刑罰の一覧
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時代が下ってナポレオン・ボナパルトの遠征の折、カタロニアパルチザンが、フランスの兵士を多数、鋸挽きに処した。ヨーロッパでの鋸挽き日本においても戦国?江戸期に成文化されたことがある。日本における鋸挽きは頚部切断であるケースが多く、また江戸時代以降の近世においては形式上の付加刑であった場合が殆どで、実際に鋸で頚部切断を執行した例は中世?戦国乱世期である。江戸期以前においては罪人を埋めてから鋸でひき殺し、そのまま4, 5日晒した。受刑者の苦痛を増幅させるため鋸には切れ味の悪い物や木製竹製の物が用いられることがあった。江戸時代においては尊属殺や主殺しの重大犯罪に対して行われた。鋸挽きの刑に処すと決まった者は、市中を引き回された後、首から下を埋められ首が地上に出る状態にして晒し者にされた。受刑者の首の側には鋸が置かれた。本来の規定では通行人等が自由に鋸を引いて良いという事になっていたが、実際には引かれることは滅多になかった。その後、受刑者はにより絶命させられ、数日間晒し物とされた。つまり、江戸期の法制における鋸挽きは死刑に対する付加刑であり、晒し刑の変形であったといえる。明治に至っても、一部では私刑のような状態で行われていたらしい。明治中期、北海道新十津川町で、樺戸の監獄から脱獄したものの捕らえられた囚人が、見せしめとして橋のたもとに埋められ、鋸挽きに処せられていたとの証言がある。
呼吸を阻害する方法
生き埋め
生き埋め刑に処される聖ミラン受刑者を生きながら埋めてしまう方法である。刑罰としてよりはむしろ儀式(生贄人柱等)の性格が強い。古代中国では大量虐殺をする場合に用いられ、長平の戦いで敗北した軍の捕虜40万人が秦によって生き埋めにされ、項羽もまた軍の捕虜20万人を生き埋めにした。また始皇帝が行った坑儒も同様に生き埋めであり460人もの学者を生き埋めにした。『拷問と処刑の西洋史』(新潮選書刊)によると、ヨーロッパでは、「男は車裂き、女は土へ」と言われ、永らく女性受刑者の極刑であった。またこの際には、生き埋めにした後に杭打ちが行われることが多かったという。樺太アイヌの社会では、殺人者は被害者の遺体と共に生き埋めの刑に処された。
溺死による処刑
受刑者を水の中に落して溺れさせて処刑する方法である。中世ヨーロッパでは主に堕胎した女性に対する処刑方法で、袋に入れての上からに落とした。この場合、可能性は低いが、もし脱出することが出来れば解放される。中国では沈河(ちんが)と呼ばれ、日本では薦(こも)にくるんで水の中に投げ入れるので、簀巻きと称す。
十字架刑
十字に組んだ木材に受刑者の体を両腕を広げた状態で縛りつけ、または両手両足に杭を打って固定した状態で木材を地面に立て、受刑者が力尽きて体を支える事ができなくなり、自らの肩の肉で気道を圧搾されて死亡するまで放置する処刑方法。受刑者が刑の執行開始から死に至るまでにかかる時間が極めて長い(おおむね半日?長い場合では数日)ため、政治犯や国事犯など「刑を執行する側に反逆した重罪人」に対し、さらし者にするという意図も含んでいる。場合によっては時間短縮のため、一定時間経過後受刑者の膝を叩き割って死亡させる。執行に先立ち、受刑者に処刑用の十字架を背負わせて処刑場まで運ばせ、いわゆる「市中引き回し」と同様の行為を行わせる場合もある。イエスはこの十字架刑によって処刑された。「今日の我々が中世に行われた各種の残虐な刑罰に対して催すごとき嫌悪を抱かせる刑罰であった(岩波訳聖書:マルコによる福音書、解説)」。後述の磔刑と受刑者の様子が似ている(死亡確認のため、磔刑のように受刑者を槍などで刺す場合もある。また受刑者をさらし者にする意図を含む点も共通する)ため混同される事も多いが、受刑者が死にいたるプロセスは大きく異なる。主に古代ヨーロッパにおいて行われていた。
窒素吸入
呼吸する空気を100%窒素に置き換えることによって低酸素症を誘発し、死に至らしめる方法。2024年1月25日にアメリカアラバマ州で、アメリカ史上初となる窒素吸入による死刑が執行された。2024年1月現在、アメリカではこの窒素吸入による死刑がアラバマ州のほかに、オクラホマ州ミシシッピ州で認められている。
毒物を用いる方法アメリカ、サン・クエンティン州立刑務所のガス室
薬殺刑(やくさつけい)
囚人に毒薬を注射し、または服用させて殺す刑。古代ギリシャの哲学者ソクラテスドクニンジンのエキスによって処刑された。李氏朝鮮では「賜薬」という薬殺刑があった。現在アメリカで行われている薬殺刑は三剤注射方式で、受刑者は最初のチオペンタールナトリウムバルビツール酸系の全身麻酔剤)注入で意識を失い、次の臭化パンクロニウム(筋弛緩剤)注入で呼吸を止められ、最後の塩化カリウム溶液で心臓を止められて処刑される。フィリピン、中国、タイで行われている致死薬注射刑もこれと同じだと思われる。稀に失敗する例があり、アメリカでは2006年12月に処刑に失敗し死刑囚が34分も苦しんだという。また、同じくアメリカでかつて用いられていた青酸ガスによる処刑(ガス室)もこの方法に含められる。中国の紂王が開発したとされる刑の場合は、穴の中に毒蛇を入れその中に罪人を突き落とし殺させる刑であった。日本でも死刑の際に薬物注入が行われることがある。但し鎮静目的で用いられるだけであり、あくまでも実際の処刑は絞首で行われる。
刃物等で人体を切り刻む方法
杭打ち
(くいうち)
アッシリアで串刺し刑に処されるユダヤ人主にヨーロッパで行われた処刑方法で、受刑者は墓穴兼用の穴に横たえられ、胸に杭を打たれて固定された後、埋められてしまう。処刑というより、中世ゲルマンや東欧では、怪物や、ドラキュラ伯爵など吸血鬼の殺害方法として知られる。
串刺し(くしざし)
ヴラド・ツェペシュによる串刺し刑の様子受刑者を台上などに固定し、肛門から頭部(主に)までで刺し貫いて処刑する方法である。身体を槍が貫通した後は、槍を地面に立てて死体を晒すのが普通であった。逆に口から刺す場合や、腹部を臍から背中まで貫くこともあった(受刑者を十字架に磔にして刺す場合もあったが、脇腹を刺すものは「磔刑」の項目を参照のこと)。中世ヨーロッパで盛んに見られたが、後年は廃れた。苦痛を長引かせるため、先を丸めた木製の杭を使うケースもあり、杭が臓器に突き刺さって大量出血しなければ3日もの間死ねないこともあった。ドラキュラ伯爵のモデルになったヴラド・ツェペシュがよくこの刑を執行していたことで有名である。
磔刑(たっけい)
※注意 磔の写真があります。
ご覧になる方は右端の「表示」をクリックしてください。外国人用土産写真の明治初期の磔。処刑方法は江戸時代のままで非常に貴重な資料。受刑者を十字架などに磔にし、などを用いて脇腹から内臓を突き刺す刑。前述の「十字架刑」に似ているため同一視される場合があるが、前項の方法が物理的な損傷を与えず呼吸困難から死に導くのに対し、こちらの磔刑は槍による刺殺であるため、受刑者が死に至るプロセスは大きく異なる。江戸時代の日本の磔は親殺し犯、主人殺し犯などに適用される、通常の死刑より一等重い刑罰であった。十字架上の受刑者の脇腹を槍で突いた後、そのまま肩口から突き出すまで刺し貫くのが作法である。左右の脇腹から反対の肩先に向けて交互に串刺しにして繰り返す。二?三回突かれると受刑者は絶命するが、かまわず二十数回突く。最後にとどめ衝きとして咽頭部を突いて刑が終了する。処刑後に晒されている死体を西洋人が撮影した写真が残されている。女性用は十字型、男性用はキの字型の柱を用い、男性は開脚状態で処刑される。出血と外傷性ショックによる死となり、最初の数回は体を貫通される苦痛を味わうため斬首などより苦痛は大きいといえる。なお磔の文字を使っていても、水磔は、受刑者を水際に逆さに吊るし、潮の干満によって溺死させる方法で磔刑とは異なるものである。四つ裂き刑。「吊るしてから、首を刎ねる」
腰斬(ようざん)
受刑者の胴体を切断する刑。文字通り腰部を斧などにより真横に切断し、上半身と下半身を切り離される。往々にして数分?数十分かけて緩やかな失血死を迎え、その苦痛が甚大であるため、中国では通常の死罪(棄市)より重い罪に対し科せられた。丞相であった李斯はこれで処刑された。前漢の時代までは木製の台に罪人を腹這いに横たえ、斧で切断していたが、それ以降は巨大な押し切り器で切断と止血を同時に行い、より苦痛が長引くように工夫された。江戸期日本の金沢藩にも生き胴や三段切りという腰斬刑があったが、同時に斬首して即死させるためやや趣が異なる。
皮剥ぎの刑(かわはぎのけい)
受刑者の全身の皮膚を剥ぎ取る処刑法。皮膚を失った罪人は、長時間苦しみぬいた末に死に至る。古代より、オリエントから地中海世界中国など世界各地で行われていた。中国では皮剥ぎを剥皮(はくひ)と呼び、明王朝の初期には特に広く行われていた。不正をした役人の皮を剥ぎ、中に草を詰め込んで見せしめにしたという。
腹裂きの刑(はらさきのけい)
受刑者の腹部を切開し、内臓を引き出す処刑法。ヨーロッパや中国で行われていた。ただ腹を裂くのみならず、引き出した腸をウインチに巻き取って見物人にさらす場合もある。腸の引き出しに重点を置く場合は、肛門をえぐって引き出す。腹を切開するという意味では日本の切腹と通じるが、介錯されず苦しむに任せられ、死後の名誉も守られない。
凌遅刑(りょうちけい)
中国で凌遅刑を受けるフランス人宣教師(1858年)剥皮(かわはぎ)、抽腸(はらわたの抉り出し)、烹煮(かまゆで)等と共に中国で行われた処刑法の一つ。小刀などで受刑者の肉を少しずつ削ぎ落とし、各部位を切り離したりして長時間苦痛を与えた上で殺す刑。
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