先天性免疫不全
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細菌への著しい易感染性を示し[2]免疫グロブリン製剤(血液製剤)の定期的な投与を必要とする。男性に多い[3]

IgGサブクラス欠損症IgGはIgG1からIgG4までの4つのサブクラスからなるが、そのうち一部のサブクラスが欠損するもの。重症度は様々だが、IgG2欠損症ではインフルエンザ菌肺炎球菌に対して易感染性を示すため、中耳炎や肺炎の反復、細菌性髄膜炎の罹患などを呈する。

明確に定義された免疫不全症

ディジョージ症候群胸腺低形成による細胞性免疫能の低下であり、真菌、ウイルスなどの反復性感染をおこす。一部は22番染色体長腕の部分欠損によって発症し、副甲状腺欠損によるテタニー、心血管系や食道の奇形、顔貌の異常や口唇あるいは口蓋裂などを合併することがある(22q11.2欠失症候群)。22q11.2欠失症候群に伴うものは、常染色体優性遺伝する。

毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia teleangiectasia)ATM遺伝子異常に起因する細胞性免疫能の低下とIgA低値が特徴で3歳ごろから中耳炎、副鼻腔炎、肺炎の反復をおこす。小脳失調、毛細血管の拡張もおこる。

ウイスコット・アルドリッチ症候群 (Wiskott?Aldrich syndrome)WASP遺伝子異常に起因する特異抗原に対するT細胞の反応性低下とIgM低値が特徴であり、新生児期から出現する出血傾向、乳児期から顕著になるアトピー性皮膚炎による慢性湿疹と易感染性、悪性腫瘍の合併がある。細菌感染のみならずウイルス感染も重症化する。遺伝形式は、伴性劣性遺伝。

補体不全症

補体C1q欠損症、補体C1r/C1s欠損症、選択的補体C1s欠損症、補体C2欠損症、補体C3欠損症、補体C4欠損症いずれも非常に稀な疾患である。繰り返す細菌感染症と、免疫複合体病(
全身性エリテマトーデス(SLE)に類似しており、SLE-like syndromeと呼ばれる)を特徴とする。選択的補体C1r欠損症は症例が報告されていない。

補体C5-C9欠損症いずれも稀な疾患である。ナイセリア属細菌(髄膜炎菌淋菌など)に対する易感染性(感染しやすい)、重篤化(感染したときの症状が重い)を示す。C1-C4欠損症よりは軽症である。

食細胞機能不全症

慢性肉芽腫症 (Chronic granulomatous disease:CGD)好中球の貪食能は正常であるが、活性酸素産生能が低いため、貪食した細菌を殺菌することができない。細菌のうち、カタラーゼ産生能を持つ細菌に対して易感染性を示す。特に肛門周囲膿瘍や化膿性リンパ節炎をおこす。治療はST合剤およびイトラコナゾールの予防内服やインターフェロン-γの投与などを行うが、根治療法としては造血幹細胞移植が必要である。また、CGDの原因・発症機序としていくつかの遺伝子異常が知られているが、その中には遺伝子治療が試みられているものもある。遺伝形式は遺伝子異常の種類によって様々である。

チェディアック・ヒガシ症候群CHS遺伝子異常による好中球の粘着能、遊走能、殺菌能の障害である。細菌感染の反復、眼、皮膚の部分的白子症、赤い虹彩が特徴である。

コストマン症候群 (Kostmann syndrome, Severe congenital neutropenia:SCN)CGDとは異なり、好中球が完全に欠損する疾患。

先天性または遺伝性疾患に伴う免疫不全症など

高IgE症候群など

脚注^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、397ページ
^ JEFFREY K.ACTOR 著、『免疫学・微生物学』東京化学同人、大沢利昭・今井康之 訳、2010年3月15日 第1版 発行、68ページ図8・5 および 69ページ本文KEY POINTS
^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、397ページ

関連項目

小児科学

免疫

免疫学

炎症

後天性免疫不全症候群

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