八代将軍吉宗
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江守徹演じる近松門左衛門が、ナレーションおよび、更にはパネルや表を用いて、現代語を交え歴史背景を解説するといったユニークな演出方法を導入していた。後半になるにつれ視聴者からのお便りコーナーや番組のミスや製作風景の紹介といった回も増えた。決めゼリフは「さればでござる」。尚、同様の手法は2000年の『葵 徳川三代』、2021年の『青天を衝け』でも用いられている。劇中では吉宗在世中の享保9年(1724年)に死去。以降は「幽霊」として登場する。最終回では、天国で吉宗とその父・徳川光貞に、1995年当時までの日本の世相をレクチャーした。

最終回から一週間後の12月17日には「さればでござる・全て見せます大河ドラマ」という特別番組が放送され、これまでの大河ドラマの歴史を振り返り、さらに翌年の大河ドラマ『秀吉』の主演・竹中直人によるミニコントも放送された。番組のナビゲーターは、近松役の江守徹と、近松家の少女(お梶)役・遠野凪子が務めた。

同年の『第46回NHK紅白歌合戦』の開幕も、近松のナレーションで飾っている。

ドラマ終了後の1997年6月18日に上演されたシャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団定期演奏会(メンデルスゾーン没後150年記念)において、武満徹の『系図』およびメンデルスゾーンの『夏の夜の夢』が演奏され、それぞれのナレーターを両者が務めた[3]。後に「N響アワー」で放送された際、司会の池辺晋一郎(吉宗の音楽担当)がこのことに触れていた。
あらすじ

紀州藩主・徳川光貞の四男・源六(後の吉宗)はいたずら好きのわんぱくっ子として育ちながらも、その頑強さから父の期待を一心に集める。しかし母・お紋の出自は卑しく、長幼の序の慣例から将来は部屋住みの身分として一生を終えるものと決め込んでいた。

ところが長兄・綱教が早々と死去し、後を追うように父・光貞、次兄・頼職も死去。綱教にも頼職にも男子がなく、遂に吉宗は五代紀州藩主になるべくして収まるが、江戸では五代将軍・綱吉、六代将軍・家宣、そして幼い七代将軍・家継までもが次々と死去。

時代は吉宗を八代将軍に推し上げようとしていた。
登場人物
主人公
徳川吉宗(とくがわ よしむね)
(源六→新之助→松平頼方→徳川吉宗)演:西田敏行(幼少?少年期:青柳翔→二代目尾上松也阪本浩之)江戸幕府八代将軍。鷹狩り等の武芸を好むが学問和歌は苦手、声も体も大きい無骨な大丈夫。君主としての明確なビジョンを持ち、幕政改革に挑む。本作では、個性が全く異なる三兄弟の悩める父親としての姿も描かれる。青年期を演ずる西田敏行の登板が第9話と他の大河ドラマに比べて遅く、少年期の吉宗の描写に時間が割かれた。また、第9話で吉宗が疱瘡にかかり、阪本が演ずる少年期の吉宗の顔面を包帯で覆い、疱瘡から快癒し包帯を解くと西田が演ずる青年期の吉宗になるというユニークな演出がなされた。紀州藩主時代は藩政において大きな成果を上げた際に家臣たちが吉宗の功績と崇め奉ろうとするのに対して「そうではない、紀州藩は良い家臣を持った」と家臣の努力と苦心を称えることを怠らず、のちに将軍になってから後継藩主となった宗直が幕府の補助で藩の財政を立て直した礼に江戸へ登城した折にはその失政のために多くの庶民を犠牲にしたことに対して厳しく叱責するなど、上に立つ者として他人を思いやる気持ちの強い人物として描かれた。
紀州徳川家の一族と吉宗の家族
徳川光貞(とくがわ みつさだ)
演:大滝秀治第二代紀州藩主。徳川家康の孫。吉宗の父。文武両道に秀で精力的に藩の治世を行う。吉宗に武士としての誇りを徹底的に叩き込んで、元気で活発な吉宗に大いに期待をかけた。他方老齢にもかかわらず、すぐ女性に手を出してしまう。吉宗の死後、天国で再会した際には己の治世を悔いる吉宗を、「卑怯な振る舞いがなかったならばそれでよい」と励ました。後継者が若い時点で次々と他界する際には「ワシより先に死ぬな!これ以上ワシを悲しませるな!」と嘆いていた。
お紋(おもん)
(お紋→淨圓院)演:山田邦子光貞の側室で吉宗の母。極めて慎み深い、無欲な女性。元は和歌山城の湯殿番。生家が豪農であるため百姓の心を常に吉宗に説く。吉宗が米将軍と呼ばれるまでに農政に執着したきっかけを与えた。
安宮照子(やすのみや てるこ)
(安宮照子→天真院)演:藤村志保伏見宮家出身の光貞の正室宇喜多秀家の孫、前田利家の曾孫。また、四代将軍・徳川家綱御台所である浅宮顕子の姉。吉宗たち兄弟の嫡母としてわんぱくな吉宗を温かく見守る。
志保(しほ)
(志保→真如院)演:三林京子光貞の側室で頼職の生母。大柄で勝気な女性。お紋や千草同様、元は侍女。お紋・吉宗母子と折り合いが悪く、光貞に何かと讒言しては彼によく怒られる。吉宗が藩主になってからも難題を言って吉宗を困らせるが、それは息子を亡くして寂しかったからだった。
千草(ちぐさ)
(千草→聞是院)演:かとうれいこ光貞の側室で綱姫の生母。志保によれば「中条平助の娘」。元は侍女。若い美女で光貞に贔屓される。志保とは犬猿の仲。
徳川綱教(とくがわ つなのり)
演:辰巳琢郎光貞の長男、吉宗の長兄で第三代紀州藩主。聡明で武芸にも秀で、将軍・綱吉の一人娘鶴姫を正室に迎えており綱吉からも一目置かれた人物。そのため綱吉の次の将軍の座を大いに期待されるも、志半ばでこの世を去る。他の女には目もくれず、妻の鶴姫を生涯愛し続けた。
鶴姫(つるひめ)
演:斉藤由貴綱吉の息女で綱教の正室。義弟の吉宗を可愛がり、吉宗と綱吉を引き合わせるきっかけを作った。存命する綱吉の唯一の子であるため、綱吉に溺愛されている。夫婦仲が良く、綱教の将軍就任を後押ししたが、流産の後、若くして死去。
徳川頼職(とくがわ よりもと)
(松平頼職→徳川頼職)演:野口五郎(幼少?少年期:荒木計志郎→木村直雄樹)光貞の三男で第四代紀州藩主。父を非常に慕う孝行息子でありながら、家臣や女中を足蹴にする暗愚で偏屈な行動もみせる極端な性格の男。自分を立てようとしない吉宗を大いに嫌ったが、兄らしく振舞う一面もある。自分の侍女になるはずだった須磨を吉宗に奪われた際は、吉宗と大喧嘩を繰り広げる。水野重上の諫言も聞かず、危篤の父の看病に帰国する途中で急に容態が悪化、和歌山で変死。
栄姫(さかえひめ)
演:五大路子光貞の長女で米沢藩主・上杉綱憲の正室。吉宗が初めて江戸に行ったときに初対面したかなり歳の離れた姉。赤穂事件の時に夫と共に紀州藩に加勢を要請するが、断られてしまう。
育姫(のりひめ)
演:小田茜光貞の四女。吉宗の姉で幼い吉宗をよく可愛がった。佐竹義苗に嫁ぐがまもなく死去。
松平頼純(まつだいら よりずみ)
演:藤岡琢也伊予西条藩主で光貞の弟。幼い頃より吉宗に目を掛け吉宗も慕う気さくでひょうきんな叔父。だが嫡男・頼雄廃嫡にする厳格な一面も覗かせた。吉宗の紀州藩主就任の際にはご意見番として藩内をまとめ上げ幕府に対峙するなど、気骨のある人物。
徳川宗直(とくがわ むねなお)
(松平頼致→徳川宗直)演:柄本明(少年期:戸田都康)頼純の次男。吉宗の従兄弟。頼純の死去により西条藩主となるも、吉宗の将軍就任を機に紀州家を継ぐ。若いころは同じ部屋住み同士の身分という事で親しく、吉宗と放蕩に明け暮れた。紀州藩主となってからも遊び癖は収まらず、御三家当主であるにもかかわらず正室を娶らなかった。当初、吉宗が竹姫の降嫁先として考えたが、天英院・大典侍に年齢の差と遊び癖が問題とされあっさり一蹴される。吉原花魁連中には疎まれていた様子。
松平頼雄(まつだいら よりかつ)
演:寺泉憲頼純の嫡男だが、吉宗を差し置いて紀州藩主の座に就こうと謀ったとの理由で廃嫡。後に「真の廃嫡の理由は隠れキリシタンだったため」とこじ付けられた。その後、吉宗によって匿われ、紀州藩江戸屋敷、和歌山城下、田辺と転々とする。頼純は死の直前に「頼雄を紀州藩主にとの計略は家臣によるもので、頼雄自身は知らず無実だったが、逆上のあまり廃嫡に追いやってしまった」と吉宗に告白した。また隠れキリシタンとなったのも廃嫡後であり、廃嫡の理由とキリシタンは無関係であることも判明した。やがて宗直が放った刺客に殺される。頼雄の非業の最期は、吉宗が家重を後嗣に決定する理由となった。
松平頼渡(まつだいら よりただ)
演:中崎達也頼純の子。頼雄・宗直の弟。万吉(まんきち)。宗直の紀州家相続により西条藩主となる。
真宮理子(さなのみや まさこ)
演:山崎直子安宮照子同様伏見宮家から迎えられた吉宗の正室。


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