前述のように『松山騒動八百八狸物語』にはいくつかのバリエーションがあり、城を守る立場のはずの隠神刑部がお家騒動に助力していた理由、隠神刑部が稲生武太夫に倒された経緯にも、以下のように諸説がある。
謀反側の若侍・後藤小源太正信が謀反の邪魔になる隠神刑部を討ちに行った末、「今後の小源太の危機に隠神刑部が手を貸せば、小源太は隠神刑部を害さない」という不可侵条約を結んだため、謀反側が活動し始めた頃には隠神刑部は条約のために仕方なく怪異を起こしていた[7]。武太夫が城下に現れた際、隠神刑部が武太夫の持つ神杖を恐れ、彼を敵に回さないように先手を打って化かしにかかったが、狸に化かされたことを知った武太夫が立腹し、謀反側を敵に回した[7][8]。
隠神刑部は伝統を疎んじる当時の城主を快く思わず、小源太と親しくなって同盟を結び、城主を潰すべく活躍した[6]。謀反側打倒を依頼された武太夫が松山へ乗り込み、隠神刑部のもとへ談判に向かったところ、隠神刑部が謀反側についていると知って、彼らを倒した[6]。
謀反側は隠神刑部を騙して味方につけたが、実は最初から罠にはめるつもりであり、隠神刑部が暗躍を始めると、城内の悪事はすべて隠神刑部の仕業と城主に告げたため、隠神刑部は悪者に仕立て上げられ、助っ人として呼ばれた武太夫に倒された[2]。
武太夫は神杖ではなく、妖怪のは頭領・山本五郎左衛門から授かった木槌で隠神刑部を倒した[9]。
また隠神刑部が稲生武太夫に倒されたという話とは正反対で、隠神刑部はもともと正義側に立っていたが、謀反側に歯が立たなかったために武太夫に助力を乞うたという話もある[6]。このほかにもいくつかのバリエーションがあり、武太夫が登場しない話もある[10]。
脚注[脚注の使い方]^ “狸伝説残る松山でユーモラスな狸の像を見?つけた!