典拠管理
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典拠ファイルが機械読み取り可能な形でオンライン提供されることは、WWW上の情報資源に意味の明確なデータを付与して機械的な意味処理を目指すセマンティック・ウェブの技術の進展に向けても有効活用できるものであり[12][8]、図書館管理業務の枠を超えて有用なものになることが期待される[11]

一方で、典拠を管理する行為自体にかかる作業負担やコストを無視することはできない。近年のオンライン資料の増加は網羅されるべき対象を爆発的に増大させている。これに対応するためには多くの機関の間での連携が必要になるが、そのためにはシステムの相互運用性を確保する必要がある[5]。元来、図書目録はその図書館内で完結するものであった経緯などから、データの共有に向けての課題は多い。

また、典拠管理が有効に働くためにはデータベースが完璧に近い形である必要があり[5]、初期労力が大きい。そもそも出版や情報流通の変化にともないデータベースに要請される特性は絶えず変化し続け、人類の知識・文化体系が変化し続けることなどからすべての情報を網羅することは現実的に不可能であるが、それでもなお情報を整理し続けることは今日の図書館が担うべき任務であるとされる[17][18]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 識別や集中など図書目録が備えるべき役割と構造は、1961年に国際目録原則会議で採択された国際図書館連盟『原則覚書』(通称パリ原則)で規定されている[6]OPACの登場やオンラインによる目録にふさわしい原則として、2009年には新たに『国際目録原則覚書』が刊行されている[7]
^ 新『国際目録原則覚書』では「名称の異なる形」と呼ぶ[10]
^ 新『国際目録原則覚書』では「名称の典拠形」と呼ぶ[10]
^ ただしこれは副次的な機能にすぎない。典拠ファイルが事典のような情報を記録するのは、適切な標目の選択や重複・見逃しの防止、管理作業の手助けとするためにすぎない。[15]

出典^ Michael Levine-Clar and Toni M. Carter, ALA Glossary of Library and Information Science, Fourth Edition, American Library Association, 2013, p. 22. ISBN 9780838911112
^ 『図書館用語集』東京理科大学図書館、2014年11月16日閲覧
^ 「 ⇒用語集:典拠リスト」『科学技術情報流通技術基準 (SIST)』独立行政法人科学技術振興機構、2014年11月16日閲覧
^ 「 ⇒書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整? 第1回 書誌調整とは?」『国立国会図書館月報』506号、2003年5月
^ a b c d e 渡邊隆弘「典拠コントロールの現状と将来」『情報の科学と技術』60巻9号371 - 377頁、2010年9月
^Statement of principles : adopted by the International Conference on Cataloguing Principles Paris, October 1961, London : International Federation of Library Associations, 1963
^ 「新『国際目録原則覚書』の日本語訳」『カレントアウェアネス・ポータル』国立国会図書館、2009年3月11日
^ a b c 「 ⇒Web NDL Authorities について」『Web NDL Authorities』国立国会図書館、2014年11月16日閲覧
^ a b 「 ⇒典拠(もれなく探せます)」『 ⇒本のデータのしくみ』東京都立図書館、2010年12月15日、2014年11月16日閲覧
^ a b c 国立国会図書館収集書誌部訳『 ⇒国際目録原則覚書』国際図書館連盟(IFLA)目録分科会、2009年
^ a b c 渡邊隆弘「典拠コントロールとオントロジー : 豊かな情報アクセスのための基盤」『情報の科学と技術』61巻11号434 - 440頁、2011年11月
^ a b Robert H. Burger, "Artificial Intelligence and Authority Control", Library Resources and Technical Services, Vol. 28, No. 4, pp. 337-345, 1984
^ Linda Barnhart, " ⇒Access Control Records: Prospects and Challenges", Authority Control in the 21st Century: An Invitational Conference, 1996
^ a b 『 ⇒バーチャル国際典拠ファイル』2014年11月16日閲覧


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