公的扶助
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給付を受けるには、求職センターにて求職している申請を行わなければならない[13]

2006年の求職者基礎保障制度Arbeitslosengeld II(ドイツ語版)(通称:Hartz-IV、ハルツ・フィア)は、2004年のドイツの流行語ともなっている2005年に成立した制度である[14]
フランス「フランスの医療」も参照

公的扶助(assistance publique)という用語をスティグマ感がつきまとっていたことから1953年以降、社会扶助(フランス語版)という用語に変更しており[15]、それに加え、家族手当、家族係数(フランス語版)などの家族給付(フランス語版)および社会ミニマム(フランス語版)といった多種多様な社会手当が公的扶助の制度体系の中で重要な役割を果たしている。社会保険制度からの給付を受けられない者に対しての補助的な制度である[15]

1988年に長期失業者に対する社会参入最低所得(英語版)(RMI)制度が発足[16]。支給額は、2008年の水準で独身者が月額455ユーロであった。これは、パートタイム労働者の最低賃金が月額換算で約500ユーロであり、家族が2人以上いればRMI制度を利用するのと同等の経済水準となることから労働意欲を失わせかねない状態であった。このことから、2009年6月1日より就労意欲を喚起させる新たな積極的連帯所得(英語版)(RSA)制度が発足。就職しても収入額に応じて段階的な保障が受けられる制度に変更した。RSAが掲げる理念は「労働による貧困からの脱出」である。RSAは、最後のセーフティネットであるため、受給するには利用できる他の社会給付をすべて申請していなければならない。また、配偶者や子に関する扶養費の請求や離婚に伴う相手方からの補償手当の請求などもすべて行なわなければならない(L. 第262-10条)。基準額(MF)は、単身かカップル(夫婦、内縁関係、Pacs)かという点及び扶養する子の人数に応じて決定される。特例として、一定の条件を満たす単親に対しては、原則として12か月間、一定額増額されたMF(以下「単親増額」)が適用される(L. 第262-9条)。この単親増額は末子が3歳に達するまで延長することができる[17]
フィンランド

フィンランドでは生計援助の受給資格につき、法は「援助を要する者で、賃労働、事業活動、生計費を保障するその他の給付、その他の収入もしくは資産、生活保持義務者による扶養、またはその他の方法により生計費を得ることのできない者は、何人も生計援助を受給する権利を有する」と定める[18]

独居者およびひとり親は、国民年金法にいう1級自治体において約3万7千円の食糧費等の基礎金額及び住宅費の実費等を支給される。生計援助は基本的に短期的支援を目的とし、一時的な困難からの脱却を助けるとともに、そうした困難の発生を防ぐための給付とされるため、斡旋された職業もしくは就労促進政策上の措置を正当な理由なく拒否したり、それらの斡旋が当人の解怠によって不可能となった場合、基礎部分を減額できる[18]
スウェーデン「スウェーデンの福祉」も参照

社会扶助(Socialbidrag)と呼ばれており、市町村に相当するコミューンが責務を持ち、財源はコミューンの一般歳入である[19]。ミーンズテストが実施され、受給率は生産年齢世帯の5.7%[20]。なおスウェーデンの医療制度は公費負担医療である。

公的年金は国の権限によって実施されており、スウェーデンに居住していれば給付される社会扶助年金(租税原資)と、労働市場に参加し保険料を支払っていれば給付される所得比例年金の2段階に組み立てられ、従前所得に対して高い割合の給付が保障されている[21]。最低保障年金は所得比例年金の積立が増えるに従って減額されていき、一定額以上ではゼロになる[21]

社会扶助については、管理・運営がコミューンに委ねられている。運営面でコミューン間にかなり相違があり、給付水準さえも異なるケースがある。給付の際には、最低生活費の給付とともに、ソーシャルワークによって自立支援が行われているという。その社会扶助の受給資格がきわめて厳しく、所有物を基本的に売却しなければならず[22]、家や土地はもちろん、自治体によっては車も売却対象となり[22]、また少しでも労働能力があれば就労プログラムへの参加が強いられる。1990年代の経済危機により失業者が増加し社会扶助受給者が増え、社会扶助にかかるコストの増加、受給者数の増加、さらには受給年数の長期化という3つの要因によって「スウェーデンモデルの崩壊」が叫ばれるほどであった。その結果、社会省が1999年から2004年までに社会扶助受給者数を半減する目標を設定し、同時に社会扶助受給者の増加を分析したところ、長期受給者の増加によって、社会扶助受給世帯の子供も社会扶助受給者に陥るような、貧困の世代間継承の事例も存在することが確認されている[23]
デンマーク「デンマークの医療」も参照

デンマークノルディックモデルの高福祉高負担福祉国家であり、食料品・日用品などにVAT(付加価値税)25%が課され[24]、公的扶助費にも課税されている。国民負担率は世界一の48.6%(2013年、OECD統計)といわれる[25]

公的扶助は永久給付ではなく受給条件があり、学校の清掃活動参加、町の施設や病院での奉仕などの義務が伴い、義務を履行しない場合は受給停止となる。就労活動にも厳しく関係者の監視がつく[26]

1994年、現金援助金制度の改革が行われ、これにより、市は、ただ単に現金援助金を支給するだけでなく、就労促進対策、職業紹介、職業相談、教育訓練等の事業を行い、受給者の雇用機会の創出のための積極的な支援を行うことが義務づけられた。現金支援の支給が決定した場合、就労が可能と考えられる全ての者がコペンハーゲン職業センターで審査を受ける。即日、状況に応じ、産業適応訓練センター等9つある就労促進施設(全て市の機関)いずれかの活動に参加することが義務づけられ、これに従わない場合は現金援助金の支給が停止される[27]

2014年1月からは、16歳から受給を始めた36歳のシングルマザーが特段の問題なく就労せずにフルタイム労働者よりも多額の生活費を福祉で得ていたことに端を発した論争[28]から改革が起こり、30歳未満の公的扶助対象者は、手当受給のために職業訓練を受けることが必須となった。


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