アメリカ合衆国議会では法案に対してほとんど党議拘束がかけられていないため、議案ごとに個々の与野党議員が是々非々で交差投票(クロスボーティング)を行う。委員長選出などの議事運営上での選任投票など党派色の強い案件を除き、党議拘束は緩く法案ごとに同調する議員をまとめている[10]。これは大統領を頂点とする行政府に権力を付与するために議会において党議拘束が求められる必要がないということが大きい。
政党規律が弱く利益団体(圧力団体)が個々の議員の表決に影響力を行使しやすい政治構造ということもありロビー活動が特に活発となっているが[11]、利益集団の数が著しく増加するとともに利益集団政治が政党の衰退の一因となっているという指摘もある[12]。政党のリーダーとたとえば地元選挙区の意見や利害が衝突した場合には、議員は政党の拘束よりも地元の利害に基づいて判断し、議会での投票行動をおこなう[13]。下院を通過する法案の数が提出法案全体の1割程度と極めて低いが[14]、所属政党の決定とは関係なく議員は個人で法案提出が可能であるために法案提出が個々の議員の政治的意見の主張や選挙区や利害団体へのアピールのために行われている背景があるとの指摘がある[15]。
脚注
注釈
出典
^ a b 久保文明 編, アメリカの政治, p. 79
^ 久保文明 編, アメリカの政治, p. 160
^ 堀本武功 編, 現代アメリカ入門, p. 63
^ ⇒民主・前原氏「一任取り付け」宣言 党内手続き打ち切り 朝日新聞2012年6月19日
^ ⇒首相、造反阻止に「最後まで責任果たす」 衆院特別委 朝日新聞2012年6月25日
^ 「政策決定プロセスの再検討」五十嵐敬喜(日本公共政策学界年報1998) ⇒[1]P.13(PDF-P.13)
^ 「参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要」参議院憲法調査会(H17.4)[2]