剣道
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練習量や個人差があるが耳鼻咽喉科などで人工内耳や補聴器で聴力の補完が可能[24]
アキレス腱断裂

常にすり足で移動し、打突時に急加速するという競技特性のため、他競技よりアキレス腱断裂が多いという報告がある[25]。特に後ろ足となる左アキレス腱を打突時に断裂する事例が多い[25]

稽古前のストレッチだけでは予防が難しいため[25]、アキレス腱用サポーターを使用する他、床下にはスプリングを入れるなどの対策もあるが、費用の面から対応した施設は限られる。講談社創業者で社員教育に剣道を奨励した野間清治は、稽古中にアキレス腱断裂をした経験があることから、野間道場の建設時に床下へスプリングを入れている。
慢性外傷性脳症

脳震盪に至らないレベルの衝撃であっても、繰り返し頭部への打撃を受け続けることによって脳組織にタウ蛋白が蓄積し、認知症を発症することがある。剣道についてもリスクが指摘されており[26]、実際に剣道家が発症した症例についても報告がなされている[27]

また、剣道の防具は、衝撃のピークを和らげるものの、頭部に伝達されるエネルギーを減少させてはいないことが示されており、面をつけていても脳への悪影響が避けられないおそれがあることが指摘されている[28]
その他

突きによる咽喉部や頸動脈の負傷、脳震盪、竹刀の破片による眼球の刺し傷など。また、小手への打撃が逸れて上腕部に竹刀の先が突き刺さる、肘に直撃したりすることも稽古中にある。肘や上腕は防具にとって死角となるのでここに打撃を受けるとかなりの苦痛を受ける。

胴打ちが脇の下、太腿に外される(外してしまう)こともある。こちらもかなりの苦痛を受ける。

予防や処置、救急は、全日本剣道連盟 剣道と医・科学[29]を参照。
試合形式

以下は全日本剣道連盟の場合である。

試合は常に1対1で戦う。これは団体戦の場合も同じである。選手は試合場に入り二歩進んでお互いにをし、三歩進んで蹲踞したあと審判員の「始め」の声がかかってから立ち上がり、勝敗が決するか規定の試合時間が経つまでお互いに技を出し合う。原則として三勝負であるが、一本勝負も認められている。
試合場

張りの床に境界を含め19mないし11mの正方形試合場を作り、試合をする。境界は普通、白のラインテープを貼って分ける。また、試合開始時の立ち位置は試合場中心付近に白のラインテープで示される。
試合時間

試合時間は小学生2分、中学生3分、高校生以上4分、延長戦の場合には3分が基準である。しかし、運営上の理由などからこれ以外の試合時間を採用することも認められており、全日本選手権等の公式大会の決勝戦では、2007年(平成19年)から試合時間が10分に変更された。

全ての技は、竹刀で防具の決められた箇所を打突するものである。

技一覧表技の詳細技名特記事項
小手を打つ技小手打ち、引き小手打ち、出鼻小手
面を打つ技面打ち、引き面打ち、小手面打ち
面の当てを突く技突き小学生、中学生は原則禁止。高校生以上でも、この技を禁止とする大会もある。
胴の当てを突く技胸突き以前は相手が上段の構えを取っている時のみ一本になった。後、相手が二刀流の場合のみ認められていた。
胴の右側を打つ技胴打ち、引き胴打ち、抜き胴
胴の左側を打つ技逆胴打ち

これに、技を出す直前までの流れから「相(あい)?」「抜き?」「返し?」「払い?」「すり上げ?」「引き?」などの接頭辞が付く場合もある。
有効打突

有効打突(一本)とは、.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部(弦の反対側の物打ちを中心とした刃部)で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるもの

である。審判員はこれに該当しているかどうかを判断してを挙げる。
反則

反則を一試合中に2回犯した場合は、相手に一本を与える。

相手に足を掛けまたは払う。

相手を不当に場外に出す。

試合中に場外に出る。

自己の竹刀を落とす。

不当な中止要請をする。

相手に手をかけまたは抱え込む。

相手の竹刀を握るまたは自分の竹刀の刃部を握る。

相手の竹刀を抱える。

相手の肩に故意に竹刀をかける。

倒れたとき、相手の攻撃に対応することなく、うつ伏せなどになる。

故意に時間の空費をする。

不当な鍔(つば)迫り合いおよび打突をする。

審判員

3名の審判員(1名の主審、2名の副審からなる)が紅白を持ち、旗を挙げることで有効打突の意思表示とする。2名以上が有効打突の表示をした場合、もしくは1名の審判員が有効打突を表示し2名が判定の棄権を表示した場合、一本となる。また、主審は次のいずれかの場合、「止め」の宣告と同時に紅白両方の旗を平行に挙げ、試合を中断させることができる。

反則の事実

負傷や事故

危険防止

竹刀操作不能の状態

異議の申し立て

合議

試合者から中断の要請があった場合(この場合、主審は要請の理由を質し、不当な要請の場合は審判の合議の上、反則となることもある)

なお、試合中断は副審から申し出ることもできる。その際に副審が「止め」の宣告後、直ちに主審が「止め」の宣告をして試合を中断する。

鍔(つば)迫り合いがこうちゃく(膠着)した場合、主審は 「分かれ」の宣告と同時に両旗を前方に出し、両者を分け、その場で「始め」の宣告と同時に両旗を下ろし、試合を継続する。「分かれ」の場合の試合時間は中断しない。
勝敗

勝敗は、試合時間のうちに三本勝負の場合二本、一本勝負の場合一本先取した選手を勝ちとする。また三本勝負において一方が一本を取り、そのままで試合時間が終了した場合にはその選手を勝ちとする。試合時間内に勝敗が決しない場合には、延長戦を行い先に一本取った選手を勝ちとする。延長の代わりに判定あるいは抽選によって勝敗を決する場合、または引き分けとする場合もある。判定および抽選の場合には勝者に一本が与えられる。団体戦における代表戦も原則一本勝負である。
二刀流二刀流の選手(左)

成年者は原則として二刀流は禁止されていないが、使用者の数は少ない。昭和初期に学生の間で試合に勝つためだけに、団体戦において二刀流の選手を防御一辺倒の引き分け要員とする手段が横行したため、一部の学生大会では二刀を禁止するようになった。太平洋戦争後、剣道が全日本剣道連盟の下に復活した際も、学生剣道界では戦前に倣って二刀を禁止したために、二刀を学ぶ者が非常に少なくなってしまった。

ただし、伝統が断絶するのを危惧する声もあり、1992年(平成3年)に大学剣道(公式試合・昇段審査)でも解禁された。しかし、高体連中体連の公式試合・昇段審査においては未だに禁止されており、また小学生・中学生は申し合わせ事項で片手技は有効としないとされているため、高校生以下では事実上禁止されている状況である。

二刀流の竹刀は大刀小刀を用いる。それぞれ長さと重さが決められており、男性の場合、大刀は37以下(一刀の場合は3尺9寸以下)、小刀は2尺以下となっている[30]。長らく二刀流が否定されていたため、また上記の通り竹刀も短く、かつては二刀流の相手に対しては胸突きも認められていたというハンデキャップがあるため、指導者・使用者とも少ないのが現状である。
異種試合なぎなた女子と剣道男子の接近戦

異種試合とは、異なる武道との試合のことである。高野佐三郎1920年大正9年)に著した『日本剣道教範』(P119-P120)には銃剣鎖鎌との戦い方が解説されている。昭和天覧試合では銃剣術との試合が行われた。現在は全日本剣道演武大会など特別な大会で、なぎなたとの試合がエキシビション的に行われる程度であり、全日本剣道連盟と全日本なぎなた連盟も公式な異種試合のルールを整備していない。
主な大会

全日本剣道選手権大会

全日本女子剣道選手権大会

世界剣道選手権大会


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