分類
[Wikipedia|▼Menu]
(ただし、線引きの基準は、国ごと、領域ごとに異なり、あるひとつの国を取りあげても、選挙権では○○歳で線引き、飲酒については××歳で線引き、喫煙については△△歳で線引き、といった調子で、バラバラになっている国も多い。)また反対に、0歳 / 1歳 / 2歳 / 3歳 ...と一歳刻みで細かく分類する方法もある。

》(色彩)で分類する方法もある。例えば「赤リンゴ / 青リンゴ」と分類する方法や、人間の髪を(あるいは人間自体を)、髪の色を基準にして「赤毛 / 金髪 / 栗毛(ブルネットbrunette) / 黒髪 / 白髪 ... 」などと分類する方法である。(ただし、「色」はスペクトラム的に、つまり連続的に変化するものなので、線引きは曖昧である。また、そのあいまいな髪の色が、人の年齢とともに少しずつ変化してゆく。たとえば 欧米人でも、(少年期)茶(っぽい)→(中年期)こげ茶(っぽい)→(高齢期)シルバー(っぽい) などと、連続的に、曖昧に変化する人が いる / 多い。つまり、あくまで便宜的な分類であり、厳密な分類はほとんど不可能である。)また20世紀前半までは肌の色を基準にして人間を「白人 / 黒人 / 黄色人 ...」などと分類することが当たり前のように行われていたが、20世紀なかばあたりからはそうした分類行為が倫理的には問題だとして問題視されるようになり、21世紀に入ってからは(少なくとも行政の場などで、公式には)人間を肌の色で分類することは控えられるようになってきている。

《性》によって分類する方法もある。動物に関しては、基本的には「オス / メス」と分類することが行われている(ただし、動物界を広く見渡すと、生きている途中で性別が変化する事例もあり、単純には分類できない場合もある。)人間に関しても生物学的な性を基準にして「男性 / 女性」と分類する方法が(ひとつのオーソドックスな方法として)ある(だが、20世紀後半あたりから、それほど単純な問題ではない、と指摘されることも増えている。例えば「身体は男だが性的指向は女」とか「身体は女だが性的指向は男」とか「身体は男(女)だが、どちらの性の人も性的対象だと感じる(どちらでもある)」という人などがいる、という指摘や、性別適合手術を受ける人もいる、LGBTが存在している、ということなどがしばしば指摘されるようになってきており、さまざまな角度から、従来の単純化しすぎた分類の是非が問い直されている。)またたとえばロマンス諸語では、すべての名詞が「男性名詞 / 女性名詞 / 中性名詞」に分類されている。

以上は、ありきたりな分類の例であり、多種多様な分類基準のごく一部にすぎない。

たとえば音楽や映画ならば《ジャンル》を基準にして分類する方法もあるし、たとえば、スマートフォンならば、《OS》を基準にして、多様な機種を「Android搭載機 / iOS搭載機 (iPhone) / その他」などと分類する方法もあるわけで、分野ごとに様々な分類法があり、ほとんど際限なく分類基準がある、と言っても良い。
分類の原理
区分のしかた
区分の原理を選ぶ

区分をするためには、何らかの観点に基づく必要がある[2]。たとえば(あくまで一例だが)映画をジャンルで区分する場合は、この「ジャンル」が区分の観点である[2]。区分をするための観点のことを「区分原理」(または「区分特性」)と呼ぶ[2]
区分肢の作成

対象(群)をある区分原理によって区分したときにできるグループを「区分肢」とよぶ[2]。例えば映画をジャンルという区分原理で区分すると、アクション映画 / SF映画 / 恋愛映画... などの区分肢ができる[2]
区分を行う時に起きがちな問題:「複数の区分肢に入ってしまう対象が現れること」「どの区分肢にも分類できない対象が現れること」

なお、映画にはアクション映画でもありSF映画でもあるものがある。そのような映画はアクション映画の区分肢とSF映画の区分肢の両方に属していることになる[2]。このように対象をどれか1つだけの区分肢に属するようにできない区分は「相互排他的」ではない[2]

一方、どのような(用意された)ジャンルにも属さない映画もある[2]。このようにどこの区分肢にも属さない対象が出てきてしまう区分は「包括的」(網羅的)ではない[2]
区分の原則

対象を相互排他的かつ包括的に区分することを「区分の原則」とよぶ。上の映画のジャンルによる分類の例でも理解できるように、「区分の原則」を守ることは現実には困難な場合が多い。だが、区分の原則が守れているか否かを常に意識することは重要である[2]。(たとえば,多肢選択式の質問票で,選択肢が包括的な区分になっておらず,どの項目にも該当しない(回答できない)場合がある。また,複数項目に該当するのに1つだけ回答するように指示されている場合も,回答に困る。
問題の解決法


包括的な区分ができない場合は(つまり、どの区分肢にも入らない対象が残ってしまう場合に、それを防ぐためには)「その他」(という一種の区分肢、枠)を用意する[2]。(なお複数の人で区分の作業をする場合は、責任者があらかじめ、最初から「その他」という区分肢(カテゴリ)を用意しておくことが有効であり、大切である。そうでないと、個々の作業者は、どの区分肢にも入れられない対象に出会った段階で、ひとり途方に暮れてしまう。あらかじめ「その他」という枠が用意されていないと、しばしば、個々の区分作業担当者は、やけくそになって(黙ったまま、相談もせず)強引に不適切な区分肢に押し込んでしまい、結果として、押し込まれた先の区分肢にカテゴリ錯誤の(「仲間はずれ」の)要素がチラホラと紛れ込む結果を産み、結局、分類全体をじわじわと崩壊させていってしまう。)


相互排他的な区分ができない場合は(つまり、複数の区分肢に入る対象が、現れる場合は)「複数の区分肢に当てはまる」を認める、などの対応がとられる[2]。(現代のようにデータベースを道具として使いつつ分類作業(区分作業)をする場合は、あらかじめ、データベースの設計の段階で、複数の区分肢に当てはまる対象が現れることを想定して、それに対応できるようにデータベース設計をしておく必要がある。(たとえば項目名をあらかじめ追加しておくなど。たとえば映画なら、たとえば「ジャンル1」「ジャンル2」...などと、複数のジャンル枠をあらかじめ用意しておいて、個々の担当者レベルで該当するジャンル名を複数記入できるようにしておく方法などがある。)。ただし、そのような対応をする前に、一度、本当に区分の原則が守れないのか、よく考える必要もある[2]。だが理詰めでよくよく検討して、やはり「区分の原則」はこの分野では守れない、ということが明らかならば、守れないという前提で区分方式を用意(したりデータベース設計をしたり)せざるを得ない。



生物の分類

生物についても様々な分類の方法があり得る。
一般人による分類

一般人(生物学者ではない人々)の間では、動物 / 植物とざっくりと分けておいて、動物のほうを「(けもの、四足動物) / / 」などと分類したり、植物のほうは「野菜 / 果物 / / 樹木 ...」などと分類することがしばしば行われている。

これは、学問的に見ると、あくまで人間側の便宜に基づいて分ける方法である。
生物学の分類

生物学の中でも様々な分類法がある。

なお生物学の中には分類学という分野がある。生物学では「分類」と「分類学」という用語を区別することがあるが、前者は、多種類の生物の種を妥当な仕方で命名・整理して一つの体系にまとめるのが課題、とされ、後者は、この分類の仕方を理論的に問題とする分野ということに(一応は)されているが、実際には「分類学」という語で、分類の仕事の内容そのものも含ませて指している。

生物学では例えば次のような分類体系がある。

進化分類学 evolutionary taxonomy

分岐分類学 cladistics

表形分類学 phenetics

分子系統学 molecular

生物学の分類の基準も絶対的なものではなく、時代とともに変化してきている。生物学のかつての(初期の)主要な基準は「生物の持つ形質の類似性」(類縁関係)であった。これは後に進化論と関係づけられて理解されるようになったわけではあるが、結局、「類縁関係」という基準は「進化による分類群の分岐が古いか新しいか」という基準に置き換えられた。さらに、分子生物学の発展に負うところが大きい。「進化による分類群の分岐が古いか新しいか」という基準に代わって「DNAの変化速度」という基準時間軸がかなり定量的に論じられるようになっている。最近では、DNA塩基配列をかなり短期間(短時間)で分析しデータ化できるようになったおかげで、コンピュータを用いてその変化量を(コンピュータ・プログラムによって計算で求め、関係や系統を、半ば自動的に)算出して分類する手法も充実化してきており、それが高い評価を得ている。詳細は「分類学」を参照
数学における分類詳細は「分類定理」および「類別」を参照
分類と集合

分類は、多数ある属性の中から、特定の属性に焦点を当て、その属性を基準にして、対象をグループ分けすることである。だが個々の存在(要素)は、複数の属性を備えている。属性ごとに、独立の分類作業が行える。これはさまざまな基準を設定して、ひとつの母集合から、さまざまな部分集合を作ることと同類の作業である。

例えば、イギリス人という集団に着目した場合でも

(年齢という属性を基準にして)10歳未満 / 10代 / 20代 / 30代 /...

(性という属性を基準として)男性 / 女性 / その他 ....

(アンケート調査での「一番好きなスポーツは?」という設問に対する回答内容という属性を基準にして)ラグビーが一番好き / クリケットが一番好き / 乗馬が一番好き / サッカーが一番好き / ... / 無回答 /...

などと様々に分類が可能であり、つまり、「イギリス人」という集合に関しても、さまざまな部分集合を作ることができる。「集合」も参照
恣意性、混乱

分類というのは、何らかの基準を人間が設定し、その基準に基づいてカテゴリ(グループの「枠」)を複数つくり、個々のものごとをいずれかのカテゴリ枠の中に入れてゆくことである。基準は人間が設定するので、その意味では「恣意的」である(つまり、その基準自体が絶対ではなく、他の基準も設定しうる)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:35 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef