初音ミク
[Wikipedia|▼Menu]
藤田は当時とりたてて有名だったわけではなくむしろミクに声を提供したことで名が知られるようになった[24]
VOCALOID製品「VOCALOID」も参照
初音ミク(V2版)
VOCALOID2エンジン対応ソフト。2007年8月31日に発売。得意な曲のジャンルやテンポ音域も設定されているが(#公式設定を参照)、あくまで目安のため実際には非常に広い範囲で歌える[25][8]。VOCALOID2製品の中でも扱いが容易となっている[26][注 4]
初音ミク・アペンド
2010年4月30日に発売されたV2版初音ミクの拡張音源[28]。V2版初音ミクのパッケージに収録されている音声ライブラリは1つであるが、『アペンド』では、それぞれ表情付けの異なる追加音声「Sweet」「Dark」「Soft」「Light」「Vivid」「Solid」の6つのライブラリが提供され[注 5]、V2対応の初音ミクのライブラリは、合計7種類が提供された[33]。なお、『アペンド』を使用するにはV2版ミクがインストールされている必要がある[33]
初音ミク V3 / V3E
VOCALOID3対応ソフト。まず2013年8月31日に英語用音源『初音ミクV3 English』がDL限定で発売され[注 6]、同年9月26日には日本語用音源5種類を収録した『初音ミク V3』及び英語版が付属したバンドル版も発売された[28]。どれもクリプトン製ボーカルエディタ『Piapro Studio』が付属[28]。初音ミクの原点である「ORIGINAL」と、『アペンド』から「SWEET」「DARK」「SOFT」「SOLID」の4種類の計5種類の音源を収録している[35]
初音ミク V4X / V4E / V4C
VOCALOID4対応ソフト[28]。2016年8月31日よりV4X、英語用音源のV4 English、バンドル版が同時発売されている。2017年8月には中国・上海で中国語対応の音源「初音未来 V4 CHINESE」関連の記者会見が実施され、中国における初音未来公式投稿サイト「POPPRO」の創設、DECO*27による歌声デモ及びミクV4Cのねんどろいどフィギュア化を交えて大々的に発表[36]、9月に発売された。
他の音声合成エンジンを採用した製品

2023年5月時点ではNTのみ。
初音ミク NT
クリプトンと
産業技術総合研究所が共同開発したVOCALOIDではない歌声合成エンジン、及びそれをベースにしたソフト[37][38]。「NT」は「ニュータイプ」と読む[37][39][38]。2020年11月27日発売[37][38]。日本語用音源3種類を収録し、付属するボーカルエディタの『Piapro Studio NT』はプラグインとスタンドアロンの2つのバージョンが用意された[39]。発売時に公開される音源は「Original+」のみだったが、後日「Whisper+」と「Dark+」が追加された[37][39]
初音ミク現象・影響
ボカロという文化・ジャンルを築く - 創作の連鎖

ミクの登場でボーカロイド文化が誕生し[4]、音楽シーンには「ボカロ」という1ジャンルが築かれた[5]

2007年当時、「ニコニコ動画」では「アイドルマスター」のMAD動画人気の影響によって「バーチャルアイドルの擬似プロデュース」の需要が高まっており、バーチャルアイドルとして企画されたミクはユーザーが待ち望んでいた存在だったと言われている[40]。クリエイターがボカロPと名乗るのもアイマスMAD文化の様式を引き継いでおり[40]、同社製品のMEIKOを使用した動画「初音ミクが来ないのでスネています」の投稿者がユーザーコメントで「ワンカップP」と名付けられ、そこからボカロ楽曲制作者のP名呼称が広まったとされている[41][42][注 7]

ミク関連の創作はイラストやアニメなど瞬く間に一人歩きを始め[43]、クリエイターとの共創により巨大なムーブメントを形成し[44]、多彩なジャンルの公式メディアミックスにも拡大していった。この現象は「創作の連鎖」[45][6]または「N次創作」とも呼ばれ[42]、ミクが創作を結びつけるハブとして機能し[11]、あらゆるコンテンツが互いに元ネタになって派生し合った[42]。ミクは一億総クリエイター時代における新たな文化の象徴になったとも言われる[6]

一例として模型業界では「初音ミクフィギュアブーム」が起こり[10]初音ミクの公式ライブコンサートではミクの実在感を高める技術・演出が採用され[13]SUPER GT300では「初音ミク GTプロジェクト」の痛車が参戦してシリーズチャンピオンに輝き[46]、書籍媒体ではボカロ楽曲を題材とした商業作品が誕生[5]。さらにGoogleといった世界的企業のCM、オペラ、オーケストラ、著名アーティストとのコラボ、歌舞伎、チャリティー活動、文化財保護プロジェクトなどミクの快進撃は続き[47]、多種多様な作品・文化がネットとリアルに拡散されていった[48]。ミクは音楽や絵画、ファッション、テクノロジー、伝統芸能、国際交流などの異なる分野をいとも簡単に融合・交配(コラボ)させた[48]

クリプトン社の代表取締役・伊藤博之は、主催イベント「初音ミク マジカルミライ 2013」のムック本冒頭でこう述べている[49]。ユーザーの中に初音ミクという共通認識があり、いろんな方が切磋琢磨して何かを作る。
初音ミクの絵、初音ミクで歌った声、といった共通のアイコンとしてシェアされていき、作品を好きになる人たち、自分も作品を作ってみたいと思う人たちを生んでいく。
これこそが初音ミクの象徴的な部分であり、僕らが大切にしたいと思っている価値です。

ミクの登場はDTM・同人音楽のシーンにおいて歌い手の確保というボーカル曲に挑む際のハードルを取り除くと共に、ミクが歌っていることに価値が見出されたことで新規曲でも人気を得やすくなり、それらの制作流通を容易にするという状況をもたらした[50]。それにより、ニコニコ動画を始めとする動画共有サービスのブームとも共鳴する形でDTM全般へのブームにまで波及していく[51]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:308 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef