内海賢二
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その声質から悪役を演じることが多く、内海自身も「人生において吹き替えた役の3分の2は、“悪”ですよ(笑)」と冗談交じりに語っている[21]。一方、それとは正反対なコミカルな演技を活かす役を演じることも多かった[17]。吹き替えでは、スティーブ・マックイーンサミー・デイヴィスJr.の担当声優として知られた[36]。また、黒人俳優を担当することが多かった[21]

最初の持ち役はヴィクター・マチュアで、声はマチュアの声に合っており、『荒野の決闘』をはじめ、マチュアが出演していた作品はほとんど吹き替えを担当していた[15]

マックイーンを初めてアテたのが『荒野の七人』であった[15]。しかしマックイーンは演じにくく、抑揚がなく、ボソボソとしたしゃべり方であったが、その上黙っているポーズ、姿がいいときているもんだったことから、吹き替えは苦労していた[15]。『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』でジュニア・ボナー役を演じていたマックイーンは難しく、プロデューサーからの「今までのマックイーンと離れてやってくれ」という注文で、失われつつある人間の詩情を出すのに苦労していた[15]。その時は語尾をソフトに、甘いムードの中に男らしさを盛り込んだりしていた[15]。ジュニア・ボナーは個人的には好きなタイプの人間で、西部劇も好きだったことから、やりがいがあった[15]サム・ペキンパーが監督を務めていた映画は好きで全部見ていたという[15]

NHKの頃は可愛い声であり、KBCにいた頃は少年剣士役を演じていたという[19]

007シリーズ吹替版では常連声優であった。6作で悪役を担当しており、悪役での最多登場を誇る[37]。『007 ロシアより愛をこめて』(シリーズ史上有数の存在感で知られるロバート・ショウを担当)と『007 死ぬのは奴らだ』では悪役をつとめ、それぞれTBSで吹替が再制作された時も、内海は交代なしで2バージョンとも同役をつとめた(『007 ロシアより愛をこめて』ではこの再制作の時にボンドの吹替声優も交代した)。『007 ダイヤモンドは永遠に』がTBSで新録された時(1990年)にはショーン・コネリーが演じたボンドを吹き替え、主役を務めた。また『007 リビング・デイライツ』(TBS版)で悪役だったジョー・ドン・ベイカーを担当、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(フジテレビ版)ではボンドの相棒役となったベイカーを再び吹き替え、作品・制作局・役柄が異なる中、同じ俳優の吹替に配役される経験もしており、最後の007シリーズ吹替だった『007 慰めの報酬』(同作のみソフト用新録)まで、ジョージ・レーゼンビー以外の全ボンド俳優の主演作品に出演、幅広い役柄で長くシリーズを支え続けた。シリーズ番外編『ネバーセイ・ネバーアゲイン』でも悪役をつとめている。
人物像

後輩の神谷明は内海について、「明るい」「元気」「豪快」「格好良い」「気っぷが良い」「情熱家」「器がでかい」という言葉がぴったりだと述べている。一方で、「シャイ」「繊細」「細やかな心遣い」という、普段のイメージとは若干異なる部分もあったという[38]

現場では明るくムードメーカーな存在だったといい、戸田恵子は「あのお声であのお顔立ちで恐い人なのかな?と思いきや、その真逆」と語っている[39]。派手でオシャレが好きであり、葬儀では祭壇に内海愛用の帽子コレクションが並べられた。戸田恵子とはよくファッション談義もしたという[39]。その性格から多くの仲間や後輩に慕われていた。

谷山紀章が事務所に入った時の内海に対する第一印象はその強面な風貌から「(内海の愛車であった)ベンツからあの風貌の男が降りてきちゃダメだろう」というものだった。その一方で谷山も内海の人柄に魅了された一人であり、自らを「内海賢二の子分」と自任しており、生前は「ボス」と呼んで慕っていた。内海逝去後も「僕のボスは後にも先にも内海賢二だけです」と公言しており、インタビューなど公な取材の場でも内海に対して「社長」でもなく「内海さん」でもなく「ボス」という言葉を使っている[40]

古川登志夫は、優しかった先輩として内海の名を挙げている。古川が現場でダメ出しをされて落ち込んでいる時、帰り際に「おい、登志夫、ちょっとお茶でも飲もうか」と誘い、「きついこと言われてたけどね、あの演技で良かったと思うよ。」と慰める言葉をかけてくれたという[41]
仕事に対する姿勢

一つ一つの仕事には全力投球だったといい、非常に真摯であった。

声優として幸せなことには「媒体を問わず色んな役柄が出来ること」と答えている。演技については「ハートが大事!」と語っていた[22]。吹き替えでは、元の役者の声や芝居に似ているかより、その役の中身を考え演じている[21]

アニメの難しさに声によって画が生きるか死ぬかが決まること、吹き替えの難しさに俳優の演技と吹き替えの声のお互いの相乗効果で作っていくことを挙げている。また、共演者との演技のバランスにも留意していたという[21]

神谷明によると、『北斗の拳』でのケンシロウラオウの最終決戦の収録の際は、にこやかな普段と違い「そばにも寄れないほどの厳しさでオーラを放っていた」とのことで、その時はスタジオ中が緊張感に包まれていたという[38]


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