円積問題
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それに対する懐疑的な見方は当時から存在し、ロドスのエウデモスは、magnitudes cannot be divided up without limit, so the area of the circle will never be used up. (「数量というものは無限分割不可能なのであり、故にその円の面積は決して尽くされはしないのだ」)と反論した[2]。円積問題はアリストパネスの喜劇『』の中にまで登場している。

正方形化を定規とコンパスだけを使って作図する問題として提示したのはキオスのオイノピデスが最初だと考えられている。ジェームズ・グレゴリーは、1667年に「Vera Circuli et Hyperbolae Quadratura(円と双曲線の正方形化)」において、円積問題は不可能だと証明しようとした。結果的に彼の証明は間違っていたが、円積問題に対して初めて円周率 (π) の代数的な性質に基づいた議論を試みたものになった。1882年にフェルディナント・フォン・リンデマンが円周率の超越性を証明したことで、円積問題が不可能であることの厳密な証明が得られた。
不可能性の証明

与えられた円と等しい面積の正方形を作図するためには、単位長さに対して √π の長さを作図することが必要となる。π が代数的数代数方程式の解となる複素数)ではなく超越数であることを示すことによって円積問題の不可能性が示される。実際、作図可能な数は代数的数になるので、円の正方形化が可能ならば円周率は代数的数だということになってしまう。円の正方形化の可能性は正方形の円化の可能性と同値なので、こちらの不可能性も示されたことになる。

ヨハン・ハインリッヒ・ランベルトは、1768年の論文で π が無理数であることを証明し、さらに、当時はまだ超越数の存在すら証明されていなかったが、π は超越数だろうと予想している。π が超越数であることは1882年フェルディナント・フォン・リンデマンによって証明された。

制限を緩めて、コンパスや定規を仮想的に無限回使うことを認めたり、ある種の非ユークリッド空間で作図することを認めたりした場合には、円積問題の作図は可能になる。例えば、ユークリッド空間では正方形化は不可能な一方、ガウスボヤイロバチェフスキーが提唱した双曲幾何学の空間では正方形化が可能となる。
近代の近似作図法

円積問題の作図は不可能だが、π にごく近い数を構成することで、与えられた円の面積を任意の精度で近似する正方形を作図することは可能になる。与えられた有理数の長さを持つ線分を作図するのには初等的な原理しか必要としない一方、このような方法による作図は得られる近似精度に比べて効率の悪い煩雑なものになりがちである。

円積問題の作図が不可能だと証明された後にも、円の正方形化の美しい近似法(つまり、同程度の精度の近似法のうちで特に単純なもの)を見つけることに精力を傾ける数学者がいた。

近代の近似作図法として、アーネスト・ウィリアム・ホブソン1913年に考案したものが挙げられる。これは比較的正確な作図法で、π の近似値として3.14164079….(小数点以下4桁まで正確である)を用いるものである。

小数点以下6桁まで正確な次の近似値を用いた作図が、1913年にインドの数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャン1963年にC・D・オールズ、1966年マーティン・ガードナー1982年にはB・ボールドによって、それぞれなされている: π ≈ 355 113 = 3.1415929203539823008 … {\displaystyle \pi \approx {\frac {355}{113}}=3.1415929203539823008\dots }

シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、1914年、小数点8桁まで正確な近似値 π ≈ ( 9 2 + 19 2 22 ) 1 4 = 2143 22 4 = 3.1415926525826461253 … {\displaystyle \pi \approx \left(9^{2}+{\frac {19^{2}}{22}}\right)^{\tfrac {1}{4}}={\sqrt[{4}]{\frac {2143}{22}}}=3.1415926525826461253\dots }

を用いた作図を見出した。

ロバート・ディクソンは、1991年、小数点以下4桁の精度にすぎないがコハニスキの近似といわれる次の近似を用いて作図した[3]: π ≈ 40 3 − 2 3   = 3.141533 … {\displaystyle \pi \approx {\sqrt {{\frac {40}{3}}-2{\sqrt {3}}\ }}=3.141533\dots }
喩えとしての用法

円の正方形化が不可能だと数学的に証明されても、それを認めようとせず、何年も解法を求め続けた数学者も多かった。トマス・ホッブズも死ぬまでの24年間もの間、解法を得たと信じたため、否定したジョン・ウォリスを非難し続けた。英語圏では、square the circle(円を四角にする)という言葉を、不可能なことを企てる人の喩えとして用いる[4]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 円周率を256/81=3.160493…とした場合に相当する。

出典^ O'Connor, John J. and Robertson, Edmund F. (2000). ⇒The Indian Sulbasutras, MacTutor History of Mathematics archive, St Andrews University.
^ Heath, Thomas (1981). History of Greek Mathematics. Courier Dover Publications . 日本語訳はT・L・ヒース『ギリシア数学史』平田寛大沼正則菊池俊彦訳(復刻版)、共立出版、1998年5月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-320-01588-6。 
^Kochanski's Approximation -- from Wolfram MathWorld
^ square the circle weblio

関連項目

リンデマンの定理

インディアナ州円周率法案 - 円積問題の(誤った)解法が法律化されそうになった事件。

立方体倍積問題角の三等分問題 - 本問題とともに三大作図問題として知られる。

外部リンク

『円積問題
』 - コトバンク










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