円_(数学)
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解析幾何学において、(a, b) を中心とする半径 r の円は ( x − a ) 2 + ( y − b ) 2 = r 2 {\displaystyle (x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}} を満たす点 (x, y) 全体の軌跡である。この方程式を、円の方程式と言う。これは、中心 (a, b) と円上の任意の点 (x, y) との二点間の距離が r であるということを述べたものに他ならず、半径を斜辺とする直角三角形にピタゴラスの定理を適用しすることで導出できる(直角を挟む二辺は、各座標の絶対差 |x − a|, |y − b| を長さとする)。

中心を原点に取れば、方程式は x 2 + y 2 = r 2 {\textstyle x^{2}+y^{2}=r^{2}} と簡単になる。

α, β, γ, δ は実数で α ≠ 0 なるものとし、 a := − β α , b := − γ α , ρ := β 2 + γ 2 − α δ α 2 {\displaystyle a:={\frac {-\beta }{\alpha }},\quad b:={\frac {-\gamma }{\alpha }},\quad \rho :={\frac {\beta ^{2}+\gamma ^{2}-\alpha \delta }{\alpha ^{2}}}} と書けば、上記の方程式は f ( x , y ) := α ( x 2 + y 2 ) + 2 ( β x + γ y ) + δ = 0 {\displaystyle f(x,y):=\alpha (x^{2}+y^{2})+2(\beta x+\gamma y)+\delta =0} の形になる。この形(x2, y2 の係数が等しく、xy の項を持たない)の方程式が与えられたとき、以下の何れか一つのみが成り立つ:

ρ < 0 のときは、この方程式に解となる実点は存在しない。この場合を虚円[4] (imaginary circle) の方程式と呼ぶ。

ρ = 0 のとき、方程式 f(x, y) = 0 は中心となる一点 O ? (a, b) のみを解とし、点円[5] (point circle) の方程式と言う。

ρ > 0 のときには、f(x, y) = 0 は O を中心とする半径 r ? √ρ の円(あるいは実円 (real circle))の方程式になる。

α = 0 のとき f(x, y) = 0 は直線の方程式であり、a, b, ρ は(射影平面上で、あるいは見かけ上)無限大になる。実は、直線を「無限遠点を中心とする半径無限大の円」と考えることができる(一般化された円(英語版) の項を参照)。
別の表示法
ベクトル表示
中心の位置ベクトルを c とし、円上の任意の点の位置ベクトルを x とすると、これら二点間の距離は、ベクトルの
ユークリッドノルム ‖ • ‖ ? ‖ • ‖2: (x, y) ? √x2 + y2 を用いて、‖ x − c ‖ と書けるから、半径 r の円の方程式は ‖ x − c ‖ = r {\displaystyle \|\mathbf {x} -\mathbf {c} \|=r} となる。各点の成分表示が c ? (a, b), x ? (x, y) と与えられれば、 r 2 = ‖ x − c ‖ 2 = ( x − a ) 2 + ( y − b ) 2 {\textstyle r^{2}=\|\mathbf {x} -\mathbf {c} \|^{2}=(x-a)^{2}+(y-b)^{2}} は上記の円の方程式である。
媒介変数表示
(a, b) を中心とする半径 r の円の方程式を
正弦函数および余弦函数を用いて { x = a + r cos ⁡ ( θ ) y = b + r sin ⁡ ( θ ) ( 0 ≤ θ < 2 π ) {\displaystyle {\begin{cases}x=a+r\cos(\theta )\\y=b+r\sin(\theta )\end{cases}}\qquad (0\leq \theta <2\pi )} と媒介表示できる。幾何学的には、媒介変数 θ を (a, b) から出る (x, y) を通る半直線が、始線(x-軸の正の部分)に対してなす角の角度と解釈できる。円の別の媒介表示が半角正接置換により、 { x = a + r 1 − t 2 1 + t 2 y = b + r 2 t 1 + t 2 {\displaystyle {\begin{cases}x=a+r{\frac {1-t^{2}}{1+t^{2}}}\\y=b+r{\frac {2t}{1+t^{2}}}\end{cases}}} と与えられる。幾何学的には、この媒介変数 t の r に対する比を、中心を通り x-軸に平行な直線に関する立体射影として解釈できる。この媒介表示は、t が任意の実数のみならず無限遠点においても意味を持つが、その一方で円の最も下にある一点は表せないので除かなければならない。
その他の標準形
三点標準形
同一直線上にない三点を (xi, yi) (i = 1, 2, 3) とすると、その三点を通るという条件を満たす円は一つに決まり、その方程式を ( x − x 1 ) ( x − x 2 ) + ( y − y 1 ) ( y − y 2 ) ( y − y 1 ) ( x − x 2 ) − ( y − y 2 ) ( x − x 1 ) = ( x 3 − x 1 ) ( x 3 − x 2 ) + ( y 3 − y 1 ) ( y 3 − y 2 ) ( y 3 − y 1 ) ( x 3 − x 2 ) − ( y 3 − y 2 ) ( x 3 − x 1 ) {\displaystyle {\frac {({\color {green}x}-x_{1})({\color {green}x}-x_{2})+({\color {red}y}-y_{1})({\color {red}y}-y_{2})}{({\color {red}y}-y_{1})({\color {green}x}-x_{2})-({\color {red}y}-y_{2})({\color {green}x}-x_{1})}}={\frac {(x_{3}-x_{1})(x_{3}-x_{2})+(y_{3}-y_{1})(y_{3}-y_{2})}{(y_{3}-y_{1})(x_{3}-x_{2})-(y_{3}-y_{2})(x_{3}-x_{1})}}} という形に表すことができる。これは行列式を用いて 。 x 2 + y 2 x y 1 x 1 2 + y 1 2 x 1 y 1 1 x 2 2 + y 2 2 x 2 y 2 1 x 3 2 + y 3 2 x 3 y 3 1 。


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