かつて、Colonelは階級(大佐)であると共に役職(連隊長)でもあったため、大佐になるためには自費で連隊を編成・維持しなければならなかった。そのため、財力のある貴族は経験が無くても大佐になれる一方、少尉(或は下士官・兵)から叩上げた優秀な人材でも資金力がなければ中佐止まりだった。そこで、これらの人材を将官に登用するために、ルイ14世時代の1667年にフランスで、陸軍大臣ルーヴォア侯爵ミシェル・ル・テリエによる陸軍改革の一環として制定された。そのため、当初の准将は大佐を経ないで、中佐から任用された。[1]
これにより、アンシャン・レジーム期に於けるフランス軍将官は、下表のよう七階級制[注釈 2]となっていた。1779年制定された規定で将官の階級は大佐の正肩章に星章の数で示すように定められた[2]。
この時期の准将は1788年に廃止され[3][注釈 3]、少将が最下級の将官の階級となったが、星章の数は変更されなかった。現在のフランス陸軍の陸軍准将はこのアンシャンレジーム期の陸軍少将の呼称を1793年に改称したものであるが、1812?1848年までは旧呼称に戻されていた。また当階級を陸軍准将としたのは1949年4月4日のNATO発足によって他国軍の人事バランスに合わせてOF-6相当と定められたため、これまでの日本語での呼称を陸軍少将[4]としていたのを呼び変えたためであり、旧准将と現准将は全くの別物であることに注意することが必要である。
日本語表記陸軍現代の陸軍の対応階級海軍現代の海軍の対応階級
大元帥marechal general des camps
et armees du roi[注釈 4]元帥marechal de France[注釈 5]grand-amiral de France[注釈 4]元帥amiral de France[注釈 5]
元帥marechal de France-amiral de France-[注釈 6]
上級大将colonel-general[注釈 7]後に大将general commandant d'armee
後に
general d'armeevice-amiral de France後に大将vice-amiral chef detat-major
general de la marine
後に
amiral
大将general[注釈 8]後に中将general commandant de corps d'armee
後に
general de corps d'armeevice-amiral commande au
lieutenant-general des armees navales後に上級中将vice-amiral commandant d'escadre
後に
vice-amiral d'escadre
中将lieutenant-general des armees後に少将general de divisionlieutenant-general des armees navales変更なしvice-amiral
少将marechal de camp[注釈 9][5]後に准将general de brigadechef d'escadrecontre-amiral
准将brigadier des armees-brigadier des armees navales
後に
chef de division-
日本准将に準ずる役職の1佐(一)標識の例、第12旅団副旅団長職
戦前の帝国陸海軍(陸軍及び海軍)には置かれなかった。また、現在の自衛隊にも相当する階級は置かれていないが、陸上自衛隊では1佐(一)[注釈 10]が准将と同等とされている。詳細は「自衛隊の階級#佐官・尉官」および「陸上自衛隊#部隊の単位」を参照
栄誉礼は実施されないが、主に副師団長や将補職の部隊長に1佐のまま着任した場合や1佐(一)の団長職、または師団幕僚長・旅団副旅団長に着任した場合で当該部隊の指揮官が認めた場合など、役職上必要に応じて乗車する車両には赤色のプレート板に帽章若しくは桜星一つが表示されたプレートを掲示している。これは職位である代将に近いものである。一方、1佐(一)でも階級指定の補職以外に着任した場合等含む通常の1佐職は白色のプレートに帽章のみ掲示する。詳細は「自衛隊#階級」および「大佐#自衛隊」を参照
自衛隊の海外派遣実績や米軍等外国軍隊との共同行動が増加する中、均衡をとりにくい等の問題点があり、[注釈 11]2010年(平成22年)度以降に「准将」を創設することが防衛省内において検討されていたが、当該年度制定の防衛大綱では触れられていない[注釈 12]。