公理
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同様に妥当性が問題になるタイプの公理に集合論の選択公理など無限を取り扱ったものがある。これは「無限個の(空でない)集合の列から一個ずつ元を選ぶことができる」という趣旨の公理である。選択公理は(集合論のそれ以外の公理が矛盾していない限り)矛盾を導かず(ゲーデル)、さらに選択公理の否定からも矛盾が導かれない(コーヘン)ことが知られている。

選択公理を認めることで様々な強力な定理(帰納的順序集合における極大元の存在、ベクトル空間の基底の存在、代数的閉包の存在、従順群上の不変汎関数の存在など)が証明できる。いっぽうで選択公理を認めてしまうと一見直観に反していて逆理であるかのような定理(バナッハ・タルスキの逆理非可測集合の存在)が成立してしまう。ほとんどの数学者は選択公理を認めた数学体系を研究しているが、おもに数学基礎論の研究において、選択公理を認めない数学の可能性を追求している数学者もいる。
脚注^ 伏見康治「確率論及統計論」第II章 確率論 8節 公理系 p.61 ISBN 9784874720127http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204
^ 「しかし‘アキシオーマ’という言葉も‘ヒュポテシス’[→定義]や‘アイテーマ’[→公準]と同様,もとは弁証論(ディアレクティク)から出たものであり、これが後に数学の術語に受け入れられていったのであるから,数学的公理の自明性からこの言葉の意味を考えるのは本末顛倒である.」「最も普通の場合,そこ[=弁証論]における?ξι?ωの意味は‘アイテーマ’の動詞と同様に‘請う,要請する,要求する’の意味に使われている」(伊東俊太郎「第I部 ギリシア数学」第3章「§3. ユークリッド原論の成立」、『数学講座 18 数学史』筑摩書房、1975年、p.106→伊東俊太郎『ギリシア人の数学』第3章、講談社学術文庫、1990年)。以上は、アルパッド・K・サボーらの文献学的なギリシア数学史研究に拠る説。「サボーの説には、今日の仮言法的公理論の原型がすでにギリシアの数学にあったという示唆がある」(村田全「 ⇒『ブルバキ 数学史』について」『数学史の世界』玉川大学出版部、1977年、pp.148-149.)。
^ ユークリッドはこれら5つに「公準」という言葉を用いており、他の命題を「公理」と記している。

関連項目

証明 (数学)

形式主義

公理的集合論

ダフィット・ヒルベルト

ヒルベルト・プログラム

演繹

ルイス・キャロルのパラドックス

科学哲学

外部リンク

『公理
』 - コトバンク

『公準』 - コトバンク


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