全国犯罪被害者の会
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2000年に岡村勲が『文藝春秋』に寄稿した「私は見た『犯罪被害者』の地獄絵」[12]を読んで、感銘を受けた母校の一橋大学出身者らを中心に、「犯罪被害者の会を支援するフォーラム」が結成され支援が始まった[13]。発起人代表は、瀬戸内寂聴(作家)、石原慎太郎東京都知事)、樋口廣太郎アサヒビール名誉会長)、奥田碩経団連会長・如水会理事長)、事務局長・高橋宏首都大学東京理事長、一橋総研理事長、如水会副理事長)、 ⇒山本千里[リンク切れ](如水会理事兼事務局長)らであり、精神的・経済的に「あすの会」を土台から支援していた。「犯罪被害者の会を支援するフォーラム」から精神的、資金的に多大な支援を受けた「あすの会」には、多くの寄付金が寄せられ、会費は無料であった。一方、白井孝一弁護士を代表とする ⇒顧問弁護団[リンク切れ]も結成されて各種の改革法案が練られた。

こうした「あすの会」の活動により、刑事犯罪に長年目をつむっていた国や国民は、再び大きく動き始めた。しかし、日本弁護士連合会(日弁連)は、国民はもちろん法曹三者の間でも実質的な議論が深まっていないことや、「被害者と司法を考える会」の例を挙げ、犯罪被害者側にも反対意見があることなどを指摘した上で、「現時点において直ちに被害者参加制度を導入することは刑事裁判の本質に照らし将来に取り返しのつかない禍根を残す」[14]として、性急な制度導入に反対した[15][16]。日弁連は2017年に至って、人権擁護大会で犯罪被害者への支援充実を決議したが、「あすの会」を支援してきた弁護士からは、被害者支援に反対してきた日弁連のそれまでの活動に対して批判があり、反省する文言を入れた修正案も提起されたが賛成は少数だった [17]と、

「あすの会」は、日本の司法制度改革を目指して2002年と2004年の二回にわたりヨーロッパへ調査団を派遣し[18][19][20][21]、全国大会を開催し合意を図りつつ活動して行った。岡村勲は、 ⇒第13回国際被害者学シンポジウムで特別講演[リンク切れ][22]を持ち、国際理解を得ながら日本全国50か所で街頭署名活動を行い、557,215名の署名を集めて内閣総理大臣に提出した[10][23][24][25]。林良平らは、犯罪被害者の現状を国民に広く知ってもらうために、人形劇『悲しみの果てに?絶望』を全国公演[24][26][27]する一方で、地方自治法99条[リンク切れ]に基づく陳情活動も行い、117都道府県市町議会の賛同を得た[28]。その結果、犯罪被害者やその遺族を支援する以下の法律・制度が整備された。

犯罪被害者等基本法

被害者参加制度

損害賠償命令制度

公訴時効を廃止する法律

犯罪被害者週間の創設

警察庁による公的懸賞金制度の実現

犯罪被害者等給付金支給法の改正

改正少年法

「犯罪被害者等基本法」は2004年、中学校、高校の教科書に掲載され[29]、2010年の創立10周年記念シンポジウムでは、「犯罪被害者の会を支援するフォーラム」発起人代表である石原慎太郎(東京都知事)から、「歴史に刻まれる尊い闘いである」との祝辞があった[30]

「あすの会」の活動は、捜査や裁判のためにや被害を受けた苦しみを、後世の被害者に再び味わわせたくない一心の市民運動であり、設立当事者に恩恵は及ばなくとも、あすの犯罪被害者が落胆しなくて済むようにと願い「あすの会」と命名された。その活動は、写真と共に「あすに生きる」[9]と題する記録本にし、2018年6月3日、当時の法務大臣上川陽子、元法務大臣の保岡興治杉浦正健および山下貴司法務大臣政務官らも出席して、第16回全国犯罪被害者大会が開催されて解散した[31]
会の成果

全国犯罪被害者の会(通称「あすの会」)の活動により、2004年に犯罪被害者等基本法[32]が成立した[33][34]。この基本法によって「単に恩恵を受ける存在ではない犯罪被害者の権利」が確立し、「犯罪被害者が法廷に立って意見を直接述べる被害者の権利」が初めて認められたのである。次いで2005年に、同法に基づいて犯罪被害者等基本計画[35]が閣議決定され、2006年より犯罪被害の認識を国民にひろめるための犯罪被害者週間[36]も始まった。2007年には、刑事訴訟法や、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が、被害者の権利拡充の観点から大きく改正されて、被害者参加制度と損害賠償命令制度[37]が創設された。これにより、犯罪被害者が検察官の傍で直接、刑事裁判で声をあげることができるようになり、別途に民事訴訟を起こさなくても、刑事の裁判官が速やかに損害賠償を命じることができるようになった[38]。2008年には[犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律]の改正により、国から被害者への経済的な補償(給付金)が拡充され、同年には改正少年法も成立して、家庭裁判所での審判を被害者が直接傍聴することが可能となった。少年法は2014年に再度 ⇒改正され少年への刑期が長くなった。

2010年に「公訴時効」を廃止する法律が成立して即日施行され、重大犯罪者の逃げ得を許さず、被害者の「真実を知る権利」が保障され、国民は逃げまどう犯人から守られるようにもなった[39][40][41]

そして2017年、「犯罪被害者等給付金の施行規則」[42]が改正されて、親族間の犯罪では原則不支給(国家公安委員会規則)であったものが、原則支給される事となり、8歳未満の遺児がいる場合は、支給額が増額改正され、2018年4月から施行された。裁判所へ行く旅費や日当が支給され、国選被害者参加弁護士も付き、経済補償制度も改正され、犯罪被害者の権利が大幅に改善された。

被害者参加制度・損害賠償命令制度の創設 以前施行後
記録の閲覧・謄写不可裁判前でも可
検察官の説明門前払い有
裁判期日の通知無有
優先傍聴席無有
在廷権無有
被告人質問不可可
情状証人への尋問不可可
求刑意見など不可可
遮蔽処置限定的有
国選被害者参加弁護士無有
旅費・日当無有
損害賠償命令無有

経済的補償制度の拡充 以前施行後
遺族給付金額最高560万円?1600万円最高1200万円?3000万円
重傷病給付金最大1年分の治療費最大3年分の治療費
休業補償無有
障害給付金最高1450?1850万円最高2200?4000万円
親族間の犯罪無満額支給
仮払い無有
国外犯罪の補償無一部有

時効の廃止 以前施行後
殺人等の重大犯罪15年?25年の時効完全廃止・その他の犯罪も時効期間の延長

少年審判傍聴等の創設 以前施行後
記録の閲覧・謄写不可可
審判の傍聴不可可
裁判所による説明無有

新全国犯罪被害者の会(新あすの会)

2022年に発足し、代表幹事に就任した岡村勲は被害者の生活苦が改善されていないため再結成を決めたと述べた[2]


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