児童文学
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こうした物語で得てして最初に起こるのは大人の影響の除去であり、主人公は自分自身で物事に対処せざるを得なくなる。有名な例としては『白雪姫』『ヘンゼルとグレーテル』『バンビ』『世にも不幸なできごと』などがある。しかしながらこうした要素は物語に必要なものと考えられている。結局のところ、ほとんどの場合で物語の本質は人物たちが「大人になってゆく」ことなのである。
子どもによって選ばれる本ハックルベリー・フィン

児童文学の最も広い定義は、子どもたちが実際に選んで読む本というものである。子どもたちは、たとえば漫画のような、伝統的な意味では文学とは全く考えようとしない人達もいる本も選んで読む。また子どもたちは古典文学や、現代作家による世に認められた偉大な作品も読むことがあるし、重層的な語りを持つ複雑な物語も楽しむ。小説家オースン・スコット・カードの意見によれば、「子どもたちはしばしば真に偉大な世界の文学の守り手となると考えることができる。子どもたちは物語を愛す一方で文体の流行や文学的な仕掛けには無関心であり、的確に真実と力の方へと引き寄せられるのであるから。」[4]子ども時代に『不思議の国のアリス』を楽しんだ人が、大人となって再読した時に、子どもの時には気付かなかったその暗いテーマに気付くといったこともあるであろう。

加えて、当初は大人に向けて書かれた古典的な作品が今日では子ども向けと考えられるようになっている例も多い。マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』も本来は大人向けに書かれたものであったが[5]、今日ではアメリカ合衆国の小学校のカリキュラムの一環として広く読まれている。
児童文学の種類

児童文学はさまざまな観点から分類されうる。
ジャンルによる分類

文学ジャンルとは、文芸作品のカテゴリである。ジャンルは技法、口調、内容、長さなどによって決定される。ナンシー・アンダーソンは児童文学を6つの大きなカテゴリと、いくつかの重要なサブジャンルに分類している[6]――
絵本アルファベット文字数字を教える教本、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}パターンブック[訳語疑問点]、文字のない本などを含む。

伝承文学。これには10の特徴がある[7]――(1) 作者不明、(2) 紋切り型の出だしと終わり(「むかしむかしあるところに……」)、(3) 漠然とした設定、(4) ステレオタイプの人物、(5) 擬人観、(6) 原因と結果、(7) 主人公のハッピーエンド、(8) 魔法が普通に受け入れられている、(9) 単純で直接的なプロットを持つ簡潔な話、(10) 行動と言葉のパターンの反復。伝承文学の大部分は民話からなっており、昔の人々の伝説、習慣、迷信、信仰などを伝えている。この大ジャンルはさらにサブジャンルに分けることができる――神話寓話バラッドフォークミュージック伝説童話[8]

フィクションファンタジーと現実的なフィクション(現代的・歴史的の双方を含む)からなる。

ノンフィクション

伝記自伝を含む。

韻文

これらは最も広い意味での「児童文学」もしくは「児童書」であり、児童文学という分野を限定的に考える場合には、実用的な教本や文章によらない絵本、さらには固有の創作者を持たない昔話や神話、娯楽を主体としたフィクションなどは除外されることもある。
年齢層と発達段階

児童文学そのものも大人の文学と対になる年齢によるカテゴリであるが、0歳から18歳まででは子どもの理解力や興味もさまざまであるため発達段階に応じて形態や内容も違ってくる。

絵本は0-5歳程度の、まだ文字を(充分には)読めない「読者以前」の子どもたちにも向いている。

5-7歳頃の、読み書きを覚えたばかりの子どもに向けた本は、簡単な童話昔話などを主題とし、子どもに読書力をつけるよう工夫されていることが多い。

7-12歳頃の子どもは発達に応じて、もう少し長い、章立てのある本(チャプターブック)も読めるようになり、児童文学の中核となっている。

ヤングアダルト小説(ジュブナイル)は概ね13歳以降のティーンエイジャー(ヤングアダルト)を読者に想定している。

こうした分類の基準は、児童文学そのものを定義する基準と同様に、曖昧で問題を含むものである。明確な違いの1つに幼い子ども向けの本はイラストレーションが添えられることが多いということが挙げられるが、絵を作品の不可分な一部として持つ絵本であってもこうしたジャンルや年齢層に収まらないものがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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