内閣総理大臣指名選挙
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そうならなかった場合は、衆議院の優越により衆議院の指名者が内閣総理大臣になる。

以上のように、事実上、衆議院議決で過半数を得た候補が内閣総理大臣に指名される。

その後に被指名者は、日本国憲法第6条の規定により、皇居での親任式において天皇による任命を受けて、正式に内閣総理大臣に就任する。
指名の資格

内閣総理大臣の指名を受ける資格として日本の国会議員であること(日本国憲法第67条第1項)と文民であること(日本国憲法第66条第2項)が義務付けられている。
国会議員

内閣総理大臣は国会議員の中から指名される(日本国憲法第67条第1項)。

実際に、過去の内閣総理大臣の指名選挙(首班指名)において、参議院議員が内閣総理大臣に指名されたことは一度もない。内閣総理大臣が事実上の権限を持っている衆議院解散において、自らの議員職を賭けない立場で衆議院解散を行うことについて否定的に捉えられていることや様々な法規定で衆議院の優越規定があることから、政治的慣例上として「衆議院議員が内閣総理大臣に就任することがふさわしい」という風潮が定着している。

過去に「参議院議員は内閣総理大臣になることができるのか」という質問主意書が衆議院議員山井和則から出されたことがあり、2009年(平成21年)3月10日に麻生内閣は『日本国憲法は、第六十七条第一項前段において「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と規定している』と答弁している[3][4]

なお、内閣総理大臣が国会議員であることは選任要件であると同時に在職要件でもあるとされている[5][6][注釈 1]
文民

内閣総理大臣は文民でなければならない(日本国憲法第66条第2項)。志願将校としては旧日本海軍少佐の中曽根康弘旧日本陸軍少尉の竹下登学徒動員では旧陸軍少尉の宇野宗佑徴兵では旧陸軍軍曹の村山富市が軍歴を持つが、いずれも旧軍解体後の日本国憲法下で内閣総理大臣に指名され任命されている。自衛隊出身者が指名された例はないが、同じく文民でなければならないとされる国務大臣(防衛大臣含む)に自衛隊退職者が就任した例はある。詳細は「文民」を参照
指名の手続
両院での指名の手続

内閣は国会法第64条に基づき、衆議院参議院の議長に内閣の総辞職又は内閣総理大臣の欠缺を通知する。通知を行うのは内閣総辞職の場合には内閣総理大臣、内閣総理大臣の欠缺の場合には内閣総理大臣臨時代理である[7]。この通知は会期中でない場合でも法定の事実が発生したときには直ちに行われる[7](閉会中に通知されたときは開会後に指名選挙が行われる)。

各院の本会議において、当該通知を受けた旨を議長が議員に報告し、その後直ちに内閣総理大臣の指名を行う(衆議院規則第18条第1項及び参議院規則第20条第1項)。

内閣総理大臣の指名は他の全ての案件に先立って行う(日本国憲法第67条)。内閣総理大臣が指名されないままの状態にあることは国政上において重大な支障をきたすためである[2]。ただし、条理上、院の構成など正常な議事運営を行い議院が有効に活動するための前提となる手続(議長選挙や副議長選挙など役員の選任、会期の決定、議席の指定など)については先決問題として内閣総理大臣指名選挙よりも前に行われることとなっており(昭和53年衆議院先例集69、昭和53年参議院先例録77)、これは憲法が予定するところあるいは憲法の許容するところと解されている[2][8][9][7][10]

内閣総理大臣指名選挙は投票によって行われている(衆議院規則第18条第1項及び参議院規則第20条第1項)。衆議院規則(第18条第4項)及び参議院規則(第20条第4項)には、各院での指名について「投票によらず動議その他の方法で指名できる」旨の規定があるが、両院とも過去この方法で指名された例はない。
投票内閣総理大臣指名選挙にて投票する菅義偉(2020年9月16日、衆議院本会議場にて)

内閣総理大臣の指名は単記記名投票によって行う[7]。議長選挙が無記名投票であるのに対して内閣総理大臣指名選挙は記名投票となっている[11]

投票に際して、衆議院においては議席に配付の投票用紙に被選人の氏名を記載しなおかつ投票者本人の氏名も記載する。参議院では議席に配付された投票用紙には予め投票者本人の氏名が押印されており被選人の氏名を記載する。以前は木札の名刺札(白色)も添える必要があったが、参議院では1955年以降の内閣総理大臣指名選挙では廃止されており[12]、また、衆議院でも2008年の内閣総理大臣指名選挙以降は投票用紙のみとなっている。


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