判例
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ある判決が最高裁判所の判例や大日本帝国憲法下の大審院高等裁判所の判例に反する場合、刑事訴訟上告理由となり(刑事訴訟法405条2号3号)、民事訴訟で上告受理申立理由となり(民事訴訟法318条1項)[注釈 1]、また許可抗告事由(民訴法337条2項)[注釈 2]となる。

上級裁判所は、法令解釈に誤りがある場合は原裁判を破棄することができる(刑訴法第397条第1項、第2項、第400条。民訴法第325条第1項、第337条第5項)。
日本における公式判例集

一般に公式判例集に登載する裁判の選択は、最高裁判所に置かれている判例委員会でなされる(判例委員会規程第1条、同第2条)。7人以下の裁判官が委員となり、調査官および事務総局の職員が幹事となり、原則として月1回開かれている。そこで、判例集に登載されることが決定された判例については、幹事の起案した判示事項、判例要旨、参照条文なども審議決定される[6]。判例委員会は、何かが判例であるかを公的に決定するものではないが、この判例委員会の決定は重要な手がかりになると見なされている[7]。また判例集の記述がなんらかの確定的事実を述べたものではないことには注意すべきだとされる[注釈 3]

大陸法系の訴訟手続をとる日本では、判例に法律や政令と同じような価値はない。国会の定める法律(あるいはより下位の存在である条例)が法源として採用されることが原則である。一方で、法的安定性や法の下の平等といった要請から、判例に制定法や慣習法とは異なる二次的なものとしての法源性を認めるべきであるという有力説もある[9]
判例の一覧

判例集、判例の一覧(英語版)

English Reports(英語版) - 英国の judgments of the higher English courts における1220 - 1866年の判例をまとめた判例集。

Law report(英語版) - 1865年以降のイギリスの判例集で法廷で使われ、最も信頼度の高い判例集[10]

Recueil Sirey(1791-1964) 、Recueil Dalloz(1845‐1964)‐ フランス[10]

Entscheidungen des Bundesverfassungsgerichts(ドイツ語版) - ドイツ。

Category:判例

Category:アメリカ合衆国の判例

en:Category:English case law - イギリスの判例

Category:言論・表現の自由に関する裁判

Category:国際裁判所の判例

Category:国際司法裁判所の判例

Category:日本の判例


脚注
注釈^ 上告受理の申立ては「原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」について申立てがされる。
^ 高等裁判所の決定及び命令について「最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合」について申立てがされ、高等裁判所がこれを許可したときにすることができる(民訴法337条第1項、第2項)。
^ 中野次雄 2002, p. 30によれば、「判例とその読み方(改訂版)」P.30によれば、「(判例集の)作成者としては、その裁判の「判例」だと自ら考えたものを要旨として書いたわけで、それはたしかに「判例」を発見するのに参考になり、よい手がかりにはなる。少なくとも、索引的価値があることは十分に認めなければならない。しかし、なにが「判例」かは・・大いに問題があるところで、作成者が判例だと思ったこととそれが真の判例だということとは別である。現に要旨の中には、どうみても傍論としかいえないものを掲げたものもあるし・・稀な過去の例ではあるが、裁判理由とくい違った要旨が示されたことすらないではない・・。判決・決定要旨として書かれたものをそのまま「判例」だと思うのはきわめて危険で、判例はあくまで裁判理由の中から読む人自身の頭で読み取られなければならない」のであるという[8]

出典^ 畑佳秀 2019, p. 45.
^ “ ⇒London Street Tramways Co Ltd v London County Council [1898] AC 375”. e-lawsource.co.uk. 2021年12月8日閲覧。
^ 畑佳秀 2019, pp. 46?47.
^ 畑佳秀 2019, pp. 52?53.
^ 畑佳秀 2019, pp. 45?46.
^ 村林隆一 2003, p. 81.
^ 今村隆 2009, p. 52, 脚注45.
^ 村林 2003, p. 81.
^ 土屋文昭 2011, p. 224, 脚注23.
^ a b 染谷, 雅幸、石川, 優佳、内記, 香子「海外の法令・判例情報(<特集>法令・判例情報)」2001年、doi:10.18919/jkg.51.3_156。 

参考文献

中野次雄 編『判例の読み方』(改訂版)有斐閣、2002年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4641027730。 

土屋文昭「 ⇒判例に関する覚書--民事判例の主論を中心として」(pdf)『東京大学法科大学院ローレビュー』第6巻、2011年9月、218-233頁、NAID 40019036714。 

畑佳秀「 ⇒民事判例の「実践的」読み方について : 判決文等の形式面から読み取れること」(pdf)『東京大学法科大学院ローレビュー』13・14、2019年11月、44-55頁、NAID 40022090593。 

村林隆一「判例と傍論--最高裁平成12.4.11判決(民集54巻4号1368頁)に因んで」(pdf)『パテント』第56巻第4号、2003年4月、79-84頁、NAID 80016171386。 

今村隆「再論・課税訴訟における要件事実論の意義」(pdf)『税大ジャーナル』第10巻、2009年2月、27-53頁、NAID 40016626575。 

関連項目

民集

刑集

不文憲法

慣習法

判決理由

外部リンク

判例検索β - 裁判.in

最高裁判例集の検索

知的財産権に関する判例検索

裁判エッセイ35 判例委員会で学んだこと川口冨男(元高松高等裁判所長官)

『判例』 - コトバンク

典拠管理データベース: 国立図書館

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