内閣法制局
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戦後も特にこれを所管する機関がない場合(例えば、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律)、各省の起案に係るものを技術的な見地から一本の法令に統合する場合(例えば、奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律)、政府各省庁の所管に属さない事項(例えば、会計検査院法)について当該関係機関の一応の草案に基づいて起案する場合があったが、現在では内閣官房がこのような事務を担当することが通例となり、憲法調査会施行令を最後に、内閣法制局の設置法施行令を除き、内閣法制局の起案は行われていない[10]。なお、内閣法制局の起案上申については、部長はもちろん、長官自ら主査となって行うものがある[注釈 4]。一般の行政機関ではおよそ考えられないことである[11]


法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること:意見事務

内閣および各府省庁からの意見照会に関する回答を行うことがあるほか、国会において関係大臣の間で意見に相違があるとき閣内統一見解を求められた際に内閣法制局長官が答弁する例が多い。また国会法第74条による質問主意書に対する回答で法制に関するものを含む場合は内閣法制局が関与する。


内外および国際法制ならびにその運用に関する調査研究を行うこと:調査事務

その他法制一般に関すること

組織
幹部

内閣法制局長官特別職副大臣級)

内閣法制次長指定職8号俸事務次官級)

内部部局

第一部(部長)

所管事務は以下のとおり。

意見事務

調査事務

内閣法制局設置法3条5号に掲げる事項(その他法制一般に関すること)のうち他の部の所掌に属しないものに関する事務


憲法資料調査室(室長)

所管事項は以下のとおり。

憲法調査会が憲法調査会法(昭和31年法律第140号)2条の規定によってした報告および同調査会の議事録その他の関係資料の内容の整理に関する事項

上記報告に関する補充調査に必要な資料の収集に関する事項

上記に掲げるものの外、特に命ぜられた事項



参事官

法令調査官


第二部(部長)

所管事務は以下のとおり。

主として内閣(内閣府を除く。)[注釈 5]内閣府(公正取引委員会および金融庁を除く。)、法務省文部科学省国土交通省防衛省の所管に属する事項その他第三部または第四部の所掌に属しない事項に係る法律案および政令案の審査事務および立案事務

内閣法制局設置法3条5号に掲げる事項のうち内閣法制局長官から特に命ぜられたものに関する事務


参事官


第三部(部長)

所管事務は以下のとおり。

主として金融庁総務省(公害等調整委員会を除く。)、外務省もしくは財務省または会計検査院の所管に属する事項に係る法律案及び政令案の審査事務および立案事務

条約案の審査事務

内閣法制局設置法3条5号に掲げる事項のうち内閣法制局長官から特に命ぜられたものに関する事務


参事官


第四部(部長)

所管事務は以下のとおり。

主として公正取引委員会公害等調整委員会厚生労働省農林水産省経済産業省または環境省の所管に属する事項に係る法律案及び政令案の審査事務および立案事務

内閣法制局設置法3条5号に掲げる事項のうち内閣法制局長官から特に命ぜられたものに関する事務


参事官


長官総務室(総務主幹)

総務課

会計課

調査官


人事

キャリア官僚は独自採用せず、各省庁から課長級以上を「参事官」として出向で受け入れている。その中でも、法務省、財務省、総務省、経済産業省、農林水産省の5省の出身者だけが局長級以上の幹部に昇任することができ、さらに長官までには上記の内から農水省を除いた4省の出身者が、第一部長→法制次長→長官という履歴を経て就任する人事慣行が確立されてきた。この慣行は1952年以来崩されることがなかったが[12]、2013年8月、法制局勤務経験のない外務省出身の小松一郎が長官に就任した[13]。ただし、小松の後任からは法制次長の昇格が復活している。

この他、ノンキャリア組職員として、国家公務員一般職試験合格者より、若干名を採用している。また、課長補佐級以下のポストにも各省庁のキャリア組、ノンキャリア組職員からの出向者を受け入れており、一部は「参事官補」(課長補佐級)として参事官と同様の意見事務や審査事務を行う場合がある。
幹部職員

内閣法制局の幹部は以下のとおりである[14]

内閣法制局長官:近藤正春 (経済産業省出身)

内閣法制次長:岩尾信行 (法務省・検察官出身)

第一部長:木村陽一 (経済産業省出身)

第二部長:平川薫 (総務省・旧自治省出身)

第三部長:佐藤則夫 (金融庁・旧大蔵省出身)

第四部長:栗原秀忠 (農林水産省出身)

総務主幹:嶋一哉 (総務省・旧自治省出身)

所管法人

内閣法制局が主管する独立行政法人、特殊法人及び特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)は存在しない[15][16][17]
財政

2021年度(令和3年度)一般会計当初予算における内閣法制局所管予算は11億9582万9千円[2]
職員

一般職の在職者数は2022年7月1日現在、内閣法制局全体で73人(男性54人、女性19人)である[18]

内閣法制局の一般職の職員は非現業の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として国家公務員法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国家公務員法第108条の2第3項)。

2022年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数について資料[19]に内閣法制局の項はない。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 内閣法制局長官内閣総理大臣の申出により、内閣罷免できるとされているが、憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、内閣法制局長官の罷免権は最終的には首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができるため、事実上首相が任免権を留保している。
^ 同年、獨逸学協会が発足していた。
^ 内閣法制局百年史(1985年)(大蔵省印刷局)において1942年から1945年までに4件の法律と8件の勅令の起案をしているとの記述がある(P65~66)。
^ 例えば夏時刻法、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律。
^ 内閣官房復興庁はここに含まれる。

出典^ 令和3年度歳出概算要求書第3表令和3年度概算要求定員表 (PDF) 内閣法制局
^ a b 令和3年度一般会計予算 (PDF) 財務省
^ “内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年1月8日閲覧。
^ a b 内閣法制局 。時事用語事典 。情報・知識&オピニオン imidas - イミダス
^ これでわかった!内閣法制局 法の番人か?権力の侍女か?
^ 太政官 1876.
^ 高松宮家 1929.
^ 高松宮家 1929, p. 47.


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