2023年5月時点ではNTのみ。 ミクの登場でボーカロイド文化が誕生し[4]、音楽シーンには「ボカロ」という1ジャンルが築かれた[5]。 2007年当時、「ニコニコ動画」では「アイドルマスター」のMAD動画人気の影響によって「バーチャルアイドルの擬似プロデュース」の需要が高まっており、バーチャルアイドルとして企画されたミクはユーザーが待ち望んでいた存在だったと言われている[40]。クリエイターがボカロPと名乗るのもアイマスMAD文化の様式を引き継いでおり[40]、同社製品のMEIKOを使用した動画「初音ミクが来ないのでスネています」の投稿者がユーザーコメントで「ワンカップP」と名付けられ、そこからボカロ楽曲制作者のP名呼称が広まったとされている[41][42][注 7]。 ミク関連の創作はイラストやアニメなど瞬く間に一人歩きを始め[43]、クリエイターとの共創により巨大なムーブメントを形成し[44]、多彩なジャンルの公式メディアミックスにも拡大していった。この現象は「創作の連鎖」[45][6]または「N次創作」とも呼ばれ[42]、ミクが創作を結びつけるハブとして機能し[11]、あらゆるコンテンツが互いに元ネタになって派生し合った[42]。ミクは一億総クリエイター時代における新たな文化の象徴になったとも言われる[6]。 一例として模型業界では「初音ミクフィギュアブーム」が起こり[10]、初音ミクの公式ライブコンサートではミクの実在感を高める技術・演出が採用され[13]、SUPER GT300では「初音ミク GTプロジェクト」の痛車が参戦してシリーズチャンピオンに輝き[46]、書籍媒体ではボカロ楽曲を題材とした商業作品が誕生[5]。さらにGoogleといった世界的企業のCM、オペラ、オーケストラ、著名アーティストとのコラボ、歌舞伎、チャリティー活動、文化財保護プロジェクトなどミクの快進撃は続き[47]、多種多様な作品・文化がネットとリアルに拡散されていった[48]。ミクは音楽や絵画、ファッション、テクノロジー、伝統芸能、国際交流などの異なる分野をいとも簡単に融合・交配(コラボ)させた[48]。 クリプトン社の代表取締役・伊藤博之は、主催イベント「初音ミク マジカルミライ 2013」のムック本冒頭でこう述べている[49]。ユーザーの中に初音ミクという共通認識があり、いろんな方が切磋琢磨して何かを作る。 ミクの登場はDTM・同人音楽のシーンにおいて歌い手の確保というボーカル曲に挑む際のハードルを取り除くと共に、ミクが歌っていることに価値が見出されたことで新規曲でも人気を得やすくなり、それらの制作流通を容易にするという状況をもたらした[50]。それにより、ニコニコ動画を始めとする動画共有サービスのブームとも共鳴する形でDTM全般へのブームにまで波及していく[51]。
初音ミク NT
クリプトンと産業技術総合研究所が共同開発したVOCALOIDではない歌声合成エンジン、及びそれをベースにしたソフト[37][38]。「NT」は「ニュータイプ」と読む[37][39][38]。2020年11月27日発売[37][38]。日本語用音源3種類を収録し、付属するボーカルエディタの『Piapro Studio NT』はプラグインとスタンドアロンの2つのバージョンが用意された[39]。発売時に公開される音源は「Original+」のみだったが、後日「Whisper+」と「Dark+」が追加された[37][39]。
初音ミク現象・影響
ボカロという文化・ジャンルを築く - 創作の連鎖
初音ミクの絵、初音ミクで歌った声、といった共通のアイコンとしてシェアされていき、作品を好きになる人たち、自分も作品を作ってみたいと思う人たちを生んでいく。
これこそが初音ミクの象徴的な部分であり、僕らが大切にしたいと思っている価値です。