光磁気ディスク
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カートリッジに収められていることで、傷や埃によるダメージが少ない

ディスクの両面を覆う分厚いポリカーボネート製の保護層により傷へのさらなる耐久性が高まる

記録時のレーザーの出力がCDやDVDと比較するとはるかに弱いため、ディスクへのダメージが少ない

加熱しないと磁気の影響を受けないため、磁石を近づけただけではダメージを受けることはない

CD-RDVD-Rとは違い、紫外線でほとんど劣化しない

フロッピーとは違ってヘッドが接触することがないため、ディスクやヘッドが摩耗することはない
その他のメディアが抱える弱点に悩まされることが少ない点が、MOに対する根強い支持に繋がっている。ただしドライブの構造上、レーザー岐路にプリズムを使っているため、喫煙場所やほこりの多い室内で使うと書き込み読み取りエラーが出て、耐久時間内にもかかわらず故障となることが多い。分解して清掃すると回復するが、かなりの熟練を要する。また高温下で使うとディスクの冷却が遅くなるため、書き込み速度の低下が起こる[注釈 3]。ドライブ自体は10万時間の耐久性がある。各メディア製造メーカーの加速劣化試験によるとデータ保持寿命は推定50年から100年とされ、現在もMOの耐久性に匹敵するメディアは存在しない事からプロユースを中心とした需要は根強い(使用環境にもよるが、メディアよりもドライブの寿命の方が早いことすらある)。なお、MOの書き換え回数はハードディスクドライブをも上回る1000万回とされる(GIGAMOは100万回以上)。対するハードディスクドライブは100万回以上とされる。
MD詳細は「ミニディスク」を参照

音声録音用とデータ記録用の光磁気ディスクがある。

Hi-MDはMDの上位互換のメディアで、MDと同じサイズで1 GBの容量を実現している。磁壁移動検出方式 (DWDD: Domain Wall Displacement Detection) を採用している。
その他
放送業務用

ISO規格のMOやMDと並び、実用化・普及した数少ない規格のひとつである。

30 cm両面アナログ記録媒体(
1992年):NTSCまたはPALアナログ映像信号を記録

20 cm片面デジタル記録媒体(1989年):1.8 GB/96 Mbps。D2互換のNTSCコンポジット映像信号を記録

30 cm両面デジタル記録媒体(1995年):23 GB/96 Mbps。同上

HS

HS (Hyper Storage)は、1995年ソニーが開発した光磁気ディスクである。3.5インチフロッピーディスクとほぼ同じサイズのカートリッジに納められており、容量は約650 MB。

HSの開発にあたっては日立製作所3Mが協力している[8]

将来的には2002年頃までに約2.5 GBに容量を段階的に拡大する予定だった。しかし、当時普及していたMOとの互換性がない上にMOと比べてドライブやメディアが高額だったため普及しなかった。ドライブ、メディアとも製造・販売は終了しており、開発も停止されたままである。
AS-MO

AS-MOはAdvanced Storage Magneto Opticalの略で5インチの光磁気ディスク。シャープを含む16社で開発され、直径120 mmの片面ディスクで6 GBの大容量記録を実現した[9]。ASTC(advanced storage technical conference)が1998年4月に規格を策定した[10]が、製品化はされなかった[11]
iD PHOTO詳細は「iD PHOTO」を参照

AS-MOの技術を応用し[12]三洋電機オリンパス光学工業日立マクセルの3社で1999年に開発された。記録方式にMFM方式、再生技術にMSR技術を採用し2インチ (5 cm) 径で730 MBの容量を持つ。
2インチMO

シャープとソニーによって2000年3月に発表された[13][14]
次世代光磁気記録

1990年代後半から将来迎えるであろうハードディスクの記録密度の限界が問題視され、各メーカーでは高速リードライト、高記録密度の光磁気ディスクを研究している。

磁区拡大再生技術 (MAMMOS: Magnetic AMplifying Magneto-Optical System) といった記録再生技術や、青紫色レーザを利用することで5.25インチサイズで最大200 GBの容量が見込まれている。このうちMAMMOSは従来のレーザ波長で20 GB/12 cm、現時点でのDWDDは従来のレーザー波長で3 GB/5 cmの容量とされる。なおDWDDの技術目標は100 GB/12 cm、青紫色レーザで200 GB/12 cmを見込んでいる。

2013年11月25日に発表されたこれまでとは全く違った技術である光スイッチング磁石を用いた記録方式もある。ディスクとしての媒体で供給できるのかまだ不透明であるが、平方インチあたり30 GB記録可能でありブルーレイディスクを大きく超える容量になる。
普及と衰退

MOの普及率は世界的に見た場合には決して高いものではなく、むしろ日本での普及の高さはかなり珍しい部類に入る。
海外

1990年代にはドライブ単価の安いZipドライブが世界中で普及を見せ、MOは他のリムーバブルメディア共々その余波をまともに浴び普及は微々たるものだった。MOドライブはいわば磁気ディスクと光ディスク両方の機構を内蔵しているため高コストにつく。しかも主流であった3.5インチは、2000年代以前の技術ではフロッピードライブベイのサイズにまとめるため構造上の無理があり、ドライブの信頼性がディスクのそれに見合っていなかった。5.25インチメディアは堅牢性優先でリムーバブルメディアとしてはあまりに重厚大型にすぎ業務用以外には普及しなかった。1990年代後半からはCD-Rが安価に出回るようになり、さらにはフラッシュメモリの大容量・低価格化による普及も進んでいるためMOは地味な(あるいはそれ以下の)存在のままである。
日本

一方、日本国内では当初から企業や官公庁を中心に登場時からデータの保存・運搬用として広く普及しており、デスクトップパブリッシングやデザイン・印刷・出版の分野では、そのメディア信頼性の高さと容量に対するコストパフォーマンスの良さから広く使われている。特にPC-9800シリーズではデバイスドライバを必要とせずSCSI接続のMOからのブートも可能だったため、Windowsの普及初期に広く出回った(PC/AT互換機ではデバイスドライバが必要)。Windows 95まではHDDレスのシステムも構築可能だった。1990年代にはZipドライブの普及に押され気味だった時期もあったが、Zipドライブが衰退し始めてからは一時期勢いを取り戻したこともあった。


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