加えて、郊外20区が定められ、35区となった。その後統合により23区になり、1958年までは、千代田区中央区港区新宿区文京区台東区を『都心6区』と呼んだ。現在は「東京都心」に対する明確で統一的な定義はなされていない。

メディアおよび行政不動産業界が使用している『都心3区』や『都心5区』などは、東京都が定める正式な区分ではなく、あくまで便宜上の造語である[11]。そのため、同じ『都心◯区』でもメディアごとに区分がまちまちである。使用例として、都市機能が高度に集積した千代田区中央区港区を『都心3区』と呼ぶことが多い(千代田区は旧麹町区・旧神田区、中央区は旧日本橋区・旧神田区、港区は旧芝区・旧麻布区・旧赤坂区の区域に相当する)。さらに区の全域が東京の旧市内に含まれる文京区台東区を含めて『都心5区』と呼ぶ場合もある(文京区は旧小石川区と旧本郷区、台東区は旧下谷区と旧浅草区に相当)。旧東京市を含む地域として都心8区の区分もある(千代田区・中央区・港区・文京区・台東区・新宿区・墨田区江東区)。ただし、不動産業界では旧市内で区分するのではなく、千代田区・中央区・港区の『都心3区』に地価の高い地域の多い新宿区渋谷区を加えて『都心5区』と呼ぶのが一般的になっている。

都心5区(太字は「都心3区」)

千代田区

中央区

港区

新宿区

渋谷区

東京の副都心

都心への業務機能の分散の観点から、東京都が策定した副都心は7か所存在する。

新宿副都心(新宿区

渋谷副都心(渋谷区

池袋副都心(豊島区

上野・浅草副都心台東区

錦糸町・亀戸副都心墨田区江東区

大崎副都心品川区

臨海副都心港区江東区品川区

新宿渋谷池袋の3地区は1958年に東京都心の機能分散を目的に指定され、副都心の中でも最も重要な地域であるため『3大副都心』と称されることがあり、指定からちょうど半世紀を経た2008年にはこの3地区を結ぶ地下鉄路線がそのまま「副都心線」の名称で開業した。特に新宿副都心に関しては西新宿を指すことが多く、他にも「新宿新都心」と言われることもある。新宿駅渋谷駅池袋駅はその鉄道交通の利便性から世界最大級のターミナル駅として発展しており、百貨店や専門店などの商業施設が多数集積し、都心部に匹敵する巨大繁華街へと成長した。ただし、丸の内大手町(いわゆる大丸有)といった都心のオフィス街と比べると、業務機能の集積は及ばない。

上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎は1982年にバランスの取れた東京の育成を目的として副都心に追加された。そして、1995年お台場地区を含む臨海副都心が追加された。

鉄道が電化されるまでは皇居付近への乗り入れが認められていなかったため、北は上野、南は新橋、東は両国橋(現両国[† 3][12]、西は万世橋(後の交通博物館前)が端点となっており、品川・渋谷・新宿・池袋・上野が他の鉄道路線との接続駅となった。3大副都心及び上野・浅草は、東京市戦前私鉄の都心(山手線内と15区内の大部分)乗り入れを認めなかったことから、郊外へのターミナル駅として発達した。上野は東北北陸方面への「北の玄関口」として発達し、京成電鉄の拠点ともなった。古くから繁華街であった浅草は東武鉄道の拠点ともなった。また、池袋は東武および西武の、新宿は京王小田急・西武の、渋谷は東急・京王の、品川は京急のそれぞれ拠点として発展を遂げた。

臨海副都心以外の6副都心は「副都心整備指針」で、臨海副都心は「臨海副都心まちづくり推進計画」などで定められている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:209 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef