元号法
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野党のうち公明党民社党新自由クラブは自民党と同じく賛成の立場をとった[28]
法制化運動「元号法制化実現国民会議」も参照

元号法制化運動を構成した組織は、これに先立つ建国記念日制定運動とほぼ共通している[29]

右翼諸団体は、元号問題を「昭和維新への布石」として重視した[30]生長の家政治連合神道政治連盟佛所護念会、軍恩連、日本遺族会が1977年(昭和52年)11月に「元号法制化推進連絡会議」を結成し、法制化を強力に支持した[20]生長の家政治連合は地方議会で「元号法制化要求決議」を実行する運動を組織した[20]。1974年設立の日本を守る会が設立直後から元号法制化運動に取り組んだ[31]。民間の動きに先立って、自民党が元号についての党内小委員会を設置していた[31]

1977年(昭和52年)日本青年協議会(日青協)が元号法制化運動を本格化し、「地方から中央へ」を合言葉に地方議会議決運動を展開させた[32]。日青協は1977年8月にキャラバン隊を組織し、日本各地で神社本庁や生長の家の支部など地元の保守系団体と連携し、講演会を開いた[29]。この運動について、日青協の後見役であった村上正邦は後に「何も特別なことではない。左翼から学び、地方決議が目的達成の早道だと徹底したんだ」と述べた[32](村上は生長の家を支持母体とする政治家でもあった[31])。日本会議によれば、1977年(昭和52年)9月に元号法制化を求める地方議会決議運動が始まり、46都道府県、1632市町村で議会決議を達成した[33]。日本会議事務総長の椛島有三は、日青協の機関誌において「元号法制化に踏み切る時、私どもは「解釈改憲路線」の選択をしました。これまで占領憲法解体という、直接的な明文改憲しか考えてこなかった私どもにとっては大変な選択で、改憲運動の後退になるのではないかというジレンマがありました」と述懐した[34]

1978年からは、元号法制化実現国民会議と賛成派国会議員の議員連盟が連動し、慎重な姿勢を続けていた政府に法制化を強く要求しはじめた[35]

1978年5月に右翼活動家学生が歴史学研究会総会に乗り込んで元号法制化反対論者を襲撃する暴力事件を起こした[36]
元号法政府原案

1977年(昭和52年)当時、1. 昭和以降も元号を存続させるか否か 2. 内閣告示か法制化か の2つの論点があり[27]、政府は当初「告示による」との基本方針を固めていたが[37]、翌1978年(昭和53年)11月17日法制化を閣議決定、総理府と内閣法制局とで法案を作成後、同年11月24日、政府案が紙面に掲載された[38]

1 皇位の継承があったときには、新たに元号を定め、一世の間、これを改めない。

2 元号は、政令で定める。

付 則

1 この法律は、公布の日から施行する。2 この法律施行の際、既に用いられている「昭和」は、この法律に基づき定められた元号とする。 ? 1978年11月24日 読売新聞 朝刊2面[38]
法案の審議から成立

政府は昭和54(1979)年2月、元号法案を国会に提出し、同年4月に衆議院が、6月に参議院がこれを可決した[39]

参議院での審議過程で、元号法が元号の使用を強制し義務づけることになるのではないかという指摘に対し、三原朝雄総理府総務長官として、行政機関は元号法の下で「統一的事務処理のために、元号の使用について協力を」求めることになる一方、市民が望むときは(西暦との)併用も可能との見解を示した[40][41]
沿革

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出典検索?: "元号法" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2021年10月)


1968年(昭和43年)4月3日 - 衆議院内閣委員会にて、内閣法制局次長吉國一郎が「事実たる慣習として昭和という年号が用いられている」「法律上の制度として現行制度ははっきり規定されておりません」「崩御というような事態が生じますれば、昭和ではなくなる」と答弁[42]

1972年(昭和47年) - 自由民主党内閣部会に元号問題小委員会を設置[27][31]

1976年(昭和51年)11月10日 - 政府主催の「天皇陛下御在位五十年記念式典」開催(日本武道館[27]

1978年(昭和53年)11月24日 - 元号法政府案が示される。

1979年(昭和54年)

2月2日 - 「元号法案」(所管・総理府本府)が閣議決定され、閣法第2号として衆議院に提出(併せて参議院に予備審査のため送付)される。

3月16日 - 衆議院本会議において総理府総務長官三原朝雄が趣旨説明。衆議院内閣委員会(委員長・藏内修治)に付託。

3月20日 - 衆議院内閣委員会において総理府総務長官三原朝雄が趣旨説明。

4月13日 - 衆議院内閣委員会において参考人意見聴取(参考人:國學院大學教授・坂本太郎青山学院大学教授・小林孝輔、駒澤大学教授・林修三慶應義塾大学講師・村上重良筑波大学教授・村松剛)。

4月20日 - 衆議院内閣委員会において原案が起立多数により可決(賛成:自由民主党公明党・国民会議、民社党新自由クラブ / 反対:日本社会党日本共産党・革新共同)。

4月24日 - 衆議院本会議において原案が起立多数により可決。参議院に送付。

4月27日 - 参議院本会議において総理府総務長官三原朝雄が趣旨説明。参議院内閣委員会(委員長・檜垣徳太郎)に付託。

5月8日 - 参議院内閣委員会において総理府総務長官三原朝雄が趣旨説明。

5月25日 - 参議院内閣委員会において参考人意見聴取(参考人:評論家松岡英夫二松学舎大学教授・宇野精一日本キリスト教団行人坂教会牧師・木村知己、全日本労働総同盟政治局長・小川泰、東京大学教授・高柳信一)。

5月26日 - 参議院内閣委員会において参考人意見聴取(参考人:神社本庁講師・小野祖教、名古屋大学教授・長谷川正安、歴史学者・村尾次郎日本労働組合総評議会副議長・丸山康雄、東京新聞論説委員・堀健三)。

5月30日 - 参議院内閣委員会、地方行政委員会、法務委員会、文教委員会連合審査会が開かれる。

6月1日 - 大阪府大阪市において現地聴聞会開催。

6月2日 - 北海道札幌市において現地聴聞会開催。

6月5日 - 参議院内閣委員会において原案が挙手多数により可決(賛成:自由民主党・自由国民会議、公明党、民社党、新自由クラブ / 反対:日本社会党、日本共産党、社会民主連合)。


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