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現代でも高級傘には高密度木材が好まれるほか、堅牢性を求めて中空管状のチタン材、カーボネート材が用いられる例が見られ、主に折畳み傘には軽量性を兼ね堅牢性も確保する目的で特殊アルミニウム合金特殊プラスチックも好んで用いられる。普及品については、原料価格を抑えるためにそれほど組成密度が高くない木材やスチールが用いられることが多い。

この部位は接合部が多く、施工が不充分であると、接合部がキシミを生じて使用者に不快感を与える原因となる。また、この部品は、湾曲などがあるとスムーズに開傘できず、また傘全体を支える接合点が多い主要部品であるため特に堅牢性が求められ、木材を用いる場合には材木に経年劣化・変形がないように適正な乾燥安定化処理および正確な造形加工が必要となるほか、金属や特殊樹脂を用いる場合にも精巧な造形加工が必要となるため、傘メーカー・傘職人にとっての主要な技術が求められ、いわゆる「腕の見せ所」の一つとなっている。
石突
中棒の先端部
陣笠
傘の頂点にある円錐形の固定部品
上ロクロ(ノッチ)
親骨の接合部分
止め鋲(ストッパー)
開傘時に下ロクロを上側から固定する部分
上ハジキ(ウワハジキ)
開傘時に開傘状態を保持するために下ロクロを下側から固定する部品。
下ロクロ(ランナー)
中棒を上下にスライドして傘の開閉を行う部品。
下ハジキ
閉傘時に閉傘状態を保持し無駄に開傘しないようにするために中棒下部の手元(ハンドル)近くに設置された部品を「下ハジキ」と呼称する。
玉留め
中棒とハンドルの接合部に取り付ける部品。玉留めや口金J字状のハンドル
手元(ハンドル)
中棒(中軸)に付属している開傘時の「持ち手」となる部品で、英称を用いて「ハンドル」と称することも多い。長尺の傘においては、中棒(中軸)の径と手元(ハンドル)の穴径を微妙にマッチさせる技術が求められる。通常は、強力な接着剤で固定したり、中棒(中軸)・手元(ハンドル)双方が木材である場合は職人によっては特殊な組木処理を施すため、簡単に交換することは不能である。折畳み傘の場合には、ねじ式の構造が多く見られるため、交換は容易である。高級品志向のユーザは、この部位が開傘時・閉傘時を問わず目立つこと、直接自らの手に接する部分であることなどから、手元(ハンドル)に焼き加工や特殊加工を施した高級木材・高級竹材などを用いることを好む。
傘布(カバー)

傘製品として骨全体を覆い縫った状態の傘生地のこと。縫い合わせる前のそれぞれの型紙は正二等辺三角形ではなく、適宜微妙な膨らみを持たせて製作され、これが開傘時の美しいカーブを構成する。この部位も、傘メーカー・傘職人にとっての主要な技術であり、腕の見せ所のひとつである。
露先

傘布(カバー)の先端と親骨の先端を結合する部位。傘布の展開を支え、親骨にかかる負荷の逃げ道を引受ける部位でもあるため、「ロクロ」に次いで破損することが多い。通常は親骨の受穴に丁寧な縫込み処理が施されていることが多いが、低価格傘に散見される「はめ込み式」の露先の場合、負荷に耐え切れず使用早々に破損する例も多く見られる。

露先

露先(上部より)

傘の内側親骨に接続する受骨

中棒から張り出し、傘布(カバー)を支える構造部分。
親骨(リブ)
中棒上部にある「上ロクロ」から張り出し傘布(カバー)を支える。個々の親骨のそれぞれ先端部分を露先(チップ)と呼ぶ。反対側(石突側)は「陣笠」と呼ばれる金具で固定されている。傘布(カバー)を均等に張り出す均等性が求められるとともに、上ロクロは開傘時の負荷がもっともかかる部位のひとつでもあるため、製作者の技量が試される部品のひとつでもある。
受骨(支骨、ストレッチャー)
「下ロクロ」から各親骨展開途中にある「ダボ」と呼ばれる接続部分に通じている支持骨のこと。
ロクロ
中棒と親骨ないし受け骨のジョイント部分を指す。親骨との接合部を「上ロクロ」、受骨との接合部を「下ロクロ」と呼称する。
ダボ
親骨と受け骨の接合部分。この部位に最も負荷がかかるため、損傷しやすい部位であり、過分な負荷により親骨が変形しやすい。親骨と受け骨はハトメと称される部品で接合されており、ダボを保護する目的で布片を縫いこんである場合には、これを「ダボ布」と呼称する。ダボ布が設けられていると、傘布(カバー)の磨耗を和らげたり、親骨がスチールである場合には錆が傘布(カバー)に付着するのを防止する効果を発揮する。
ハンギングアンブレラ

中棒がない構造で、骨組に張った傘布の部分を側面に立てられた専用のポールを用いて上から吊るすようにした吊下式の大型の傘をハンギングアンブレラという。サイドポールアンブレラ(サイドポールパラソル)とも呼ばれ、ガーデンパラソルやマーケットパラソルとして用いられる。
雨傘と日傘

大まかに避ける対象によって、雨傘と日傘に区別される。
雨傘

「雨傘」はこの項目へ転送されています。TOKIOの楽曲については「雨傘/あきれるくらい 僕らは願おう」をご覧ください。
『パリの通り、雨』(1877年ギュスターヴ・カイユボット

現在の雨傘は軸と骨が金属製で、防水加工したが張られている物が多く、軽いカーボン製の骨の傘も増えてきた。ただし「匠の傘」と呼ばれる手作りの高級品の軸(シャフト)には天然樹の棒が使われる。手入れ方法は、泥がついたら水洗いする程度で、防水素材なので特に洗剤などで洗濯の必要はないが、濡れたままたたんで放置すると骨の部分が錆びてしまうので、家に帰ったら開いて干して乾かしてから閉じるようにする。

UNICODEでは、雨傘は「U+2602」にコードポイントが割り振られている(?)。

使用され濡れている雨傘を建築物の内に持ち込まないために、出入り口には「傘立て」が置かれていることもある。一部には、誤って持ち帰ることのないように松竹錠などが付けられているものもある、

また、建築物に持ち込むさいには、しばしば使い捨ての「傘袋」が使用されることもある。
日傘『日傘を差す女』(モネ1875年

日傘は、雨ではなく、強い日差しを避けるためのものであり、地面に軸を突き刺して利用する大判のものもある(後述)が、一般に「日傘」と呼ぶ場合は、雨傘と同じく手にもって使う小型のものを指す。大判のものは「パラソル(フランス語: parasol)」と呼ばれることがあるが、parasol は、フランス語の元来の意味では婦人用の日傘を指す。

日傘はその用途上、防水機能よりも紫外線(UV)の遮断・反射機能(UVカット機能)が重視され、装飾性を求めた製品も多い。雨傘と比較して小さめサイズが一般的であるが、大寸のドームパラソルも登場してきた。ガーデンパラソルやマーケットアンブレラのように屋外の一定の場所に固定して用いられるものもある。砂浜(ビーチで使われるものは日本ではビーチパラソル、英語では beach umbrella が一般的だが、beach parasol も用いられる[注 1]

天和元禄のころは子供用であったが、寛延になると成人も使うようになった[6]


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