刑事コロンボ
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逆に卑劣な犯人に対しては、普段の控えめな態度を急変させて怒りを露わにすることもある(第15話「溶ける糸」[注釈 13]、第26話「自縛の紐」など)。

犯行現場に寝ぼけたり、食事を抜かした状態でやってきては勝手に現場にあった高級品のキャビア(被害者の食べかけ)を食したり(第21話「意識の下の映像」)、周囲の人間にコーヒーやオレンジジュース、ちょっとした食べ物を要求することも多い。また、つい犯行現場を荒らしてしまうくせがあり、目覚ましに勝手に現場の水道を使って顔を洗ったり、凶器の鉄棒やパトカーでゆで卵の殻を割ったり、ぼーっとして葉巻の灰をじゅうたんの上に落としてしまう等、軽率な行動も多いがそれが結果的に犯罪を暴くきっかけになる場合がほとんどである。

酒と高級なつまみが好きであちこちでご馳走になったり、現場や容疑者宅に置いてあるものを(無断で)失敬するものの自分ではめったに買わない。またあまり金を持ち歩かないので、飲食店などでお金が足らず支払いができない時には警察宛ての請求書を切ってもらうことがしばしばある。

キャラクターのモデルはフョードル・ドストエフスキーの『罪と罰』に出てくる、見た目が冴えないが推論や心理テクニックを駆使して犯人を追い詰めていく有能なポルフィーリ・ペトローヴィチ予審判事[注釈 14]

私生活におけるコロンボはドラマにおける犯人達の豪奢な生活と違い、うだつが上がらず小額の支払いにも渋る小物として描かれている。また、コロンボ個人の人間関係も安穏と暮らす市井の市民が数多く見られ、一例としてカフェーの主人に他愛のない日常の愚痴や世間話などをするなどしている。少々記憶力に乏しいものの映画やテレビを相当数見ており、知っている役者などに出会うと年甲斐もなく喜び、感激を隠さない。現場に現れるまでのコロンボは煩雑で不本意な雑務に追われていることが多く、そのために一食抜いてしまっている場合が多々ある。

事件が起こっても急いで現場に駆けつけることは少なく、たいていは実況見分があらかた終わってから顔を出す。しかも、自身が注目する以外の物事には大して興味を示さず、現場保存にも執着せず、火の着いた葉巻をくわえながらコロンボなりの検分ですませる。

署内でのコロンボは相当な信頼と名声があるのか、同じ課に勤務する新米刑事から尊敬されているほか、事故として処理されかけている事件を上司に掛け合って殺人に切り替えて再捜査したり、警察と繋がりのある社会的地位が高い人物の恫喝にも困惑はするものの飄々としている。

ただし、市警察本部長主催のパーティで酔っぱらってプールに落ちてしまい、その姿を警察本部次長夫人(第25話「権力の墓穴」の被害者)に見られてしまうなどの失敗もしている。

捜査方法は、整合性のない事柄に関して容疑者や関係者に事細かにしらみ潰しに当たり、時間や場所に関係なく職務質問するという極めて古典的なもので、その場でアリバイが立証されて一応納得するようなことがあっても、事実が判明するまでは幾度も同じ捜査を繰り返す。また、聞き込みでは、相手の地位に関係なくへりくだった態度で妻の話などの雑談を振っておき、夫婦間(または親族間)の意見の相違などを打ち明けて相手に意見を求めてから「形式的な捜査なので…」「報告書に書くためだけです」などと職務質問に入るパターンが恒例となっている。

状況証拠と証言だけでの真相解明を目指さず、守秘義務に関係なく捜査状況を容疑者本人に逐一報告することで感情の機微や証言の小さな差異をあぶり出し、それらを手がかりに矛盾点を突きつけ焦らせて心理的誤誘導するなどし、最終的には理詰めで追い込んで犯行を認めさせるという捜査方法を多々用いる。知能指数の高く、世界で2%しか入れない「シグマ協会」(モデルはメンサ)のメンバーである犯人を誘導尋問で自白させ、その手法と目の付け所を評価した犯人はコロンボの知能指数をテストしたが、正答したので「あなたは警察に置いておくには惜しい」と賛辞を贈られている(第40話「殺しの序曲」)。一方で犯罪捜査においては、運が必要だと学生たちに講義している(第56話「殺人講義」の「新人刑事へのアドバイス」への回答として)[注釈 15]

また、事件に関連した分野の知識を勉強し、それを応用することで専門家を驚かせたり、犯人逮捕に利用したりすることがある。

お金が好きだといい、少ない情報で収入などの複雑な計算が瞬時にできる(第10話「黒のエチュード」)。

非常に粘り強い捜査が持ち味となっており、最長の捜査期間は9年4か月だったと語っている(第62話「恋におちたコロンボ」)。

本人曰く、新シリーズの時点で22年警察官をやっているとのこと(第54話「華麗なる罠」)。おそらくは第1話「殺人処方箋」の初回放送日が該当話の22年前であることにちなんだネタだと思われる。

コロンボのコート

よれよれの背広服とレインコートのスタイルはフォークが作り上げたものであり、レインコート背広服とも彼の私物である。乾燥しており降雨が少ないロサンゼルスではレインコートはほとんど普及しておらず、砂よけのダスターコートが一般的である。しかし、フォークは「コロンボに強烈な個性と独特なキャラクターをもたせたかった。そこで、(雨の少ない)カリフォルニアでレインコートを着せることにした」(『隔週刊 刑事コロンボDVDコレクション』デアゴスティーニ・ジャパン刊)という。同じコートを7年間使用している[注釈 16]
コロンボの愛車

コロンボの私有車として、くたびれたフランス製小型乗用車の1959年式プジョー・403カブリオレ(米国輸出車)がしばしば登場し、彼のライフスタイルを物語る小道具となった。ピーター・フォークが自伝で語る起用の経緯によれば、シリーズのとあるエピソードの撮影に先立ち、自らがコロンボの自家用車のチョイスを任されたが、ガレージ一杯の劇用車のどれを見ても気に入らなかった中、ガレージの隅で色褪せているうえに1輪がパンクしているプジョー・403カブリオレに遭遇、直感的に選んだものであったという。

このモデルが生産されたのは1950年代後期で、テレビシリーズ放映開始時点でも10年以上経過した旧式モデルであった。塗装もところどころまだらになっており、プジョーはドラマの中でしばしば不調を起こし、あまりに散々な見てくれに登場人物たちからはスクラップ扱いされる体たらくであったが、コロンボはさして意に介する様子もなく、時には「ドッグ」と名付けた愛犬を助手席に載せ、自らの足として愛用し続けた。


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