債権
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債権者あるいは債務者は複数である場合もあり、物権における共同所有関係(共有・総有・合有)類似の関係に分析される[7]
共有的帰属・総有的帰属・合有的帰属

共有的帰属共同所有関係における
共有としての形態をとるもので、一個の債権債務に準共有(264条)が成立する場合がこれにあたる。共有の規定について264条は「この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない」と定める。債権についても「所有権以外の財産権」に含まれるから準共有が成立しうる[7]。本来、民法の多数当事者の債権債務はこれに属するが、民法第3編第1章総則第3節の多数当事者の債権債務の規定(427条以下)は264条の「法令に特別の定めがあるとき」にあたるため、427条以下の規定が264条に優先して適用されることになる[7]

総有的帰属共同所有関係における総有としての形態をとるもので、権利能力のない労働組合の財産関係がこれにあたる(最判昭32・11・14民集11巻12号1943頁)

合有的帰属共同所有関係における合有としての形態をとるもので、組合員の組合債権がこれにあたる(最判昭33・7・22民集12巻12号1805頁)

多数当事者の債権債務

既述のように準共有について定める264条本文は「この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する」とし、本来であれば債権も「所有権以外の財産権」として準共有が成立するが、金銭の給付などに共有物分割規定(256条以下)を準用するのは煩雑であることなどから、民法は多数当事者の債権債務関係については民法第3編第1章総則第3節の多数当事者の債権債務の規定(427条以下)を置いている(427条以下の規定は264条但書の「法令に特別の定めがあるとき」にあたり優先的に適用される)[7]

分割債権及び分割債務(427条)多数当事者の債権関係における原則的形態。分割された債権や債務は相互に独立したものと扱われる。

分割債権1つの可分な給付を目的とする債権を複数の債権者が有する場合をいう。例えば、金銭債権が共同相続された場合(分割債権)や共同売却代金(分割債権)などが考えられる。

分割債務1つの可分な給付を目的とする債務を複数の債務者が負う場合をいう。分割債務とされると債権の効力が弱まることから、学説上分割債務の成立を限定して解する見解がある。例えば金銭債務の共同相続の場合や共同購入者の負う代金支払債務などにつき争いがある。


不可分債権及び不可分債務      

不可分債権(428条)

不可分債務


連帯債権及び連帯債務

連帯債権連帯債権についての規定は必要性が貧しいとして民法上に規定は設けられていない。

連帯債務


保証債務

単純保証

連帯保証(454条)

共同保証(456条)

貸金等根保証契約


債権の移転

債権の移転原因には次のようなものがある[8]

契約による移転

債権譲渡営業譲渡および事業譲渡による場合を含む。)歴史的には、債権譲渡(債権者の変更)は債権の本質に反するという考え方も根強く存在していたものの、近代以降においては、債権譲渡自由の原則が強調されるようになった。日本においても、債権の自由譲渡を認めない慣例が存在したとされ、当初は債権譲渡自由の原則に対する抵抗が強かったものの(民法典論争)、特約により譲渡性を排除できる規定を設けるという形で妥協がなされ、現在に受け継がれている。現在の日本民法においては、民法第3編第1章総則第4節で規定される。

債務引受

契約上の地位の移転(契約引受)


単独行為による移転

遺言(960条)

財団法人設立における財産の拠出(一般社団・財団法人法157条)旧概念においては一般的に「寄附行為」と呼ばれていた。


法律の規定による移転

損害賠償による代位(422条)

第三者弁済による法定代位(500条)

相続(896条)


裁判所の命令による移転

民事執行法上の転付命令


随伴性による移転

元本債権の移転による利息債権の移転

主たる債権の移転による保証債権の移転

なお、債権者を交替させるものとして、債権者の交替による更改があるがこの場合には債権の同一性が失われる[8]
債権の消滅

債権の消滅原因には次のようなものがある[9][10]

目的消滅による債権の消滅

目的到達による債権の消滅

弁済弁済(履行)によって債権は消滅する。第三者弁済、担保権実行、強制執行なども含め、全て目的到達として債権は消滅する。

代物弁済債務者が債権者の承諾を得てその負担する本来の給付に代えて他の給付をした場合(代物弁済)には弁済に準じ債権は消滅する(482条)。

供託債権者が弁済について受領拒絶・受領不能のときは、弁済者は債権者のために弁済の目的物を供託することができ、この場合には弁済に準じ債権は消滅する(494条前段)。なお、弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも供託しうる(494条後段)。


目的到達不能による債権の消滅債務者の責めに帰すべからざる事由による履行不能(危険負担を参照)がこれにあたる。なお、債務者の責めに帰すべき事由による履行不能の場合、債務不履行による損害賠償という形に変わって債権は存続することになり、債権は消滅しない[11]


目的消滅以外の債権の消滅

相殺二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者はその対当額について相殺によってその債務を消滅させることができる(505条第1項本文)。ただし、債務の性質がこれを許さないときは相殺は認められない(505条第1項但書)。

更改当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは旧債権は消滅する(513条第1項)。

免除債権者が債務者に対して債務を免除する意思表示をしたときは債権は消滅する(519条)。

混同債権及び債務が同一人に帰属した場合には債権は消滅する(520条本文)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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