1962年、通信教育による高校卒業資格取得後、本格的に役者を目指して上京する。東京芸術座研究所第1期生となり、1963年4月、劇団俳優座養成所15期生となる[3][4][6]。同期に地井武男、原田芳雄、夏八木勲、小野武彦、村井国夫、林隆三、高橋長英、秋野太作、浜畑賢吉、竜崎勝、栗原小巻、太地喜和子、赤座美代子、三田和代ら、錚々たるメンバーが並ぶ、花の15期の一人であった[3][4]。新宿の歌声喫茶「灯(ともしび)」でボーイや[4]、工事現場、印刷工、サンドイッチマンなどの労働に励みながら役者になるチャンスをうかがった。1964年、2学年上の女性と結婚。
デビューから1966年までは本名の前田信明で活動し、翌1967年より現在の芸名へ改名。
俳優仲間からは「吟ちゃん」、後輩の役者達やタレント陣からは「吟さん」の愛称で呼ばれる。
1964年、『判決』第1シリーズ・第105話「沖縄の子」(NET)でデビュー。1965年、『純愛物語』(朝日放送)に主役として出演する。
1968年、現在の芸名に改名直後に出演した『ドレイ工場』で誠実な工員役を演じる。この演技が山田洋次監督の目にとまり、1969年、山田監督の映画『男はつらいよ』に寅次郎の妹さくらに惚れる印刷工・諏訪博役として出演した。この役柄に前田の人柄がベストマッチし、さくらと結婚した博としてシリーズ50作全てに出演した。1977年には森谷司郎監督『八甲田山』で斉藤伍長を演じる。
橋田壽賀子・石井ふく子関連作品には多数出演しており、特に1980年放送の『心』(TBS系)での宮寺順一役は前田の代表作になった。
大映ドラマへの起用も多く、しぶとい悪役を演じた。2002年4月1日から同年9月27日までの半年間、テレビ朝日系の『スーパーモーニング』の司会を務めた[7]。また、歌手としてもシングルレコード3枚、シングルCD1枚をリリースしている。
近年はテレビ・ラジオのバラエティ番組やトーク番組、新聞・雑誌等のインタビューへの出演も多い。2020年3月まで放送のテレビ東京系[注 1] のクイズ番組『二代目 和風総本家』の2代目司会を2019年5月16日から務めていた[注 2]。
2021年に妻をすい臓がんで亡くし、2022年に歌手の箱崎幸子(箱崎晋一朗の未亡人)と再婚した[2]。
出演
テレビドラマ
判決(NET)
第1シリーズ・第105話「沖縄の子」(1964年)
近鉄金曜劇場(ABC / TBSほかJNN基幹局)
『愛とこころのシリーズ・純愛物語』(1965年、制作はTBS)
若者たち(1966年、CX / 俳優座)
七人の刑事(1967年、TBS)
第275話「動物の時間」(1967年)
第326話「ハロー! ボクサー」(1968年)
特別機動捜査隊(NET / 東映)
第293話「飛び散る青春」(1967年) - 若山
第299話「夜の季節」(1967年)
第362話「車椅子」(1968年)
大河ドラマ(NHK)
竜馬がゆく(1968年) - 岡田以蔵
おんな太閤記(1981年) - 蜂須賀小六
春日局(1989年) - 本多正純
功名が辻(2006年) - 祖父江新右衛門