偶蹄目/鯨偶蹄目
左上から時計回りにキリン、アメリカバイソン、ヒトコブラクダ、イノシシ、シャチ、アカシカ
分類
偶蹄目(ぐうていもく、Artiodactyla)は、哺乳綱の目。日本ではウシ目とも呼ばれる[5]。
近年の分子系統解析から鯨目を内包するという解析結果が得られ、旧来の本目と鯨目を組み合わせてその分類群に対し鯨偶蹄目Cetartiodactylaを用いる説と、鯨類を含んだ本目に対しても引き続きArtiodactylaを用いる説がある[6]。
鯨類(クジラ類)を除く旧来の偶蹄目は側系統群であることが判明しているが、この側系統群に対しては引き続き慣例的に「偶蹄類」と呼ぶ場合が多い。本稿では主に、鯨偶蹄目から鯨類を除いた陸生の偶蹄類(側系統群)について記す。 偶蹄目(鯨偶蹄目)と最も近縁な分類群は奇蹄目であり[7]、合わせて有蹄類に分類される[8]。中新世以降次第に衰退していった奇蹄目に対し、偶蹄目は次第に勢力を伸ばしていった。現在では、カバ、イノシシ、ラクダ、キリン、ヤギ、シカなどの仲間を含む大きなグループに発展し、有蹄動物全体の約90%を占めている。また、後述されるようにクジラ類をも内包することが明らかになり、非常に多様性に富んだ発展を遂げて、繁栄しているグループであることになる。 このグループは、奇蹄目と共に、四肢の先端に蹄(ひづめ)をもつことを特徴とする。偶蹄目と呼ばれるように、偶蹄目の特徴は、2つに割れた蹄である。これは第3指と第4指(中指と薬指)が変化したもので、主蹄(しゅてい)と呼ばれる。また、かかとにあたる部分に、副蹄(ふくてい)とよばれる小さな蹄がついているものもあり、岩場などでずり落ちないようになっている。第3指が体重を支える重心軸となる奇蹄目と異なり、偶蹄目は第3指と第4指の二本が重心軸であるため、このような蹄の構造となる[9]。第5指、第2指はさまざまな程度に縮退し、第1指は初期のグループを除き消失している[9]。また全ての偶蹄目は後肢のかかとの関節にある距骨の上下端に滑車状の構造を持つ(これを両滑車とも呼ぶ)[9]。 初期の原始的な科や猪豚亜目では、真獣類の基本形(歯列:3・1・4・3=44)がほぼ保たれているが、進化段階が高いグループでは上顎切歯が縮退・喪失し、硬い角質パットを発達させ、下顎切歯と上顎の角質パットにより草を噛みちぎる[9]。 犬歯はイノシシ類で発達する[10]他は、多くの種で縮退または消失しているが、反芻類でもジャコウジカやキバノロのようにオスが発達した犬歯を持つものがある。 頬骨については、前臼歯が臼歯化しないという特徴がある[9]。原始的なグループでは頬歯が歯冠の低いブノドント(丘状歯、例えばイノシシ類)であるが、進化段階が上がるにつれて、歯冠が低いブノセレノドント(bunoselenodonta、例えばアントラコテリウム類)、歯冠の低いセレノドント(月状歯・単歯型、例えばシカ科)、歯冠の高いセレノドント(月状歯・長歯型、例えばウシ科)と多様化している[9][11]。
進化史
特徴
指
歯
角
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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