列車種別
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なお、国鉄でも運行されていたが、急行列車に格上げされる形で運行が終了、廃止された。

私鉄においては、準急の停車駅のパターンは大別して3種類ある。
準急が運行される区間のうち一部区間では急行と同じ停車駅で運行しその区間外では各駅に停車する。

準急が運行される全区間において急行より少ない通過駅を設ける

1.と2.の中間的な形態即ち運行される区間のうち一部区間では急行より少ない通過駅を設けつつその区間外では各駅に停車する。

津軽鉄道線など準急が唯一の優等種別となっている場合もある[注釈 4]

1.の例としては東急田園都市線、東武伊勢崎線および東上線、西武新宿線名鉄瀬戸線、2.の例としては名鉄名古屋本線および名鉄犬山線、3.の例としては西武池袋線神戸電鉄近鉄大阪線および奈良線における運行が挙げられる。このうち最も多い類型は1.のパターンである。

かつて快速準急という列車が運行されていたこともある(小田急小田原線#過去の列車種別を参照)。その他、急行と同様に「区間」「通勤」などをつけた派生種別も運行されている。
その他の優等種別

上述のように、民鉄事業者においても特急・急行・準急・快速という国鉄が用いた優等列車種別や、それらから派生した列車種別を基本的に使用しているが、時にはそれらの枠組みに当てはまらない列車種別が使われることもあった。
最急行・最大急行
急行の上位種別。特別急行(特急)の概念が定着するより前に存在した列車種別で、後に国有化される山陽鉄道による使用が初出。国鉄に特急が登場した後も京阪電気鉄道による使用事例がある。
高速
特急と急行の中間種別。名古屋鉄道が有料特急との区別のために料金を取らない特急を改称したもので、この施策により中京圏に「高速」の種別名が定着したことを受けて近畿日本鉄道も臨時列車「伊勢志摩号」の列車種別をそれまでの直通急行から高速に改めた。名鉄の高速は特急政策の再変更によって1990年改正で特急に戻り、近鉄の高速も快速急行に改めた後の1990年代前半に臨時列車の設定自体が消滅した。
直行
近畿日本鉄道の生駒ケーブル山上線で使用されている臨時種別。途中駅には停車しないノンストップ形式での運行で通常は夜間(行楽期は昼間も)に設定されている。過去には近畿名古屋線、南海電気鉄道、京阪電気鉄道、能勢電鉄西日本鉄道でも使用されていたほか、国鉄でも阪和線で使用されたことがある。その位置づけは区間内ノンストップを意味する近鉄生駒ケーブル山上線、能勢、西鉄と急行等の上位種別よりも停車駅が多い近畿名古屋線、南海、京阪、阪和線に二分される。
半急行
急行の下位種別。名古屋鉄道が東部線(旧愛知電気鉄道線)において1939年頃と1944年から1947年頃の期間に設定していた[2][3]。同時期の西部線(旧名岐鉄道線)では準急を使用しており、西部線昇圧による東西直通運転開始後は全線で準急を使用することにしたため、半急行は消滅した[4]
准急
急行の下位種別。西日本鉄道が用いた列車種別で、同社では「準」ではなく「准」の文字を使用した。
直通
急行の下位種別。宇治川電気(後の山陽電気鉄道)が1928年、小田急電鉄が1929年に使用を開始したが、ともに1940年代までに廃止され、復活後は別種別に移行した(山陽電気鉄道本線#直通および小田急電鉄のダイヤ改正#準急・直通を参照)。このほか、京浜急行電鉄が1949年夏に品川 - 逗子海岸(現在の逗子・葉山駅)間に設定した臨時列車に「直通」が使用されたことがある[5] ほか、阪和電気鉄道では阪和天王寺 - 阪和東和歌山間の全区間を走破する普通列車を「直通」と呼んでいた[6]
直急
準急とほぼ同位に当たる種別。阪和電気鉄道が設定した種別で、準急が天王寺寄りを速達運転するのに対し、直急は和歌山寄りを速達運転とし、反対側は各駅に停車していた。1936年4月改正でそれまで阪和天王寺 - 阪和岸和田間を運行していた普通を以南急行運転として延長した際に新設されたが、翌1937年6月の改正で元の運行区間に戻され廃止された[7]
普通・普通車・各駅停車・各停「普通列車」および「各駅停車」も参照

基本的に各駅に停車する(一部の駅を通過する場合もある)列車の種別である。なお、呼称については「普通」のほか、事業者によっては以下に大別される。

表記上は「普通」でも案内上は「各駅停車」および「各停」とする事業者

「各駅停車」および「各停」を略称とする事業者

普通車」と案内する事業者

ただし西武鉄道のように「普通」から「各停」に列車種別名を変更した事例(2008年実施)もある[8]


特記事項

2023年8月現在、日本の大手私鉄事業者で列車種別数が一番多いのは西武鉄道と京阪電気鉄道の10種別である[8]
区間種別運行されている路線などは、当該種別を運行する各事業者の記事もしくは急行列車準急列車快速列車特別急行列車の各種別の記事にも記載されているのでそれらも参照

優等列車であるが、一部区間では各駅に停車となる列車種別で、1938年京阪本線に設定された区間急行が最初といわれている。当初は関西地区のJR・大手私鉄のみで多用されていた。同様の種別は関西地区以外では、途中駅で「急行⇔普通」のように種別を変更したり、区間種別に相当する列車を「快速」などとし、その上位に「特別快速」などを設定する例が常であった。1997年に東武鉄道に関東地方では初めて「区間準急」が設定され、以降全国の鉄道事業者に「区間○○」が設定されるようになった。

例として「区間快速急行」、「区間急行」、「区間準急」、「区間快速」などがある。なお阪急電鉄と阪神電気鉄道においては上記定義とは異なり、一部区間のみ運転する列車という定義であり、阪急電鉄ではダイヤグラム上の正式種別として区間急行・区間普通が存在しているが、各種案内においては急行・普通と表現され、区間種別での旅客案内は行われていない。
英語表記

英語表記については、以下のように事業者によって差異がある。
「Section」を用いる例


東武鉄道小田急電鉄 - 「区間準急」⇒「Section Semi Express」

「Semi」を用いる例(「区間準急」を除く)


首都圏新都市鉄道およびJR東海、ならびにJR北海道「いしかりライナー」 - 「区間快速」⇒「Semi Rapid」

京阪電気鉄道 - 「Semi-exp.」

京王電鉄 - 「区間急行」⇒「Semi Express」

その他


JR西日本 - 「区間快速」⇒「Regional Rapid Service(R.Rapid)」

近畿日本鉄道など - 「近郊の」を意味する「Suburban」の略、「Sub 」の表記

東京モノレール - 「区間快速」⇒冠詞はつかず、単に「Rapid」[注釈 5]

運行方法

このような事例では、各駅に停車する区間については需要が少ない場合でその区間を通過する列車を設定しているが、地域輸送を担う列車を設定するほど需要が多くない、ないしはその区間の駅と列車始発駅周辺など一方向に需要が偏っていることから、必ずしも地域輸送にのみ特化した列車を運行するのに適していない場合にこのような列車を設定する場合が多い。

例えば「区間急行」は、起点駅付近は急行と同じ駅に停車し、郊外は各駅に停車する事が多い。

いずれも、「区間」がつかない列車より相対的に停車駅が多くなるのが一般的だが、阪神本線の「区間特急」は2009年3月20日改正時まで例外として、「特急」よりも停車駅が少ない列車となっていた。これは当該列車の設定当初、途中駅(芦屋駅)始発で大阪市内への通勤利用者に対して速達サービスを提供する戦略商品として設定されていたためである。名称については、一部区間のみ運転する特急列車ということで名付けられた。その後の一時期、三宮駅発に変更されたが、元町駅より先、神戸高速線山陽電気鉄道本線まで運行区間が延びる特急列車に対し、区間運転の列車であるということから名称は継続されている。

さらに京阪本線の「区間急行」は準急よりも停車駅が多い設定となっている(東武の快速>急行の関係と同様)。名称の根拠は、一部区間のみ運転の短距離急行列車という意であり、急行に準ずる列車である準急より下位に置かれている。本来の準急の英語名"Semi-express"は区間急行に割り当てられ、準急には本来区間急行で使われる"Sub-express"の英語名が割り当てられている。

京王電鉄では準急は存在しないが、京阪同様区間急行の英語表記が"Semi Express"となっている。「通勤快速」から改称された2013年2月22日改定から2015年9月24日までは新宿駅・新線新宿駅 - 調布駅間の停車駅は「急行」と同一だったが、2015年9月25日改正より仙川駅が停車駅に設定されたため、同区間は「急行」よりも停車駅が1駅多くなっている。

また、東武鉄道では準急と区間急行は上下関係が一致しておらず、新越谷駅 - 東武動物公園駅間では準急は各駅に停車するが、区間急行はせんげん台駅と春日部駅のみに停車する。一方で区間急行が各駅に停車する曳舟駅 - 北千住駅間では準急がノンストップとなっている。そのため、下り列車の場合、曳舟駅で準急に抜かれた区間急行がせんげん台駅または春日部駅で準急を抜き返し、東武動物公園駅より先、館林・太田方面および南栗橋・新栃木方面には区間急行が先に到着するなどといったダイヤも存在する。半蔵門線直通列車がすべて曳舟駅 - 北千住駅間ノンストップとなっているのは水天宮前駅とほぼ同じ駅である東京メトロ日比谷線人形町駅と北千住駅との距離が大幅に異なることで、速達性を高め混雑緩和と利用客の誘導をする役割を担っているためである。


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