公職選挙法
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このため、以前は総務省の見解を尊重すると、選挙期間中インターネットを利用した選挙活動(ネット選挙)を行えず、ブログの更新や、Twitterのつぶやき[6]、さらにはmixiの足あと[7]まで公職選挙法に抵触するとしていた。ただし、この解釈は一度も司法の判断を受けていなかったため、社会的に定着しきっていたとは言えず、総務省・選管とインターネットを使用して選挙運動を行いたい候補者・市民との間で「両すくみ」のような状態になっていた。ただし、2011年の福岡市議選では、元放送通信会社員で無所属候補の本山貴春がUSTREAM・twitter・Youtube・ブログ・メールマガジンなどを選挙運動期間中に毎日更新したにも拘らず、起訴猶予(事実上の不起訴)となっている(詳細はネット選挙を参照)。この状態を解消するため、インターネットを利用した選挙運動を明文で認める、公職選挙法の改正が2013年4月に行われた。

2007年の東京都知事選挙のある候補者の政見放送がネットで注目され、加工されたものを含めてYouTubeなど動画サイトに多数アップロードされた。この事態を受けて東京都選管は、146条の脱法文書規制ではなく政見放送の回数の公平性を理由としてプロバイダに当該動画の削除要請を行った。

選挙権年齢の18歳以上への引き下げ

2015年(平成27年)6月17日に、第3次安倍内閣安倍晋三首相)下で「選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げること」など18歳選挙権に関連する改正公職選挙法[8]が成立した。この改正法は、2015年(平成27年)6月19日に公布され、1年後の2016年(平成28年)6月19日から施行された。[9][10]

この改正により、18歳・19歳の約240万人の新たな有権者が出現することになり、投票率が低い若年層の意見がより政治に反映されることが期待された。2016年(平成28年)6月19日の改正法の施行日以後に、期日が公示される総選挙又は通常選挙から適用される[11]ため、2016年(平成28年)の第24回参議院議員通常選挙の公示以後適用となった。ただしこの参議院選挙の公示の日以後に、選挙の告示がされた地方選挙で、参議院選挙の投票日より前(具体的には1週間前の7月3日)に投票日が設定されたものにも適用がされた。具体的には、2016年(平成28年)6月26日告示、同年7月3日投票の福岡県うきは市長選が日本初の18歳・19歳選挙となった[12](平成28年(2016年)6月28日告示、同年7月3日投票の滋賀県日野町長選挙も日本初の18歳・19歳選挙として予定されていたが、立候補が現職1人のみだったため無投票当選となり選挙は行われなかった[13]

この改正に伴い、「少年法の適用対象となる18歳・19歳が連座制の対象となる悪質な選挙犯罪を行った場合に、原則として家庭裁判所検察官送致をしなければならないこと」が改正法の附則第5条に定められた。

その他

地方の首長選において、ローカル・
マニフェストの配布が2007年の統一地方選挙から、「ビラ」という形で解禁された。

2007年の長崎市長選挙の期間中の4月17日、現職の市長であり候補者であった伊藤一長暴力団関係者に銃撃され、翌日早朝に死亡する事件が発生した(長崎市長射殺事件)。上記の補充立候補の期限切れ間際に2人が立候補をしたが、多くの無効票が発生したり、補充候補者の選挙活動期間が他の候補者より大幅に短かったり、事件のショックが覚めやらぬ中で4月22日の投票日を迎えて有権者が投票を迫られたなど、多くの問題が発生した。このため、期日前投票を含めた現行の公職選挙法の見直しの議論が起こっている。具体的には、期日前投票のやり直し(既に投じられた票を一旦全て破棄した上で再度投票してもらう)、選挙実施日の延長などが提案に挙がっている。

2011年の統一地方選挙は、3月11日に東日本大震災が発生してわずか1か月で最初の投票日を迎えた。選挙の実施が困難な自治体は臨時特例法によって選挙の延期が認められたが、それ以外の自治体でも候補者が選挙活動の自粛を余儀なくされる異例の選挙となった。千葉県議会議員選挙では、浦安市長と同市の選挙管理委員会が選挙事務の執行を拒否したために同市選挙区の有権者が投票を行えず、再選挙となる事態も起こっている。こうした状況下で岩手宮城福島茨城の4県の被災自治体以外での選挙の予定通りの実施を決めたことに対しては、みんなの党(一律で選挙を延期する独自の法案を国会に提出していた)などから批判も挙がった。

2020年以降の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によるコロナ禍で、陽性反応が出たため自宅や宿泊施設での療養状態にある感染者の投票機会確保が課題となった。そのため、2021年第204回国会では議員立法により特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律(コロナ郵便投票法)が成立し、同年の東京都議会議員選挙から適用されている。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 衆議院議員選挙法(大正14年法律第47号)及び参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)の附則などによるのでなく、公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律(昭和25年法律第101号)により廃止された(同法第1条参照)[2]。同時に、この法律によって地方自治法(昭和22法律第67号)その他の法令改正も行われた。

出典^ “参議院議員選挙制度の変遷”. 参議院ライブラリー. 2022年8月21日閲覧。
^ “公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律”. 日本法令索引. 2022年8月21日閲覧。
^ 平凡社、大百科事典、1984年、「公職選挙法」
^ 都道府県市町村特別区
^ 都道府県知事市区町村長
^ ねとらぼ:「理不尽」「悪法も法」──衆院選公示、“Twitter議員”もつぶやき停止 - ITmedia News ITmedia News 2016年(平成28年)3月15日閲覧
^ J-CASTニュース : ミクシィ「足あと」は「戸別訪問」?中川秀直氏、日記閲覧も「自粛」 J-CASTニュース 2016年(平成28年)3月15日閲覧
^ 公職選挙法等の一部を改正する法律(平成27年6月19日法律第43号)
^ 改正法附則第1条
^ 総務省|選挙権年齢の引下げについて 総務省 2016年(平成28年)3月15日閲覧
^ 改正法附則第2条第1項
^ “福岡・うきは市長選、全国初の18歳選挙が確定 7月3日投票”. 日本経済新聞. (2016年6月26日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H12_W6A620C1PE8000/ 2017年10月19日閲覧。 
^ 「18歳選挙」全国初ならず 滋賀・日野町長選は無投票が確定 - 産経新聞 2016年6月28日《2017年10月18日閲覧》

関連項目ウィキニュースに関連記事があります。

改正公職選挙法が成立、選挙区選の在外投票が可能に

ウィキソースに公職選挙法の原文があります。

選挙管理委員会

在外日本人選挙権訴訟

一票の格差

事情判決

政見放送

百日裁判

連座制

選挙人名簿

選挙違反

不正選挙

明白かつ現在の危険


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