八百長
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大関同士の対戦はあっけない相撲で琴櫻が勝ったが、取組後に「八百長ではないか」とファンから非難が集中し、翌日記者クラブからの質問に協会理事長の武蔵川(元幕内・出羽ノ花)は「ファンの疑惑を招いたことは申訳ない」と遺憾の意を表明し、武蔵川の意向を受けた審判部は緊急審判部会を開き、両力士に対し「今後このようなことがないよう」厳重に警告した[21]
1972年の相撲競技監察委員会発足後
1971年12月4日に協会は臨時理事会を開き、「無気力相撲」を防止するための対策のひとつとして「故意による無気力相撲懲罰規定」を制定し、1972年1月場所より施行することとした。規定に基づき設置された相撲競技監察委員会は、無気力相撲がなかったか確認するとされているが、実際に無気力相撲を認定した例は極めて少ない。「相撲競技監察委員会#実際に処分された者」も参照
1980年-1999年週刊ポストによる八百長報道(角界浄化キャンペーン)
1980年、元十両四季の花範雄によって現役時代に金銭の絡む八百長の仲介者として働かされたことが暴露された。この証言に対して賛同するように、元前頭禊鳳英二、元十両八竜信定、元幕下谷ノ海太一が八百長を証言した。その後、元立行司木村庄之助 (26代)、元序二段大ノ花、元序二段戸山、元三段目富士昇(元大関北天佑の弟)が八百長を証言した。1988年、元横綱双羽黒光司の元付け人上山進によって現役時代に金銭の絡む八百長の仲介者として働かされたことが暴露された。1996年、元関脇高鐵山孝之進によって現役時代における金銭の絡む八百長が暴露された。1996年、元小結板井圭介の元付け人(匿名)によって現役時代に金銭の絡む八百長の仲介者として働かされたことが暴露された。1997年、当時の現役横綱曙太郎の元付け人高見旺によって現役時代に八百長の仲介者として働かされたことが暴露された。1999年、「千代大海の大関昇進の裏に九重親方の八百長工作があった」と報じられ[22]、「引退のかかった若乃花琴錦が800万円で持ち掛けたが断られた」と報じられた[23]
1988年3月場所-11月場所:千代の富士貢の53連勝による八百長疑惑
板井圭介と師匠である当時の大鳴戸親方がそのうち約6割を八百長であると告発。「実力があってガチンコで戦っても勝ち目が無いと相手に思わせられたからこそ、相手の力士も礼金が貰える八百長に応じたということ」「ガチンコで唯一かなわないと思ったのは大将(千代の富士)だけ」であるとした(詳細は千代の富士貢参照)。
1988年文藝春秋による八百長報道
相撲ライターの三宅充が『文藝春秋』1988年10月号で「数字が暴く大相撲千秋楽」と題して、力士A[24]が「ここ2年のうち、6回、7勝7敗で千秋楽を迎えているが、6回ともすべて勝ち、勝ち越しを決めた。勝った取組は全部が全部ではないにしても、八百長ではないか」という趣旨の記事を書いた。三宅によれば「勝つ確率を五割(2分の1)として、6回すべて勝つ確率は、2分の1の6乗で、64分の1、率にして1.56%、64分の63、98.44%起こり得ない”奇跡”を力士Aは起こした」ということになる。
1995年11月場所千秋楽の八百長疑惑
11月場所は実の兄弟である横綱・貴乃花と大関・若乃花が他の力士に星2つの差をつけ千秋楽へ突入。優勝決定戦で若貴対決が観られるのではないかと思われた[25][26]。本割において両者ともに敗れたため史上初の兄弟力士での優勝決定戦になった。前場所まで4連覇中だった横綱・貴乃花が四つに組んだ後これといった攻めもなく下手ひねりに敗れる。この取り組みは社会的な注目を集めたが、弟である貴乃花に対しては、八百長とはいわないまでもやはり勝負に徹しきれない心理もあったのではないかという見方は当時から強かったため問題視されることはなかった。しかし、貴乃花が引退後にこれをふりかえって「やりにくかった」と発言、八百長を認めたとの誤解を招いて問題化した。この後、一部報道では決定戦の前夜、両者の師匠であり実父である二子山親方が宿舎の貴乃花の自室を訪ね、「光司、明日は分かっているだろうな」と、暗に優勝を譲ることを求めたとされた。また本割で若乃花が敗れたため、貴乃花-武蔵丸戦を前に二子山親方が再度「分かっているだろうな」と念を入れ、兄弟対決をアシストさせたとも報じた[27]。横綱に昇進し、順調に優勝を重ねる貴乃花に対し、初優勝から2年半以上遠ざかっていた兄である若乃花に実父である二子山が特別な感情を持っていたであろうということは、多くの関係者が証言している。これが兄弟不仲の始まりとなった説も存在する[28]
2000年1月21日、日本外国特派員協会での講演:板井圭介
小結・板井圭介が現役時代の八百長を認め、八百長にかかわった横綱・曙太郎以下20名の力士の実名を公表した。協会は板井に謝罪を求める書面を送付したが、最終的に「板井発言に信憑性はなく、八百長は存在しない。しかし板井氏を告訴もしない」という形でこの問題を決着させた。
2005年-2007年朝青龍明徳の連続優勝に関して
2007年1月発売の『週刊現代』「横綱・朝青龍の八百長を告発する」という記事において、朝青龍が白星を80万円で買っていたのではないかという疑惑が浮上。15回の優勝のうち、実に11回分の優勝は朝青龍が金で買ったものだとした。この報道に対し朝青龍は疑惑を完全否定。日本相撲協会は、八百長にかかわったとされる力士全員に事情聴取をしたが、全員が否定した。2007年2月8日に相撲協会は、週刊現代発行元の講談社と記事のライターである武田頼政に対して民事訴訟を起こした。ただし、旭天鵬勝の付き人旭天山武が東西の支度部屋を行き来し談笑するなど、周囲から公正性を疑われるような行為が協会にあったこともまた事実である。同年5月に『週刊現代』は、2006年名古屋場所の千秋楽で、綱取りのかかった大関白鵬翔の師匠(当時)である宮城野が、朝青龍から300万円で星を買ったという旨の証拠音声を入手したと報道、同誌のウェブサイトでその音声の前半部を公開している。これに対し、宮城野は事実無根と否定した。日本相撲協会は、7月9日、『週刊現代』の発行元である講談社や武田らを刑事告訴したと発表[29]
2011年2月、大相撲八百長問題
2010年に発生した大相撲野球賭博問題における捜査で、警視庁は力士の携帯電話の電子メールを調べていたが、10数人の力士が八百長をうかがわせるメールのやり取りをしていたことが判明。警視庁が文部科学省に説明したところでは、取組の結果はメールのやり取り通りになったとされている。2日に会見が開かれ、力士などの関係者を対象に調査すると発表、過去の疑惑については全面否定している[30]
2017年11月-12月、日馬富士貴ノ岩に対する暴行障害事件の背景を巡るモンゴル人力士同士の馴れ合い問題
2017年10月25日に発生した貴ノ岩貴乃花部屋力士)に対する横綱日馬富士の暴行障害事件を巡って、その背景に横綱白鵬をはじめとするモンゴル人力士の一部による八百長疑惑や、この疑義に関連する形で白鵬と貴乃花親方との確執が週刊新潮などで話題となった。元相撲協会外部委員で漫画家のやくみつるは、この事件を巡る背景の問題に関連して八百長が疑われる勝負に触れつつ、千秋楽の取組で日馬富士と白鵬のどちらかが負ければ稀勢の里との優勝決定戦になるという局面では、優勝争いをしている側が勝ち、決定戦を回避するという傾向が見られたことに言及し、「それが“あうんの呼吸”によるものか、そうでないかは分からないが、白鵬と日馬富士の間でそうした『収斂』がなされることはいくらでもあったのではないか」と推察している[31]
諸事情

2017年現在でいう意味での、「個人による八百長疑惑」が取りざたされるようになったきっかけは大鵬と柏戸の一戦の疑惑が取りざたされたころからである。[32]

シカゴ大学の経済学者スティーヴン・レヴィットは、著書『ヤバい経済学』で、大相撲の過去の取組結果を元に調査を行った結果を次のように報告している[33]。レヴィットが、1989年1月から2000年1月までの、本場所の上位力士281人による32,000番の取組から、千秋楽の時点で7勝7敗の力士と8勝6敗の力士の過去の対戦成績を抽出したところ、7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は48.7%であったが、これが千秋楽の対戦になると79.6%に上昇していた。

さらに、その両者が次の場所で勝ち越しに関係がない対戦をした場合、前回7勝7敗の力士の勝率は40%に下がり、その次の試合では勝率約50%と、平均値に戻った。また、日本のマスコミが八百長疑惑について報じた直後の千秋楽では、7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は50%前後に戻るという結果を得た。

こうした結果を元に、レヴィットは「勝ち越しが掛かっている場合に星のやり取りが行われ、次の場所で借りを返している」「八百長疑惑が報じられた直後は、力士たちは八百長を控えている」と述べ、「八百長がないとはとてもいえない」と結論している[34]

2011年の大相撲八百長問題では、疑惑が浮上した力士は主に十両力士だった。


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