公証人
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1989年度は、全国530人の公証人のうち、判事経験者150人、検事経験者240人、法務局長など法務省職員OBが140人を占め、弁護士出身者は1人しかいない。

資格の特例2 - 学識経験者からの任命(特任公証人、公証人法第13条の2)
そのほか、多年法務に携わり、これに準ずる学識経験者で「公証人審査会の選考」を経た者も任命できる。ただし、法務局もしくは地方法務局またはその支局管内に職務を行う公証人が存在しない場合に限る(公証人法第13条の2但書)。これらの者の場合は、試験と実地修習は免除されるが、公募に定員の倍数を超える応募があった場合は短答式試験・口述式試験を実施して選考する。選考の対象となるのは、以下の者である。
裁判所事務官裁判所書記官法務事務官検察事務官として、通算15年以上勤務した者(7級以上の職にあること)

簡易裁判所判事、副検事として、通算5年以上勤務した者(7級以上の職にあること)

司法書士として、通算15年以上の実務経験がある者

法人の法務に関し、通算15年以上の実務経験がある者

検察官・公証人特別任用等審査会公証人分科会が個別審査をして、経歴・資格等から多年法務に携わった経験を有すると判断した者

2002年度から、法曹資格を有する裁判官検察官、弁護士は年3回、多年法務に携わり、これに準ずる学識経験者で、「検察官・公証人特別任用等審査会」が定める基準に該当する者は年1回の公募により、任命されることになった。

法務局若しくは地方法務局またはその支局の管内に職務を行う公証人が存在しない場合、または職務を遂行することができない場合に、法務大臣は当該法務局若しくは地方法務局またはその支局に勤務する法務事務官に公証人の職務を代行させることができるとされ、「公証人法第8条の規定による法務事務官をして公証人の職務を行わせる法務局若しくは地方法務局又はその支局」(昭和33年法務省告示第338号)で告示されている以下の10箇所で公証業務がなされている(公証人法第8条)。

長野地方法務局飯山支局、同大町支局

新潟地方法務局佐渡支局

松江地方法務局西郷支局

長崎地方法務局壱岐支局、同対馬支局

那覇地方法務局宮古島支局、同石垣支局

仙台法務局気仙沼支局

釧路地方法務局根室支局

除斥原因

公証人が事件の当事者または事件の内容と特殊の関係にある場合に、除斥の原因となるのは、以下の場合である(公証人法第22条)。
嘱託人、その代理人又は嘱託された事項につき利害の関係を有する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族であるとき、又はあったとき

嘱託人又はその代理人の法定代理人、保佐人又は補助人であるとき

嘱託された事項につき利害の関係を有するとき

嘱託された事項につき代理人若しくは補佐人であるとき又は代理人若しくは補佐人であったとき

除斥は、当該公証人が他の公証人の代理をする場合にも適用され、代理訴訟人に除斥原因があれば、代理職務の執行から除外される(公証人法第65条第3項)。
指定公証人

電磁的記録に関する公証事務(電子公証)を行うには、法務大臣の指定した公証人(指定公証人)である必要がある(公証人法第7条の2)。
職務内容

法律行為その他私権に関する事実についての公正証書の作成(公証人法第1条第1号)

私署証書の認証(公証人法第1条第2号)

株式会社社団法人財団法人等の定款の認証(公証人法第1条第3号)

私電磁的記録の認証(公証人法第1条第4号、指定公証人のみ)

不在者、相続財産等の財産管理人による財産目録の作成への関与(民法第27条)

遺言証書の作成(民法第969条)

秘密証書遺言への関与(民法第970条1項、第972条)

金銭等の請求につき執行受諾文言のある公正証書(執行証書)への執行文の付与(民事執行法第22条第5号、第26条第1項)

手形小切手の拒絶証書の作成(拒絶証書令1条、手形法第44条、第60条、第77条、小切手法第39条、商法第609条)

私文書への確定日付の付与(民法施行法第5条、第6条)

抵当証券の支払い拒絶証明書の作成(抵当証券法第27条)

破産財団財産の封印(破産法第155条第1項)

などを、当事者・関係者の嘱託に基づき行う。

公証人は、正当な理由がなければ、公証の嘱託を拒否することができない(公証人法第3条)。但し、法令に違反した事項、無効の法律行為、および行為能力の制限により取り消しうる法律行為について、証書を作成することはできない(公証人法第26条)。また本法に基づく証書作成の嘱託は必ず日本語で行われなくてはならない(公証人法第27条)。

公証人が公正証書を作成するには、嘱託人の素性(住所・氏名など)を知り嘱託人と面識があることを必要とし、それがない場合は印鑑証明書の提出など本人確認の確実な方法により人違いがないことを証明させ、これを確認しなければならない(公証人法第28条)。嘱託が代理人によって行われる場合も同様である(公証人法第31条)。

嘱託人が法人である場合は、法人の存在およびその代表権を有する者の確認と、代表者である個人の確認のための資料が必要となる。法人格のない団体の場合は、公正証書の作成を嘱託できないとされる。

第三者の許可または同意を要する法律行為については、公証人が公正証書を作成するにあたり、許可または同意があったことを証明する書面の提出が必要となる(公証人法第33条)。
代理

嘱託による代理(公証人法第63条第1項)
職務を行うことができない公証人(被代理公証人)が、同一の法務局・地方法務局管内の公証人に職務の代理を嘱託するもの。

命令による代理(公証人法第63条第2項)
職務を行うことができない公証人(被代理公証人)が、上記の代理を嘱託しない場合、または嘱託ができない場合に、所属する法務局長・地方法務局長が、同一の法務局・地方法務局管内の公証人に職務の代理を命令するもの。

代理公証人は、被代理公証人の公証役場において職務を執行する(公証人法第65条第1項)。
兼務および受継

公証人の死亡、免職、失職、転属により後任者がいないときは、法務局長・地方法務局長は、同一管内の公証人に職務の兼務を命令することができる(公証人法第67条第1項)。兼務者が職務上、署名するときは、その旨を記載する(公証人法第70条第1項)。


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