出入国管理及び難民認定法
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第1節 違反調査退去強制事由があると疑われる外国人(容疑者)に対する入国警備官による調査手続を定める。

第2節 収容退去強制事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合の収容(身柄拘束)に関する手続を定める。入国警備官は主任審査官により発付された収容令書に基づき容疑者を収容することができる。収容から48時間以内に、容疑者の身柄は入国審査官に引き渡される。

第3節 審査、口頭審理及び異議の申出収容した容疑者が退去強制対象者(退去強制事由がある者のうち出国命令対象者を除く者)であるかどうかの認定に関する手続を定める。入国審査官の審査の結果、容疑者が退去強制対象者であると認定された場合には、容疑者に口頭審理の機会が付与される(容疑者がこの認定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。)。容疑者が口頭審理を請求した場合には、特別審理官によって口頭審理が行われる。その結果上記認定に誤りがないと判定された場合には、容疑者に異議の申出の機会が付与される(容疑者がこの判定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。)。容疑者が異議を申し出た場合には、法務大臣(実務上は、地方入国管理局長の場合が多い。)が書面審理を行い、異議の申出に理由があるかどうか、特別に在留を許可すべきかどうかについて裁決を行う。異議の申出に理由がなく、かつ、在留特別許可がされなかった場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。

第4節 退去強制令書の執行退去強制令書に基づき外国人を送還する手続を定める。

第5節 仮放免収容令書又は退去強制令書が発付されて収容されている外国人について仮放免(一時的に身柄を釈放)する手続を定める。


第5章の2 出国命令速やかに自ら日本から出国することを命ずる出国命令に関する手続を定める。

第6章 船舶等の長及び運送業者の責任

第6章の2 事実の調査

第7章 日本人の出国及び帰国日本人の出国及び帰国については外国人と異なり、有効な旅券を所持し、出入国港において適正な手続を行う限り、制約はない。すなわち、外国人であれば、上陸拒否事由に該当する場合であっても、日本人であれば、帰国することができる。

第7章の2 難民の認定等難民の認定、在留資格に係る許可、仮滞在の許可、仮滞在の許可の取消し、退去強制手続との関係、難民の認定の取消し、難民の認定を受けた者の在留資格の取消し、審査請求、難民審査参与員、難民に関する永住許可の特則、難民旅行証明書、退去強制令書の発付に伴う難民認定証明書等の返納、事実の調査

第8章 補則

第9章 罰則

附則

別表第1

別表第2

主な改正
難民認定手続への対応(1982年)

難民条約・難民議定書への加入に伴い、1982年1月1日から出入国管理令に難民認定関連手続に関する条項が追加され、難民を称する者が条約・議定書上の難民に該当するかどうかの認定業務を、法務省入国管理局が担当することとなった。併せて題名も「出入国管理及び難民認定法」に改められ、「法律の効力をもつポツダム命令」という特殊な状態を、それまでの略称「入管令・出管令」から、より実情に近い「入管法・入管難民法」という略称で表すことができるようになった。
在留資格の再編

外国人が入国審査官から上陸許可を受ける場合、1990年5月31日までは付与される在留資格が入管法の条項を示した記号により表示され、一般にはわかりにくい方式であったが、翌6月1日に在留資格を再編した改正法が施行され、在留資格は第4条での羅列方式から別表での一覧方式となり、かつ、その表示も「人文知識・国際業務」「短期滞在」「日本人の配偶者等」などの具体名となり、上陸許可証印には日本語表記と伴に、その英語訳が表示されるようになった。

この改正により「定住者」の在留資格が創設され、日系3世まで、一部の例外を除く就労可能な地位が与えられたが、これはバブル景気の人手不足を背景に、外国人労働者の受け入れを望む日本の経済界の意向を、自民党が汲んだものであった[2]。これにより、主にブラジルペルー等の中南米諸国から多く来日していた日系人の入国が容易になり、来日数が増加した[3]
フーリガン対策(2001年)

2002年に開催されたFIFA(国際サッカー連盟)主催2002 FIFAワールドカップにおいて、国外からのフーリガンの大量流入が懸念された[4]。この対策として、2001年11月13日の改正で第5条第1項第5号の2、24条4号の3に「フーリガン条項」が追加され、開幕3ヵ月前の2002年3月1日より施行され、フーリガンの上陸拒否が可能となった。
出国命令制度の創設(2004年)

不法滞在の外国人に対する退去処分の内、過去に退去強制がないこと、出入国管理及び難民認定法以外の犯罪事実がない者、帰国の意思を持って自ら出頭したことなど、いくつかの要件に該当する者に対して、退去強制手続きによらない方法で出国させる制度を創設した。この制度は、運用面で入国管理局が既に実施していたものを、追認したものである。偽造パスポートなどにより入国した者は対象とならない。また出国命令制度を利用できるのは、生涯で一人、一回限りである。出国命令が認められると、身柄を収容されないことや、再入国禁止期間が1年間と短い特徴がある。
難民審査参与員制度の導入(2005年)

難民に関する日本の諸制度には幾つかの批判があった。その一つが、日本の難民受入れ人数が他の主要国に比べて著しく少なく、難民認定の基準が厳格すぎるのではないかというもの。今一つが、調査を行う難民調査官は入国審査官の中から指定され、認定を行うのは法務大臣、不認定への異議申出の裁決を行うのも法務大臣と、手続の担当官庁がすべて法務省という閉鎖的な制度になっているというものである。これらを改善するため、2005年5月16日に難民審査参与員(なんみんしんさ さんよいん)制度が新設された。これは法務省に属さない在野の法曹学識経験者のなかから法務大臣が任命するもので、難民の不認定処分への審査請求[注釈 5]に際しては難民を主張する申立人などを審尋したり、法務大臣がその審査請求に決定を下すに際しても事前に意見を提出したりする。こうして難民受け入れの可否にも第三者的見地に立った意見が反映されるようになった。
入国審査での指紋採取・写真撮影(2007年)

2007年11月20日から、外交特権を有する者、政府招待者、特別永住者16歳未満の者以外の外国人は、入国審査にあたって、原則として指紋採取機により、両手の人差し指の指紋採取(生体認証)と写真の撮影(J-BIS)が義務化された[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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