再配分
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介護保険の制度は、若年層からの保険料で親や祖父母の介護を可能とするという点で、扶助原理にもとづく所得再配分を含んだ再配分制度としての面がある[注釈 6][35]

社会保障のもとになる租税システムをどのように解釈するかで、社会保障と再配分の関係は異なって解釈される。税金を払うことで何らかのサービスを受け取る権利があると主張する場合は再配分よりも交換の概念に近い。税金を払っているのは自分の他にもおり、集められた財の配分を求める場合は交換よりも再配分に近い。このように個人の見通しによって異なる[注釈 7][37]
格差是正

インド政府は、カーストによる差別の撤廃と個人の平等を実現するために留保制度(英語版)を実施した[38]。不平等の原因となっていたカーストに代わって指定カーストや指定トライブという新しい概念の集団を定義し、教育、公職、議席の優遇措置を定めた[注釈 8][40]。留保制度の中にはヒエラルキーと平等性のモラルが併存することになり、論争や反対運動を起こしつつ拡大傾向にある[41]
数学と文字「会計史」も参照

再配分で管理する物資の数量や種類が増えるにつれ、計算や記録も複雑化した。このため再配分システムは、シュメルのトークンとブッラ[42]や、ミケーネ文明の貯蔵制度における線文字B[注釈 9][43]など、初期の文字の発達と関連があるとされている。古代エジプトでエジプト式分数が発達した理由として、再配分による現物経済もあげられている[44]
出典・脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一例として日常生活における時間管理や生活習慣改善(ダイエットなど)。
^ インカにおいては土地の分配、食糧の生産、食糧の貯蔵や分配が管理された。土地は3種類に分類され、太陽信仰のための土地、王の土地、アイユという農村共同体の土地が住民に分配された[18]
^ キリスト教が4世紀から6世紀にかけて東ローマ帝国で体制化していった経緯は、テオドシウス法典ユスティニアヌス法典などで確認できる[25]
^ 管理交易では財の交換レート、計測、品質検査、貯蔵、保管、人員などが管理される[27]
^ 保険の種類によって効果は異なる。リスク細分型の自動車保険では、掛け金の多寡はリスクの高低にもとづいており個人主義的な性格が強い。他方で掛け金をリスクに応じて差異化しない健康保険は、匿名的な相互扶助による富の移転機能がある[32]
^ 介護保険と同様に所得再配分機能に依拠して設計された制度として年金がある[34]
^ 福祉国家の体制を持つフィンランドは、予算増大のなかで公的サービスを維持するために市場経済に親和的なケアシステムが模索されている。そうした状況下で、たとえば高齢者ケアにおける緊急通報システムは人的資源が限られるため再配分の論理が強く働いている[36]
^ 後進集団はその他の後進諸階級(英語版), OBC)とも呼ばれ、インド憲法では「社会的・教育的後進階層」と表記されているが、その意味については解釈が分かれてきた[39]
^ ミケーネ時代のギリシアには20から30の小王国があり、いずれも宮殿に物資を貯蔵して管理する再配分制度を基盤としていた[43]

出典^ ポランニー 1998, p. 95.
^ 浜田 2019a.
^ 浜田 2019a, p. 11.
^ 浜田 2019a, p. 19.
^ a b 浜田 2019a, p. 20.
^ ポランニー 2009.
^ 大和総研 『最新版 入門の入門 経済のしくみ-見る・読む・わかる』 日本実業出版社・第4版、2002年、134-135頁。
^ ポランニー 1998, pp. 96?97.
^ ポランニー 1998, p. 97.
^ ポランニー 1998, pp. 89?90.
^ 河野 2019, pp. 197?198.
^ 里見 2019, pp. 133?135.
^ ポランニー 1998, p. 91.
^ a b 浜田 2019a, p. 10.
^ ポランニー 1998, pp. 97?98.
^ 友松 2019, pp. 149?150.
^ 友松 2019, p. 167.
^ a b 山本 2014, pp. 174, 183, 194?196.
^ ポランニー 1998, p. 96.
^ 屋形 1998.
^ 川田 2001.
^ マリノフスキ 2010.
^ モース 2009.
^ 里見 2019, pp. 122?124, 133?134.
^ a b 大月 2018, pp. 46?49.


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