よれよれの背広服とレインコートのスタイルはフォークが作り上げたものであり、レインコート・背広服とも彼の私物である。乾燥しており降雨が少ないロサンゼルスではレインコートはほとんど普及しておらず、砂よけのダスターコートが一般的である。しかし、フォークは「コロンボに強烈な個性と独特なキャラクターをもたせたかった。そこで、(雨の少ない)カリフォルニアでレインコートを着せることにした」(『隔週刊 刑事コロンボDVDコレクション』デアゴスティーニ・ジャパン刊)という。同じコートを7年間使用している[注釈 16]。 コロンボの私有車として、くたびれたフランス製小型乗用車の1959年式プジョー・403カブリオレ(米国輸出車)がしばしば登場し、彼のライフスタイルを物語る小道具となった。ピーター・フォークが自伝で語る起用の経緯によれば、シリーズのとあるエピソードの撮影に先立ち、自らがコロンボの自家用車のチョイスを任されたが、ガレージ一杯の劇用車のどれを見ても気に入らなかった中、ガレージの隅で色褪せているうえに1輪がパンクしているプジョー・403カブリオレに遭遇、直感的に選んだものであったという。 このモデルが生産されたのは1950年代後期で、テレビシリーズ放映開始時点でも10年以上経過した旧式モデルであった。塗装もところどころまだらになっており、プジョーはドラマの中でしばしば不調を起こし、あまりに散々な見てくれに登場人物たちからはスクラップ扱いされる体たらくであったが、コロンボはさして意に介する様子もなく、時には「ドッグ」と名付けた愛犬を助手席に載せ、自らの足として愛用し続けた。
コロンボの愛車