シリーズを通して劇中でコロンボのファーストネームが登場したことは一度もない。コロンボも名前を尋ねられた際、「私を名前で呼ぶのはカミさんだけです」と答えている。フォークはインタビューでの質問に答えて、コロンボの名前を「警部補(ルーテナント)」と述べたことがある。第5話「ホリスター将軍のコレクション」と第35話「闘牛士の栄光」で、コロンボの警察バッジケースがクローズアップされる場面があり、それには「Frank Columbo」と記されている。2009年1月に再放送した際のNHKデジタル衛星ハイビジョン番組公式サイトトップでは、身分証に"Lt. Frank Columbo A096824"(警部補 フランク・コロンボ、A96824号。Lt.は"lieutenant"=警部補の略称)なる表記がある。
なお、「コロンボ」姓については、脚本家のウィリアム・リンクによると、ビリー・ワイルダーの代表作『お熱いのがお好き』の登場人物「スパッツ・コロンボ」(演:ジョージ・ラフト)に由来しているという[11]。リンクとリチャード・レヴィンソンの両名はいずれもワイルダーを熱烈に崇拝している[11]。
コロンボのキャラクター
安っぽくよれよれのワイシャツとネクタイに裏地がなく防寒着としては役立たないレインコート(本人も寒がっている描写が何度かある)、安葉巻、櫛の通っていないボサボサの髪の毛と斜視による藪睨み、猫背が特徴で、対決する上流階級の犯人たちの高級なスーツとの対比もあるが、「浮浪者に変装中」や慈善団体の関係者からホームレスと間違われたことがあるほどに(第27話「逆転の構図」)、まったく冴えない風貌の人物となっている。しかしその風貌がコロンボの優れた知性を隠し、犯人の油断を誘う武器となっている(第1話「殺人処方箋」)。
コロンボを演じたピーター・フォークの右目は義眼だが、コロンボはそうではない。ただし66作目、『殺意の切れ味』では「Three eyes are better than one.」という内輪ネタを発するシーンがある。
口癖は「Just one more thing."(邦訳「あと1つだけ」)」。その他、「My wife..."(邦訳「うちのカミさんがね……」など)」と頻繁に妻や親戚の話を口にする。
イタリア系でイタリア語が話せる(第34話「仮面の男」、第42話「美食の報酬」、第59話「大当たりの死」)。ただし、話せないという設定の回もある(第65話「奇妙な助っ人」)。
射撃は不得手で、拳銃は携帯しない(第4話「指輪の爪あと」)。半年ごとに行う射撃訓練に10年も行っておらず、本部から警告されたことがある(第32話「忘れられたスター」)。発砲音を苦手としているらしく、やむを得ず発砲する必要がある時は耳を塞いで撃つ(第30話「ビデオテープの証言」)。また、ホールドアップの必要がある場面でも、実際には撃たずに突き付けるだけで済ませている(第64話「死を呼ぶジグソー」)。しかし、ビー玉などを目標物に当てるのは幼い頃から得意(第13話「ロンドンの傘」)。
幼い頃からわんぱくな育ちらしく、車のマフラーにジャガイモを詰め込んだり(第4話「指輪の爪あと」)、クラスの気になる女の子に消しゴムのカスを当てたりするなどいたずらっ子だった。刑事になる前は軍隊におり(第40話「殺しの序曲」)、朝鮮戦争に従軍した経験があるが、前線には出ず炊事当番をしていた(第24話「白鳥の歌」[注釈 12])。
怖がりで解剖や手術、残酷な殺人の写真を見ることすら好まない(第13話「ロンドンの傘」、第15話「溶ける糸」)。