写真撮影
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写真の撮影35mm一眼レフ用交換レンズ (50mmF1.4)

写真撮影(しゃしんさつえい、: Photo shoot、フォトグラフィ、英: photography)とは、カメラによって静止画スチル写真)を記録する行為のこと。

カメラおよびカメラ・オブスクラは撮影機器である。写真フィルムまたは電子的記録カードが記録媒体であるが、ほかの方法がとられることもある。たとえば、光学コピーや乾式コピー(ゼロコピー)は長期的に使用可能な画像を作るが、写真フィルムではなく静電気の移動を使っているため、電子複写(静電複写)という。マン・レイの刊行したレイヨグラフなどのフォトグラム印画紙に投影された影でできた画像であり、カメラを用いない。スキャナのガラス面に直接撮影対象を置くことによって、電子複写を行うことも可能である。

撮影者は記録媒体を必要な量の光に露出する目的で、カメラとレンズを選択・操作できる(記録媒体として通常は、写真フィルムか固体撮像素子を使う)。

選択・操作の対象には以下のものなどがあると思われる。カメラの操作は互いに関係する。

レンズの種類(単焦点、ズーム・バリフォーカル、一般撮影用、高倍率撮影用、ティルト/シフト、ソフトフォーカスなど)

レンズの焦点距離(超広角、広角、標準、望遠、超望遠)

合焦点(フォーカスが合っている点)

絞り値(F値

シャッター速度

ISO感度

レンズフィルター、覆い・ディフューザー

記録画質など(デジタルカメラにおいて)
絞り
左側はF値が小さく、右側はF値が大きい。

フィルム面に到達する光の総量は露出時間、レンズの絞りによって変わる。このうちどちらかを変えれば、露出が変わる。(物理的なシャッターがないカメラであっても)露光時間はシャッター速度で表される。露光時間が1秒より短い場合は通常分子が1の分数で表記され、それはカメラのシャッター速度設定ダイヤルに明記されている場合、秒の逆数で表示されている場合が多い。絞りはF値で表示されているが、これはレンズの明るさを表している。Fは焦点比(focal ratio)のFである。F値がルート2分の1倍になるごとに絞りの直径はルート2倍大きくなり、絞りの面積は2倍になる。典型的なレンズに刻まれたF値は、2.8、4、5.6、8、11、16、22、32などであるが、これは数字が大きくなるごとに光の量が半分になっていくことを意味する。

特定の露出のシャッター速度と絞り値は、さまざまな組み合わせが成立する。たとえば、125分の1秒でF8と500分の1秒でF4では同じ量の光が得られる。当然ながら、どの組み合わせを選んだかは最終的な仕上がりに影響する。シャッター速度の変化は対象とカメラの動き(ぶれなど)の反映の度合いを変える。絞りの変化は被写界深度を変える。

被写界深度は焦点の前後に広がるピントがあっているように見える範囲のことである。たとえば長焦点レンズ(望遠レンズ)を絞りを開いて使用した場合、対象の目には鋭く焦点が合うとき、鼻の頭はピントが合って見えないということが起こる。反対に短焦点レンズ(広角レンズ)を使用し、絞りこんで(絞り値を大きくして)遠距離に焦点を合わせて使えば、対象の目にも鼻にもピントが合って見える写真を撮影することは容易である。

長焦点レンズを使用し、絞りを開いて近距離に焦点を合わせれば、被写界深度は極端に浅くなる。反対に短焦点レンズを使用し、絞りこんで(絞り値を大きくして)遠距離に焦点を合わせれば、被写界深度は極端に深くなる。絞り値、焦点距離、焦点の位置が同じでも、レンズのF値(絞り開放時のF値)によって被写界深度は異なる。また、レンズのF値が同じでも設計・表記と実際との差などにより被写界深度は異なる。また、十分に小さい[注 1]絞りを使うとかなり広い範囲にピントを合わせることができる。これはパンフォーカスと呼ばれる。
写真の出力

材質にかかわらず、カメラがとらえた像を最終的な写真作品にするには、何らかの工程が必要である。この工程には現像焼きつけなどがある。

焼きつけ工程では、いくつかの調整によって結果を変えることができる。こうした調整の多くはイメージキャプチャーなどで行われる調整に似ているが、引き伸ばし機を用いた焼きつけ工程に固有のものもある。大部分はデジタルによく似た調整であるが、大きく異なる効果をもたらすものもある。

調整には次のものなどがある。

フィルム現像の内容

印画紙の種類(光沢の程度や質感など)

引き伸ばし機の方式や性能

露光時間

レンズの絞り

コントラスト

覆い焼き(焼きつけの一部だけ露出を減らす)

焼き込み(一部だけ露出を増やす)

写真の種類
フィルム写真
モノクローム写真「モノクロフィルム」および「印画紙」も参照

100%コットンなどのバライタ印画紙、RCコート紙、水彩紙を応用したインクジェットプリンター用紙(デジタル用)などは独特の風合いがあり、黒や紙の白の発色、色合いはさまざまである。プリンターの高性能化に伴い、デジタルでのモノクロームプリントが多くなった。デジタル写真・デジタル化された写真においては、「カラー」から「モノクローム」への変換は容易である。
カラー写真1861年にジェームズ・クラーク・マクスウェルが撮影した世界初のカラー写真。被写体はタータンリボン。カラーの印画紙は当時は存在せず、この画像自体は乾板を基にコンピューター合成により再現したものである。ルイ・オーロンにより1877年に撮影された、紙として現存する最古のカラー写真。映っているのはアジャンの街並み。1910年に撮られた、プロクジン=ゴルスキーによるカラー写真。1910年代にロシア帝国各地で撮られたもののひとつ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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