写真フィルム
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かつては、家庭用カメラの感光材料として広く普及し、単に「フィルム」または「フイルム」[注釈 1]と呼ばれた。
概説

写真フィルムは、写真映画などの映像を、感光剤の化学反応を利用して記録するメディアである。カメラ等を使用して、フィルムを実像に露出して感光させ、潜像を生成した後、現像定着焼き付けといったプロセスを経て「写真」を得ることができる。

一般的な銀塩写真のフィルムは、透明なフィルムのベース(支持体)に、「ゼラチン」と呼ばれる、銀塩を含む感光乳剤が塗布されている。ネガフィルム焼き付けによってネガポジを反転することにより、ポジ像(元の映像を表現する写真)が得られる。ポジフィルム(リバーサルフィルム)は、リバーサル現像(反転現像)によってポジ像が得られるため、そのまま鑑賞できる。

銀塩方式の写真はカビなどによる劣化には注意する必要がある。また、警察鑑識において使用するカメラは、かつては証拠能力の問題からフィルム式であったが、その後、ライトワンスのメモリーカード[1]が開発され、デジタル化が進んでいる。
歴史

写真フィルムは、写真乾板から発展した感光材料である。脆いガラス製乾板に対し、取り扱いが容易で、保存性・即用性に優れ、かつ量産しやすい写真フィルムの発明は、写真の普及の原動力となった。ガラスでは不可能なロールフィルムの実現もフィルム化と同時であり、それは映画の発明へとつながっていった。

初期の写真フィルムは、ベース素材にセルロイドを使用した「ナイトレート・フィルム」が使用されていた。ニトロセルロースは燃えやすい特性をもっており、時に火災の原因となった。そのため映画館や写真館火災保険が高価であった程で、危険物第5類に指定されていた。1950年代以降は燃えにくいアセテート・セルロースをベースとしたセーフティー・フィルムが発売され置き換わったが、セーフティー・フィルムは高温多湿下の環境において加水分解し、分解された酢酸がさらに劣化を早める[2][3]ことが問題(ビネガーシンドローム)となり、1990年代頃からポリエステル製に置換されていった[注釈 2][注釈 3]

1990年代後半は出荷本数が4億本を超え、1997年(平成9年)9月1日から1998年(平成10年)8月31日の統計ではロールフィルムにおいて日本国内で最多の約4億8283万本を出荷し、日本各地の写真用品店・スーパーマーケットなどに「スピード写真」「0?10円プリント」などと謳った全自動カラー現像・プリント装置が設置されていたが、その後はデジタルカメラの普及で売り上げが激減しており、全盛期の10年後である2008年(平成20年)には10分の1近くの約5583万本にまで落ち込んだ。これにより、企業のフィルム事業からの撤退や、ラインナップの縮小が進んでいる。
分類
用途別
モノクロフィルム
黒と白の濃淡(
モノクロ)で表現するフィルム。現在でもよく使われ、カラーフィルムの現像プロセスで現像するモノクロフィルムも市販されている。かつてはネガフィルムだけでなくリバーサルフィルム(ポジフィルム)も製造されていた(8ミリ映画用モノクロフィルムは大半がリバーサルだった)。現在は一部の現像液を用いて反転現像処理をすることでポジが得られる。詳細は「モノクロフィルム」を参照
コピー用フィルム
文献等の複写を行なうときに使うフィルム。コントラストが強く、高解像度。一般的なマイクロフィルムはここに含まれる(マイクロフィルムは古くはモノクロ・文献用のみだったが、現在ではカラーの階調画像を記録するものもある)。
カラーフィルム

リバーサルフィルム
被写体の色がそのまま再現されるフィルム。ポジフィルムともいう。透過原稿用・スライド映写機での鑑賞用に使われる。また8ミリ映画用カラーフィルムの大半はリバーサルだった。詳細は「リバーサルフィルム」を参照
ネガフィルム
被写体の色や濃度が反転するフィルム。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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