写真フィルム
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1950年代以降は燃えにくいアセテート・セルロースをベースとしたセーフティー・フィルムが発売され置き換わったが、セーフティー・フィルムは高温多湿下の環境において加水分解し、分解された酢酸がさらに劣化を早める[2][3]ことが問題(ビネガーシンドローム)となり、1990年代頃からポリエステル製に置換されていった[注釈 2][注釈 3]

1990年代後半は出荷本数が4億本を超え、1997年(平成9年)9月1日から1998年(平成10年)8月31日の統計ではロールフィルムにおいて日本国内で最多の約4億8283万本を出荷し、日本各地の写真用品店・スーパーマーケットなどに「スピード写真」「0?10円プリント」などと謳った全自動カラー現像・プリント装置が設置されていたが、その後はデジタルカメラの普及で売り上げが激減しており、全盛期の10年後である2008年(平成20年)には10分の1近くの約5583万本にまで落ち込んだ。これにより、企業のフィルム事業からの撤退や、ラインナップの縮小が進んでいる。
分類
用途別
モノクロフィルム
黒と白の濃淡(
モノクロ)で表現するフィルム。現在でもよく使われ、カラーフィルムの現像プロセスで現像するモノクロフィルムも市販されている。かつてはネガフィルムだけでなくリバーサルフィルム(ポジフィルム)も製造されていた(8ミリ映画用モノクロフィルムは大半がリバーサルだった)。現在は一部の現像液を用いて反転現像処理をすることでポジが得られる。詳細は「モノクロフィルム」を参照
コピー用フィルム
文献等の複写を行なうときに使うフィルム。コントラストが強く、高解像度。一般的なマイクロフィルムはここに含まれる(マイクロフィルムは古くはモノクロ・文献用のみだったが、現在ではカラーの階調画像を記録するものもある)。
カラーフィルム

リバーサルフィルム
被写体の色がそのまま再現されるフィルム。ポジフィルムともいう。透過原稿用・スライド映写機での鑑賞用に使われる。また8ミリ映画用カラーフィルムの大半はリバーサルだった。詳細は「リバーサルフィルム」を参照
ネガフィルム
被写体の色や濃度が反転するフィルム。映画用やプリント用などに一般に広く利用されている。ネガと略称することもある。詳細は「ネガフィルム」を参照
インスタントフィルム
撮影後、特別の現像作業を必要とせず写真が完成するフィルムまたは印画紙。数十秒から10分程度で可視像が得られることからインスタント(即席)と呼ばれる。詳細は「インスタントカメラ」を参照
感色性別

主にモノクロフィルム。
レギュラー・クロマチック
青紫 - 青色光の波長にのみ感光するフィルム。主に製版用フィルム。
オルソ・クロマチック
青紫-黄色光の波長にのみ感光するフィルム。かつてはポートレート用に盛んに使用された。コダックのヴェリクロームが代表的なフィルムである。
パン・クロマチック
全整色性フィルム、青紫 - 赤色光の可視光線全域の波長に感光するフィルム。現在のモノクロフィルムはほとんどがこのタイプである。
スーパーパン・クロマチック
可視光線全域の波長、さらには一部の赤外線領域にまで感光するフィルム。
赤外線フィルム
赤外域に感度をもつ
モノクロフィルムとカラーリバーサルフィルム(両方ともコダックから発売)。科学記録や不可視環境撮影(夜間監視など)で使用される。肉眼(可視光)と異なる独特の画像が得られるので、芸術目的の風景写真などにも使われる。詳細は赤外線フィルムを参照。
放射線用フィルム
放射線によって感光するフィルム。主に医療や産業で利用。広義にはエックス線用フィルムもここに含まれるが、通常はガンマ線を使った撮影に使用されるフィルムを言う。そのほか、電離放射線を検出する感光材料という意味では、核物理学や天文学の分野では原子核乾板と呼ばれる写真乾板がなお主流である。
エックス線用フィルム
医療用に用いられるエックス線フィルムは、X線を吸収して蛍光を放つ増感紙(スクリーン)と組み合わせて使用されるスクリーンタイプが一般的であった。患者を通過したエックス線は増感紙を発光させ、フィルムは増感紙の蛍光により感光する。フィルムの分光感度特性は増感紙の発する蛍光に対応しており、レギュラータイプの増感紙にはレギュラー・クロマチックタイプの乳剤を使用したフィルム、オルソタイプの増感紙にはオルソ・クロマチックタイプの乳剤を使用したフィルムを組み合わせるのが最適である。多くの用途では感度を稼ぐ(すなわち患者の被曝量を低減させる)ために、フィルムの表裏両面に乳剤が塗布されている両面乳剤フィルムが用いられた。この場合、増感紙は二枚使われ、フィルムを両面から挟み込む。特にX線で直接感光させるフィルムをノンスクリーンタイプエックス線フィルムと呼ぶ。この種のフィルムは感光効率が低く、高いX線輝度を必要とするため、歯科など特定分野に限って使用された。医療用途では、さらに高感度が望めること、現像処理に要する時間が不要なこと、現像液等の排液が出ないこと、電子カルテと相性が良く保存が確実でスペースをとらないことから、急激にフィルムからデジタル機器への置き換えが進行していて、撮影された画像は電子カルテのモニターで見るのが一般的になりつつある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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