光ディスク
[Wikipedia|▼Menu]
光ディスクの原理をそのままにさらに記録密度を高めるにはそれより短い波長光、すなわち紫外線を使うことになるが、現在の光ディスクの材質に使用しているポリカーボネートなどでは紫外線を吸収し表面劣化を引き起こすため扱えない。記録面の多層化によりある程度の大容量化は実現でき、ブルーレイディスクでは最大で1枚200GB?400GB程度まで引き上げることができるが、2019年現在、一般に入手できるのは片面4層の128GBまでである。こうしたことから、大規模なサーバや汎用機用バックアップ装置では最大で数TBの容量を持つ磁気テープLTOなど)を置き換えるには至っていない。

光ディスクは書き込みが容易ではない。書き込みあるいは書き換え可能な光ディスクであっても一部の規格を除いてフロッピーディスクハードディスクMOUSBメモリなどと同様の扱いでは書き込むことはできず消去もできない。パソコンでCD-RやCD-RWなどのブランクメディアに情報を書き込むためには書き込みに対応した光学ドライブのほか、ライティングソフトウェアが別途必要になる。一度だけ記録可能なメディア(CD-RやDVD-Rなど)を使用した場合は書き込んだ内容を消去することはできず、書き換えを視野に入れる場合はCD-RWなどの書き換え可能なメディアを使用する必要がある。書換え可能なメディアを用意しかつパケットライト方式で記録することによってハードディスクなどと同様の扱いができるようになるが多くのデメリット(パケットライト#デメリット)があり、パソコンの補助記憶装置ビデオレコーダーでは磁気ディスクであるハードディスクが主に用いられている。

光ディスクを含むディスク型記録媒体は機械的にディスクを回転させるので読み込みにおいて信頼性が低く時間がかかる。また光ディスクの主要な規格(12cmまたは8cmのディスク、あるいはMD)は機器小型化の足枷になる。消費電力を抑え、衝撃に強く小型化が要求されるポータブル音楽プレーヤーデジタルカメラ携帯ゲーム機等には内蔵型あるいはカード型のフラッシュメモリの方が相性がよく、こうした分野の一部(ポータブル音楽プレイヤーなど)では光ディスクからフラッシュメモリに主役が交代している。

構造

光ディスクには、保護層・記録層・反射層などそれぞれ役割の異なる複数のがある。半導体レーザーの光をディスクに照射すると、レーザー光は保護層を貫通し、記録・反射層に到達する。記録層には、ピットと呼ばれる微細な構造(例えば、微細なくぼみ)が形成されており、記録・反射層において反射する光は、ピットの影響を受けて変化する。光ディスクドライブのピックアップには、反射光を計測するための光センサーが備え付けられており、反射光の強度によって、情報(「0」または「1」)を読み取る仕組みである。

光ディスクには、生産工場であらかじめ情報が書き込まれているもの(いわゆるプレス版、市販の音楽CDDVD-VideoBD-Videoなど)と、ユーザーが任意に情報を記録できるもの(記録型メディア)の大きく分けて2種類が存在する。また、プレス版ディスクと記録型ディスクでは記録層(情報を記録する面)に用いられる材質および記録方式に違いがある。(詳しくは#記録の可否による分類を参照)材料として保護層や基盤にポリカーボネートポリメタクリル酸メチルエポキシ樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリ乳酸などが、反射層にはアルミニウムなどが主に用いられている。

レーザーの流れ(CD・DVD一体型機)
これは簡易的な図であり、実際はさらに多くの装置が介在する。

光ディスクの表面を原子間力顕微鏡によって観測した画像。均等に並んだ溝にそって、不規則な凹凸が形成されているのが確認できる。

寿命

光ディスクの寿命は製造時の品質にも左右されるが適切な取り扱いおよび保存行為をしていれば最長で100年、多少雑に取り扱っても劣化を進める要素(直射日光紫外線)、高い温度、強い湿気など)に積極的に晒さなければ10?30年は保存しておくことが可能とされている。ただし、規格や製造された時代によりディスクの素材が異なる場合があるので一概には言えない(寿命は使用する素材にも左右されるからである)。CD-Rなどの有機色素を利用した記録用メディアはその有機色素が紫外線の影響を受けやすいので、保存方法にもよるが前述の寿命より若干縮む傾向にある。

使用する素材を見直すことで、寿命を飛躍的に高めることができる。基板をガラス製にしたガラスCDや、記録・反射層に使用されている金属箔にを使ったゴールドディスクなどがその代表例である。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:62 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef