主たる債務の債務者が弁済できない場合に二次的に履行の義務を生じるという性質(補充性)が認められず、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証を連帯保証という。連帯保証をした者を連帯保証人という。 以下の点で補充性が認められる通常の保証(単純保証)とは異なる。
連帯保証の特徴
単純保証の保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められるが、連帯保証人にはこれらは認められない(454条
通常の単純保証では、保証人が数人いる場合には各保証人は債権者に対して保証人の数に応じて分割された部分についてのみ債務を負担する(456条
民法では特約のない限り単純保証が原則であるが、商法は民法の特則として、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものである場合、もしくは保証が商行為である場合(これらを商事保証という)には、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても当該保証債務は各自が連帯して負担する連帯保証になるとする(商法第511条
2項)。一定の範囲で継続的に発生する不特定の債務を包括的に保証するという保証の形態を根保証という(465条の2
)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)全般についての規律が新設された(465条の6)[1]。根保証の典型として、身元保証が挙げられる。身元保証における保証人の責任等については、「身元保証に関する法律」に規定される。 保証人が法人でない根保証契約を個人根保証契約という(465条の2
個人根保証契約
平成17年4月1日より施行された「民法の一部を改正する法律」では、個人である保証人の保護を図るため、貸金等根保証についてそれまでの取扱いを大きく変える改正がなされた(貸金等根保証契約では、極度額を約定しない場合、無効となる。また、5年以内の元本確定日を定めなければならず、定めなかった場合は3年となるほか、5年を超える確定日を定めた場合も3年とされていた)。
2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により、貸金等債務に限定する規定は改められ、個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)全般についての規律が新設された(465条の2)[1]。本改正により、従来、極度額の制限がなかった身元保証契約についても、極度額を定め書面等で取り交わすことが義務化された。 事業のための借入れについて保証人となった個人が想定外の多額の負債を抱える結果となり生活が破綻することが社会問題となっている[1][2]。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、原則として、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ無効とされることになった(465条の6)[1][2]。
共同保証
共同保証
保証人が1人の場合を単独保証というのに対し、保証人が2人以上いる保証の形態を共同保証という。保証人間に連帯のない通常の共同保証では、各保証人は債権者に対して均等に分割された保証債務の部分についてのみ債務を負担するという分別の利益(456条・427条)が認められる。分別の利益が認められる共同保証の場合、保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときには民法462条が準用される(465条2項・462条)。なお、分別の利益は特約で排除される場合がある(後述の保証連帯)。
保証連帯
共同保証のうち、分別の利益を特約によって排除し、各保証人が債権者に対して債務の全額について責任を負うこととするものを保証連帯という。保証連帯は分別の利益のない点で連帯保証と似ているが、保証連帯の場合には催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められる点で連帯保証とは異なる。保証連帯の場合にも保証人間の内部関係においては、各保証人には負担部分が存在するので、保証人が自己の負担部分を超えて弁済したときには、超過部分について他の保証人に求償することができる(465条1項・442条)。
事業に係る債務についての保証契約の特則
個人保証の制限