フランスにおける剣戟映画は、1950年代、1960年代に黄金時代を迎えた。ジェラール・フィリップが、1952年(昭和27年)のクリスチャン=ジャック監督作『花咲ける騎士道』でその幕を開いた。ジョルジュ・マルシャル
がそれに続き、アンドレ・ユヌベル監督の『三銃士』(1953年)、フェルナンド・セルチオ監督の『ブラジュロンヌ子爵』(1954年)等が生まれた。ジャン・マレーが主役を演じ、ジョルジュ・ランパン監督の『城が落ちない』(1957年)、アンドレ・ユヌベル監督の『城塞の決闘』(1959年)と『快傑キャピタン』(1960年)、ピエール・ガスパール=ユイ監督の『キャプテン・フラカスの華麗な冒険』(1961年)、アンドレ・ユヌベル監督の『狼の奇蹟』(1961年)、アンリ・ドコワン監督の『鉄仮面』(1962年)に主演した。『キャプテン・フラカスの華麗な冒険』では助演俳優だったジェラール・バレーは、ベルナール・ボルドリー監督の『三銃士』(1961年)、『騎士パルダヤン』(1962年)、『剣豪パルダヤンの逆襲』(1964年)で主役となり、アントニオ・イサシ=イサスメンディ監督の『フォンテンブローの決戦』(1964年)にも主演した。
本ジャンルには、フランソワ・ペリエとブールヴィルが主演したアンドレ・ユヌベル監督の『弟ルセル』(1954年)のような、ユーモアに満ちたヴァリエーションが存在する。あるいは、フィリップ・ド・ブロカ監督の『大盗賊』(1962年)やジャン=ポール・ル・シャノワ監督の『盗賊紳士マンドラン』(1962年)のような、歴史劇的なヴァリエーションも存在する。ミシェル・メルシェ主演によるベルナール・ボルドリー監督の『アンジェリク はだしの女侯爵』(1964年)のような、センチメンタルなサーガも存在する。
さらに30年後、剣戟映画は新しい流れをつかんだ。かつて『コニャックの男』(1971年)を監督したジャン=ポール・ラプノー監督が、ジャン・ジオノの小説『屋根の上の軽騎兵』とエドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を翻案したのがそのきっかけで、ジェラール・ドパルデューが主演した『シラノ・ド・ベルジュラック』(1990年)、オリヴィエ・マルティネスが主演した『プロヴァンスの恋』(1995年)であった。ベルトラン・タヴェルニエが監督し、ソフィー・マルソーが主演した『ソフィー・マルソーの三銃士』(1994年)といった女性版の剣戟映画もこの時期に生まれた。
上記の動きと対照的に、ガブリエル・アギヨン監督の『ル・リベルタン』(2000年)やベルニー・ボンヴォワザン監督の『ブランシュ』(2002年)といったコミカルな剣戟映画も生まれたが、さほど大衆に受け入れられることはなかった。
おもな作品 (フランス)
花咲ける騎士道 (1952年)
三銃士 (1953年)
ブラジュロンヌ子爵 (1954年)
弟ルセル Cadet Rousselle (1954年)
城が落ちない La Tour, prends garde ! (1957年)
城塞の決闘 Le Bossu (1959年)
快傑キャピタン Le Capitan (1960年)
キャプテン・フラカスの華麗な冒険 Le Capitaine Fracasse (1961年)
狼の奇蹟 Le Miracle des loups (1961年)
鉄仮面 (1962年)
三銃士 (1961年)
騎士パルダヤン Le Chevalier de Pardaillan (1962年)
大盗賊 (1962年)
盗賊紳士マンドラン Mandrin, bandit gentilhomme (1962年)
剣豪パルダヤンの逆襲 fr:Hardi ! Pardaillan (1964年)
フォンテンブローの決戦 La Mascara de Scaramouche (1964年)
アンジェリク はだしの女侯爵 Angelique, Marquise des Anges (1964年)
コニャックの男 Les Maries de l'an II (1971年)
シラノ・ド・ベルジュラック Cyrano de Bergerac (1990年)
ソフィー・マルソーの三銃士 (1994年)
プロヴァンスの恋 Le Hussard sur le toit (1995年)
ル・リベルタン Le Libertin (2000年)
ブランシュ Blanche (2002年)
花咲ける騎士道 (2003年)
おもな俳優・女優 (フランス)
ジェラール・フィリップ
ジョルジュ・マルシャル en:Georges Marchal
ジャン・マレー
ジェラール・バレー fr:Gerard Barray
フランソワ・ペリエ en:Francois Perier
ブールヴィル
ミシェル・メルシェ
ジェラール・ドパルデュー
オリヴィエ・マルティネス