写真フィルム
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フィルム幅は9.5ミリだがセンターパーフォレーションの独特のフォーマットを採用してフィルム幅いっぱいにフレームを取っていたことから画面寸法が広く画質が良いことが特徴だった(8ミリ・ダブル8規格と比べて、フィルム幅はわずかに20%増し程度であったものの、画面寸法は実に3倍にも達する[注釈 4])。この規格は、映画を商品として市販・流通させることを目的として開発された。35ミリフィルムでプリントを作成したのちパーフォレーション間を3等分したら幅が9.5ミリになったとされる。撮影用カメラも市販されていた。字幕のために約14秒で2コマを映写させるストップモーション機構があり、字幕のコマに投光する時間が長いことから難燃性のフィルムが用いられていた[4]。日本には1924年に伴野商店(東京・銀座)(現:伴野貿易株式会社)によって輸入が開始され、第二次世界大戦前にはかなりの勢力となっていたが、戦争によりフィルムの入手が困難となり中断、敗戦後には16ミリや8ミリにとってかわられて消えていった。9.5ミリ幅のパテーベビー規格のフィルムは、スパイカメラとして有名な超小型スチールカメラのミノックスの規格にも影響を与えた。ただしパテーベビーとミノックスは、フィルム幅こそ同じではあるもののミノックス用にはパーフォレーションがなく、相互に転用はできない。
16ミリ
詳細は「16mmフィルム」を参照映画用フィルムの規格。ニュース映画やドキュメンタリー映画の取材・テレビ番組やテレビCMの送り出し・ハイアマチュアの自主映画製作・小規模上映などの用途に使われた。編集を前提とする用途であったため、基本的にはネガフィルムでありその後反転焼付けをして上映用フィルムを得た。本来は両パーフォレーションで1駒あたり2つずつあいていたが、その後いろいろと改善され、現在では長さあたりの穴数を半分に減らし1駒1パーフォレーションとしたものや、片パーフォレーションにしたものが多い(サウンドトラックは、片側のパーフォレーションがあった部分を使っている)。このフィルムを流用したスチールカメラもあり、1960年代頃まではそのためのカートリッジフィルムも販売されていた。画面サイズは10×14mm。その後は販売されていないが、映画用のフィルムをハンドロードすることで使用は可能。「ミノルタ16」「マミヤ16」などが有名。ビスカワイド16は画面サイズ10×52mmで水平包括角度100度。ローライ16、エディクサ16等が採用するドイツのDIN-16規格ではスーパー16のフィルムがマガジンに装填され画面サイズも12×17mmである。
17.5ミリ
詳細は「17.5mmフィルム」を参照映画用フィルムの規格。規格として一番普及したのはフランスのパテが採用したパテールーラルで、32コマ/ft。本国では大都市35ミリ、小都市17.5ミリという棲み分けがされて一時かなり普及した。日本では伴野文三郎が1931年にフランスのサイレント映画を大量に輸入したが、日本での主流はすでにアメリカ式の16ミリになっていた。他にエルネマンのキノックスとそれをコピーした曽根春翠堂のキネオカメラ、日本デブリーのシリウス式、35ミリフィルムを片側ずつ往復撮影して裁断するニュースタンダード式などがある。
20ミリ
1938年に、アース光学から「グッチー」が発売され、その時に使われたカメラのフイルム規格。「20ミリ・18×18mm」は、アース光学のグッチー・トップと、秋田製作所のマイクロフレックスだけが採用した規格だった[5]
22ミリ
映画映写用フィルム。トーマス・エジソンが1912年発売したホームキネトスコープが採用していた。画面は3列になっており、真ん中の列は天地逆になっている。上の列を上映し終わるとレンズをずらしてハンドル逆回転により真ん中の列を上映する。撮影機は製作されていない。酢酸セルロース製の緩燃性のセーフティーフィルムが初めて使用された。
28ミリ
映画用フィルム。フランスのパテが1910年発売した「パテスコープ」が採用していた。パーフォレーションは片側が35ミリフィルムと同様の1コマ4個であるが、もう片側は1コマ1個。
35ミリ
元々は映画用フィルム。通常の商業映画に使われる。その後、スチール写真用フィルムにも転用され、映画・スチール両方の世界でもっとも一般的なフィルムとなった。
映画用としての35ミリフィルム
世界最初の映画システムであるトーマス・エジソンのキネトグラフ/キネトスコープ、映写できる最初の映画システムであるリュミエール兄弟シネマトグラフともに採用していた。同じ幅になったのは、当時映画用フィルムに使用できた唯一のフィルムがコダック製の長さ200ft、幅42inのロールフィルムで、これを30分割したためである。ただしシネマトグラフではパーフォレーションが画面1駒につき左右1個ずつ。映画は原則フィルムを縦に走らせる。スタンダード比率のトーキー映画の場合には16×22mmの画面寸法を持つ。これ以外にも横走りワイドスクリーンの「ビスタビジョン」、フィルム節約用の特殊フォーマット「テクニスコープ」、サウンドトラックを取らない撮影専用の「スーパー35」など多くの規格が並存しており、必要に応じて選択される。
スチール写真用としての35ミリフィルム
35ミリフィルムはスチールカメラ用にも流用され、映画用と分岐したのち独自の発展を遂げた。2003年2月現在世界的に最も広く使われている写真フィルム規格ともなっている。スチールに使われる35ミリフィルムは、短く切断した上でパトローネに装填して使われることが多かった。この様式について最初に製造したのはアグフア・ゲバルトであるが、ドイツ・コダックが「135」という規格名を与えてレチナと同時発売し、レチナの大ヒットとともに一般化した。現在一般に販売されているのは、35mm判にして12枚分・24枚分[注釈 5]・36枚分をそれぞれ格納したもの。長尺のフィルムも販売されており[注釈 6]、適宜切断してパトローネか専用マガジンに装填して使用する。過去の高級一眼レフの多くは33フィートを一括して格納できる250枚撮りアクセサリーを用意していたし、ニコンF2に至っては100フィートを格納し750枚撮りできるアクセサリーも用意されていた。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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